国公労連速報《No.2794》
【社保庁職員不当解雇撤回闘争ニュースNo.64】
国公労連は、太陽が強く照り付ける猛暑となった7月19日に社会保険庁職員の分限免職撤回と公正・公平な判定と、人事院勧告期での要求行動も位置づけて人事院前行動を行い、約150人が参加しました。この行動には、全労連社保庁職員不当解雇撤回闘争対策会議のメンバーと、環境省による「水俣病被害者救済特措法」の申請締め切り(7月末)撤回と被害者全員の救済を求めて環境省前座り込み行動を9日間実施している全国の水俣病被害者・不知火患者会の当事者と弁護団も駆けつけました。
12時15分から始まった要求行動で主催者あいさつした国公労連の宮垣中央執行委員長は、社会保険庁を解体・民営化し、社保庁職員525人を一方的に解雇した歴代の厚労省大臣をきびしく批判し、「民主党はすみやかに解決するとともに、人事院は公正・中立の立場から早期に処分を取り消す公正判定を出すべきだ。いま国公労連は公務員賃下げ違憲訴訟をたたかい、8月2日の第1回口頭弁論が迫っている。人事院は本来の役割を発揮し、賃下げ回復勧告を行うべきだ」と力強く訴えました。
連帯あいさつした建交労の藤好中央執行委員長(全労連副議長)は、「AIJ不正問題は許されない。財界・大銀行本位の年金改革をすすめた結果、公的年金が株式市場の儲けの場に変質した。国民のための年金制度を確立するためにも社保庁不当解雇は全労働者にかけられた攻撃だ。力をあわせて一緒にたたかおう」と呼びかけました。
京都総評の吉岡事務局次長は、「分限解雇され2年半たつが、全厚生闘争団京都原告のなかには無職のまま生活している仲間がいる。解雇は国策であり、政府が責任をほおかぶりすることは許されない。勝つまでたたかう決意をこめて『励ます会』から『共闘会議』に改称した」と激励し、秋田県労連の佐々木議長は、「秋田県は不況のもとで中小企業倒産が続出し、年金保険料が払えない深刻な実態だ。全厚生組合員を解雇し、現場ではミスが続出している。秋田6人の原告とともに官民一体のたたかいをすすめていく」と述べました。
水俣病不知火患者会からは大石会長がマイクを握り、「猛暑のなか私たち患者が環境省前に9日間座り込んでいるのは、加害者である国が、水俣病患者救済の申請受付を今年7月末で一方的に打ち切るからだ。政府・環境省は被害者の実態と気持ちを理解してほしい。すべての被害者を守るために、ともに連帯していこう」と連帯のあいさつを述べました。
国土交通労組の下元副委員長は、不当な分限解雇に対する人事院の公正な判定と賃下げ回復勧告を実現するためにたたかう決意を表明。全厚生闘争団の北久保事務局長は、「人事院は、審理をいたずらに長引かせようとしている厚労省に対し毅然とした態度で指導し、公平・公正な立場で早期に判定を出すべきだ。私たちは不当解雇され2年半苦しんでいる。早くこの苦しみから解放してほしい。元の職場に戻るために、全厚生闘争団は力いっぱい奮闘していく」と訴えました。
最後に全厚生闘争団の伊藤事務局次長のシュプレヒコール、國枝事務局次長の団結ガンバローで行動を終えました。
人事院の存在意義を果たし、早期に分限免職取消の判定を
全労連と国公労連、全厚生闘争団が人事院に署名を提出し要請
人事院前要求行動の後、全労連社保対策会議メンバーと国公労連、全厚生闘争団の総勢13人で人事院に対して、分限免職処分の早期の取り消し判定を求める要請を行いました。人事院は武廣事務総局監理官ほか1名が対応しました。
要請では、人事院総裁あて「分限免職取消請求事案の迅速・公平な判定を」求める署名10,003筆(累計71,002筆)とともに、全労連の「旧社会保険庁職員の分限免職処分取り消し請求事案の早期・公正な判定を下すことの要請書」を提出しました。
冒頭、全労連の根本副議長が「口頭審理の中で事実が相当明らかになった。いまの政治で判定がぶれないよう、厳正・公正に判定して欲しい」と発言しました。国公労連の川村副委員長は「分限免職から2年半経過した。厚労省から一部釈明が出ているが、公平審理の進行指揮を行い、年内には判定にこぎ着けて欲しい」と述べました。
愛労連の榑松議長は「人事院は、行政の中の独立機関、政治的であってはならないことを明言して欲しい。どちらが欠けても人事院の存在意義が消える」、京都総評の吉岡事務局次長は「京都では夫婦ともに解雇された当事者がいる。妻はパートで月10万円、夫は無収入の状態が2年半も続いている。早急に公正公平な判断を求める」、大阪労連の川辺議長は「社保庁問題は、基本は使用者の責任なのに、労働者が責任を負わされている。失業給付もない中放り出された労働者の実態を考えるべき」、自治労連の平野中執は「2月の追加証人尋問で厚労省が解雇回避努力を怠ったことは明らか。人事院はすぐ判定を出すべき」、秋田県労連の佐々木議長は「秋田の6人はみな優秀で、被解雇者の人選の不公正・不平等は明らか。公正な判定を」、愛媛労連の竹下事務局長は「愛媛の出原さんは分限免職の後、年金機構の准職員になり、今回経験があるということで正規職員に登用された。最初から正規であった場合と比べて年収で100万くらいの差がある。なんでこんな目にあうのかわからない。早期に判定を」と発言しました。
また、当事者の立場から、全厚生闘争団の北久保事務局長(京都)は「判定を早く出すことはとても重要。懲戒処分があることで年金機構から排除されて分限免職になったが、懲戒処分は取り消しになった。処分が早く取り消されていれば、年金機構に採用され、分限免職はなかった。一刻もはやく判定を」、全厚生闘争団の伊藤事務局次長(東京)は「分限免職の異常さを認識して欲しい。納得できる判定を」、全厚生闘争団の國枝事務局次長(愛知)は「分限免職から2年半経過した。厚労省の回答の遅れがあるが、公平委員会のきちんとした対応で、早期に判定を」と述べました。
これらの要請に対して人事院の武廣事務総局監理官は、「人事院の中立で政治的でなく速やかな対応をとの要請主旨は担当部署に伝えていく。判定の時期について、現在も審理が進行中で、また直接の担当でもないので時期はいえない。判定が遅くなれば当事者への影響は大きいことについて伝える。当事者によっていろんなケースがあることも伝えていきたい」と回答しました。
全労連根本副議長から「早期判定も重要だが、判定の中身が政治から侵害されないかが心配だ。独立、中立が守られれば、私たちが求める結論となるはずだ」と述べ要請を終わりました。
以上