525人もの社会保険庁職員が不当解雇され、39人の全厚生の仲間の人事院へ公平審査を申し立ててから約2年半となった6月18日、国公労連は厚労省前で社会保険庁職員の不当解雇撤回要求行動を展開し、約100名の仲間が参加しました。
主催者あいさつに立った国公労連の盛永副委員長は、「本日の行動は、不当解雇の早期撤回を求めると同時に、消費税増税と社会保障全面改悪への反対の声を政府にぶつける行動。JALやいすゞなどでの不当判決が相次ぐなか、厚労省による不当解雇を撤回させるたたかいはますます重要。とりくみを強化しよう」と呼びかけました。
激励あいさつでは、全医労の香月書記次長が「消費税増税をめぐる3党合意などで民主党政権の矛盾が大きく吹き出している。多くの労働者・国民が誤った政策や思いつきの判断の犠牲になっているが、断じて許されない。懲戒処分が取消された北久保さんの分限免職撤回など、政府は自らの誤りを認め謝罪とともに一日も早く職場に復帰させるべき。最後までともにたたかう」と決意を述べました。郵産労の日巻書記長は「郵政民営化の際に喧伝された『景気が良くなる』などのメリット論はすべて破綻。そのことは今国会での郵政民営化法の一部改正でも明らか。国の政策で事業主体を変える際の雇用確保はあたり前。分限解雇は許されない。国民が求める安心な年金制度確立のためにも、今すぐ525人を職場に戻せ。すべてのリストラ・解雇撤回のためたたかい抜く」と発言。自治労連の山口副委員長は「この問題は橋下市政での公務員・労働組合への攻撃と軌を一にするもの。公務員を既得権益と決めつけ、マスコミと一体で世論をあおって攻撃し、一方で住民サービスを切り下げるもの。社保庁の不当解雇を許しては、公務での解雇自由が広がり民間にも悪影響を及ぼす。撤回を求め一緒にがんばろう」と呼びかけました。
たたかえない人たちのためにも絶対に勝利する 京都闘争団の永田さんが決意表明を行い、「05年12月、身に覚えがない目的外閲覧で懲戒処分を受け、それが原因で分限解雇された。誰が閲覧したのか判明しないなか、犯人さがしで他の人が追及されないようにと受けた処分。今でも無職、無収入で将来に不安だらけ。何も悪くない労働者がこれ以上解雇されることがないようにと、たたかう決意を固めた。京都では15人全員が大阪地裁でも争っている。たたたかいたくてもできない人たちのためにも、絶対に勝利するため全力でがんばる」と力強く訴えました。
人事院判定を待たずに分限免職は撤回を!
国公労連と当事者が厚労省に要請
厚労省前要求行動の後、分限免職処分の撤回と雇用の確保、北久保さんの職場復帰、国が直接責任を持つ年金行政の実現を求めて厚労省への要請を行いました。要請は、国公労連の川村副委員長と全厚生闘争団の國枝・伊藤・永田の4名で行い、厚労省は年金局総務課の武田課長補佐ら5名が対応しました。
「社保庁職員の分限免職処分撤回雇用確保を求める要請署名」504筆と「北久保さんに対する分限免職処分の撤回を求める団体署名」24団体分を手渡した後、川村副委員長が「525人の解雇から2年半が経とうとしている。なぜ525人が分限免職にならなければいけなかったのかが問われている。社保庁解体後の1月から3月まで113人の残務整理の予算があったのに1人も活用していないが、納得できる回答はない。525人のうち271人は懲戒処分歴がなく、日本年金機構へ採用可能なのに324人の欠員で発足。なぜ正規職員の追加募集をしなかったのか。厚労省の転任についても、厚労省は2010年度に多数の中途採用しており、もっと転任できたはず。分限免職の必要性はなかったというべき。人事院の追加証人尋問の求釈明に速やかに回答し、人事院判定を待たずに政策判断で分限免職処分を撤回するよう求める」と発言しました。
全厚生闘争団の各当事者も、「先月も要請に来たが、せっぱ詰まっていることをわかって欲しい。2年6カ月無収入で精神的に追い詰められている。早期判定に向けて動いてほしい。北久保さんの取扱について、懲戒処分が取り消されたのに年金機構に採用しないのは矛盾している。誠意をもって対応してほしい」(永田)、「北久保さんの処分が間違っていたのに免職となったことについてどう思っているのか。厚労大臣は反省しないのか、謝罪すべきだ」(伊藤)、「総務省の年金記録確認第三者委員会が申立件数を抑えるよう指示する内部文書を作っていたとの報道があった。その背景に社保庁解体でベテラン職員の自主退職や整理解雇で、専門知識に疎い臨時職員が窓口業務を担い、事務処理能力が大幅に下がったことも背景にあると指摘しており、解雇した者を職場に戻すことが必要だ」(國枝)、とそれぞれ訴えました。
これに対して武田総務課長補佐は、「毎日新聞の記事については総務省に確認したが、総務省でもご指摘の通知を出した覚えはないとのこと。ただ、加入者へのパンフで留意するケースを示している点が第三者委員会への申立の抑制になっているのではないかと聞いている」、「年金機構職員の質の低下については、機構発足当初は混乱していたが、その後の職員スキルアップの研修や厚労省からの支援によりいまはそんなことはないと年金機構が回答している」と述べました。
北久保さんの件について、「懲戒処分が正しいと争ってきた中で、取り消すべきとの人事院の判定がでた。懲戒処分が取り消されただけで分限免職処分が間違っているとは思わない。ただ、北久保さんが年金機構に行けなかったのは事実」と回答。これに対して「一人の人間を追い込んで反省しないのか」と迫る場面もありましたが、強い要請があったことは伝えると述べるにとどまりました。
人事院審理への対応については、「今日、人事院の調整課長と年金局の幹部が会う。早期判定に向けて上のレベルで指示を受けるのであろう。人事院の動きが足早になっているが、できるだけ人事院の進め方に沿っていく」と述べました。また、この間の年金機構の職員の推移については、「准職員は23年度中に500人強が退職し、1,300人が採用され23年度末で4,700人強いる。定数の10数%やめている計算になるが、理由は定年でやめるとか、耐えきれずにやめるなど様々で実態はわからない。特定契約職員などの実態は把握できていない」と述べました。
川村副委員長は、「厚労省には年金機構を監督する責任があり、引き続き特定契約職員なども含めた年金機構職員の実情把握に努めることが必要だ」と述べて要請行動を終えました。