第20回非正規で働くなかまの全国交流集会にのべ867人
~人間らしく働き続けられる職場・社会をつくろう!

【とりくみ:国立研究機関のとりくみ】2012-06-07
国公労連速報《No.2770》


 全労連・非正規雇用労働者全国センターは6月2~3日、第20回パート・派遣など非正規ではたらくなかまの全国集会を岡山市総合福祉会館、市民会館で開催し、両日でのべ867人(全体会453人・分科会414人)が結集。国公労連(中田)や岡山県国公(4人)、全労働広島支部(2人)中国ブロック国公(清水さん)が参加。全体会のリレートークで、岡山県国公・全労働岡山支部の仲間が非常勤職員の労働条件改善めざすとりくみを報告し、奮闘しました。

 全体会のオープニングは、岡山県保育団体連絡会と岡山市職労保育部会の有志のみなさんの「うらじゃ踊り」でスタート。パワフルな踊りで会場全体が盛りあがりました。続いて、子どもたちが宮澤賢治「雨ニモマケズ」全文を朗読し、東日本大震災の復興を祈念しました。

 主催者あいさつした全労連の大黒作治議長(非正規センター代表)は、「野田首相は国家公務員賃金を平均7.8%引き下げ、国民の悲鳴をよそに消費税増税、社会保障の改悪などを強引に推し進めている。日本の労働運動の発展方向として、安定した雇用、均等待遇、ディーセントワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の実現に向けて、正規と非正規が力をあわせてたたかうことが必要だ」と指摘し、「賃金底上げ、労働条件改善のために要求実現に向けてたたかいぬこう」と呼びかけました。


■消費税増税ノー!公務員の賃下げは大問題
 山家悠紀夫氏が講演

 全体会で、「『望ましい社会』に向かって―暮らしの中から消費税と経済を考える―」と題して記念講演した山家悠紀夫さん(暮らしと経済研究室主宰)は、「社会保障と税の一体改革」は暮らしを破壊すると批判し、消費税増税とTPPの問題点を鋭く指摘。暮らしを良くし日本経済を復活させるためには、①賃金を上げること、②社会保障制度を充実させることだと財源問題を具体的に分析し「日本は世界一の金余り国なのに、国家財政が危ないと強調しているのは消費税増税をしたいからだ。消費税大増税を国民に押し付けるため国家公務員の賃金を下げることは大問題。『いやなものはいやだ!』と庶民はハッキリ主張しよう」と訴えました。


■被災地からの報告、「やっぱり労働組合ね」と寸劇

 非正規センターの江花事務局長が基調報告を行い、「正規・非正規一体で、人間らしく働き続けられる職場・社会をつくろう」と参加者に呼びかけました。
 岩手県大船渡市でヘルパーとして活躍している伊藤祐子さん(いわて自治労連・介護職員労組大船渡分会)が、DVDの映像を流しながら東日本大震災被災地の実態報告。高齢者介護などで働く仲間が立ち上がり、昨年10月に三陸福祉会職員労働組合を誕生させたこと、復興にむけて「生きる」ことと真正面から向き合い、組合の結成によって心をひとつにして復興へ動き出した組合員のとりくみも報告されました。

 神奈川生協労働組合の仲間が、三匹の子豚に扮して労働組合の必要性を訴えた寸劇「やっぱり労働組合ね」を熱演しました。
 

■リレートークで全労働岡山支部の仲間が訴える

 続いて、全国各地の非正規労働者の現状やたたかいをリレートークしました。

 全労働岡山支部の仲間をはじめ、非正規雇用の当事者としてコープやまぐち労組・岡山市職労・岡山地域労組・北海道勤医協労組・保育福祉労福岡地本・広島パート臨時労組連の仲間が次々と発言しました。

 公務労働者を代表して岡山県国公(全労働岡山支部)の仲間が、非常勤職員の労働実態と労働条件改善をめざす運動について発言。舞台スクリーンには、全労働の特別組合員集会(毎年6月に開催する全国集会)など非常勤職員の要求実現のとりくみの写真も映されました。

 岡山県国公の仲間は、国家公務員の定員削減が厳しくなるなか、非常勤職員の数が増えており、重要な業務を担っているにもかかわらず、その処遇は極めて劣悪な労働実態を告発。「私の勤務する労働行政の非常勤職員の時給は800円ほどで通勤手当は1日わずか360円。賞与や昇給もありません。次年度の『更新』の有無についても各省庁の予算状況などが関わり、年度末が近づくと非常勤職員は不安で眠れない夜を過ごしています。国公労連の運動により、病気休暇や忌引休暇、育児休業や介護休暇などが実現してきました。しかし、非常勤職員に適用される休暇の多くは無給であり、職員との均等待遇もまだまだ不十分です。私たちは、制度の狭間に置かれている非常勤職員の処遇改善を求め、仲間を増やしながら運動を強めていく決意です」と訴え、会場は大きな拍手に包まれました。

 リレートークは、非正規の仲間が自ら立ち上がって労働組合を結成しストライキで要求実現、有給休暇の取得による手当のカットをやめさせたとりくみ、解雇撤回闘争、68カ月連続の組織拡大など、豊かなとりくみの経験交流となりました。

 リレートークの最後に、非正規・派遣切り裁判などでたたかう争議団を紹介。日産、アンフィニ、熊本NEC、いすゞ、キャノン、パナソニック若狭、JMIUダイキン支部、大分キャノン、郵産労神戸中央支部、日本トムソン、テレビ西日本の正規化闘争でたたかう仲間が登壇。代表してマツダ訴訟原告団が発言しました。

 集会は、国会で審議入りした有期雇用にかかわる労働契約法改定案について、規制を強化する方向での抜本修正を求める決議、集会アピールを採択しました。

 5時30分からは、社会保障闘争の原点を知る記録映画「人間裁判」を鑑賞。1957年に国立岡山療養所に入院し生活保護を受給していた朝日茂さんが、憲法25条「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」(生存権)と生活保護法の内容について争った裁判「朝日訴訟」について学びました。

 2日目は、13の分科会・入門講座に分かれ、課題ごとに討論・交流・学習を深め、最後に岡山駅までパレードしました。


以上