【北海道国公発】 北海道国公は9月17日、年金者組合と共同して(主催は北海道国公と年金者組合、後援は道労連、道社保協、日本国民救援会道本部)、「社保庁525名の不当解雇撤回!安心年金つくろう9.17集会」を18時30分から札幌市内で開催しました。
開会あいさつした富塚北海道国公議長は、「北海道においても現在2名が人事院処分取り消しを求めている。日本年金機構は、経験者を解雇し未経験者や非常勤の採用で年金作業の業務運営がうまく行っていない。国民の年金権を確立する運動をすすめ、経験のある職員を採用し、1日も早い記録問題の解決するためにも社保庁職員の不当解雇撤回闘争にご協力をお願いする」と呼びかけました。
■社保庁解体から見た「構造改革」と政治を鋭く分析
講演を行った北海学園大学経済学研究科長小田教授は、「社保庁解体から見る『構造改革』~民営化推進に関連して~」と題して、「1980年代以降の中曽根・橋本・小泉内閣が行った「安上がりの政治」が、電電公社、専売公社、国鉄の民営化を進め、公的部門の縮小、省庁再編をもたらした。その官から民への移行に競争原理の導入と邪魔な組合をつぶすことを大々的に行った。民主党政権も人にお金を使わないのは同様。社保庁改革は年金制度を改善する改革ではなく、安上がりの賃金・人件費で運営するためのもの。自治体リストラの指定管理者導入でサービスだけでなく安心安全が脅かされているのと同じ流れ。社保庁分限免職は、国の言うことを聞かない、国に都合の悪い人たちを切るための見せしめだ。『憲法をくらしに』を守るたたかいを一緒にやろう。9条が軍事費の拡大を抑制し、25条で国民生活予算を充実させる。日本のどこに住んでいても最低限の文化的生活水準の確保ができるのを守るのは国の義務だ」と、テンポよく明確に「構造改革」のもたらした政治を告発するとともに、ともに年金業務の解体・人権無視の政府にたたかい決意を述べました。
渡部年金者組合道本部委員長は、「無年金を生み出すのは雇用を悪化させた政治のミス。世界に類を見ない保険料納入期間を10年に短縮し、安心して老後をくらせる最低年金制度を実現する情勢が政党の足並みがそろい有利になってきた。無年金者や低所得者に負担が大きい消費税に頼らない制度をつくろう」と訴えました。
■国の失策を職員個人の責任にすり替えるな!
社保庁525名の不当解雇撤回のとりくみの報告を行った社保庁不当解雇撤回北海道弁護団の神保弁護士は、「公務員は国民全体の奉仕者であることが憲法で定められていて、自分のためでなく国民のために働く。公務員が安心して働くことによって究極的に利益を得る国民のために、身分が守られている。公務員は雇用保険がなく、退職するとお金に困る。だから免職はかなり限定的に行われないと違法となる。社保庁の県は『廃職又は改廃により過員を生じた』としているが、この過員を理由に首を切ったことはない。国民全体の奉仕者として、公務員試験を通ってたまたま社保庁職員に配属になるだけで、国家機関がなくなったわけでない。国の失策を職員個人の責任にすり替え、安心安全年金にかかわる不満を利用し、民間のノウハウでとあおる。そのために有利な法律を作ってまで実行しているが、憲法に則る正義のかけらも見られない」と、政府・厚労省を痛切に批判しました。
■「公務に戻って働きたい」全厚生闘争団が訴え
解雇され人事院に不服申立でたたかっている全厚生闘争団2名が訴えました。「病気休職中に整理解雇された。懲戒処分歴がない私が病気休職中であるがために、分限免職回避の努力もないまま解雇された。労働者の雇用や権利を守らなければならない厚労省の行為は許せない。公務に戻って仕事をしたい」「年金記録問題や社保庁不祥事により現場職員が批判の矢面に立たされたが、連日の残業、土日の出勤、そして現場リーダーとして職員の体調を気遣って、信頼回復のためと働いてきた。国による社会保険行政の継続を訴え、公務に残りたいと希望していた。過去の省庁間配転などの事例があるのに、配転先が示されないまま分限解雇となった」と解雇の不当と働きたい、身分の回復を訴えました。
会場からは「国鉄解体から23年で解決金と年金の問題が決着した。不当な解雇に負けないようたたかいを大きくしよう」と激励の発言がなされ、101名の参加者に対しお礼とともにたたかってほしいと飯塚全厚生顧問が「年金機構は1万人新規採用したが1,200名の欠員が生じ、採用しても辞めていって経験が蓄積されない。消えた年金解決のスピードも後退し、障害年金申請後の処理に時間がかかっているなど、国民のさらなる批判が高まる恐れがある。厚労省は分限解雇を撤回し、専門性・経験者の雇用で国民の信頼回復をとりもどせ。そして、国の責任で年金業務を実施し、国民の年金権を保障する制度を国民のたたかいでつくろう」と呼びかけました。
また、上川北海道国公事務局長は、「社保庁不当解雇闘争への支援、安心年金つくろう北海道連絡会(仮称)の立ち上げを、一体ですすめよう。」と行動を提起しました。
会場では、全厚生闘争団支える会に9名が加入、会場カンパ11,705円、厚労相・人事院総裁宛の署名37筆が集まりました。
日本年金機構の業務体制拡充を
北海道国公と年金者組合が、北海道厚生局と年金機構へ申し入れ
9月17日、北海道国公は年金者組合と共同で、北海道厚生局へ「安心・信頼の年金制度と日本年金機構の業務体制の拡充等をもとめる申し入れ」、日本年金機構北海道ブロック本部へ「機構の業務体制の確保等を求める申し入れ」を行いました。
■北海道厚生局「上局へ伝える」
北海道厚生局では、「無年金者を解消するためにも年金受給資格期間を25年から10年にすること。低所得者に負担の多い消費税を財源としないこと(年金者組合)」「年金業務は国の責任で実施すること(北海道国公)」「厚生労働省は分限免職を撤回してほしい。年金業務遂行には経験と高い専門性が必要で、現場は社保庁職員の経験を必要としている。処分は不当、公務に戻してほしい。経験を持っている中堅職員を欠かした中で、機構発足後半年で1万人の職員を採用し2,400名もの離職者が出しているなかで業務をこなしている、異常だ。雇用問題も対応能力向上も根本的に解決しないと、国民の信頼の回復はない(全厚生闘争団)」と、年金制度の改善と年金業務体制の確保を訴えました。対応した総務課先﨑庶務係長は、「北海道の権限のおよばない申し入れ事項であるが、受け取ったので確実に上局へ伝える」とコメントを発しました。
■年金機構北海道ブロック「窓口の混乱解消への意見は本部に伝える」
日本年金機構北海道ブロック本部では、「年金業務の対応遅れの問題を公表しているが、これが続くのはまずい。厚労省に525名の解雇問題解決を求め、希望する職員には消えた年金問題解決、丁寧な対応等持てるパワーをフル稼働してもらうこと。(年金者組合)」「安定した安心の年金業務の遂行のため、体制確保の強化を図ることが急務(北海道国公)」「障害年金支給の手続きが遅れ、業務の請負問題や経験不足の職場は、第2、第3の年金問題が出てくる恐れがある。安定した業務運営を行う体制確保は当然で、本来は国が直接行う業務である(全厚生闘争団)」と申し入れました。対応した村岡管理部長は、「与えられたなかでよい成果を出したいと職員は働いている。もっと早い対応をと窓口でもいわれているが、パワーが追いつかないのが現実だ。これは申し訳ない。機構は経験者を優先的に準職員へ採用する方針を持っており実行している。窓口の混乱解消への意見は、本部へ伝える」と対応しました。申し入れ行動には、年金者組合、北海道国公(全労働、全運輸海、事務局)、全厚生闘争団(当事者2名、本部)の7名が参加しました。
■北海道国公と全厚生闘争団、当面のたたかいの意思統一を確認
申し入れ行動を終えた北海道国公と全厚生闘争団は、地域労連や民間単組からのオルグ受入の日程調整や、安心年金つくろう917集会の支援発言内容、社保庁不当解雇撤回と国公労連総対話MAP2010のたたかいと一体で運動を広めていくことを意思統一しました。
(当面のとりくみ)
9月23日(木)釧路地区労連定期大会(リーフレット、署名等送付対応)
10月2日(土)北海道国公定期大会(札幌)
10月3日(日)全印総連地連総会支援オルグ(旭川)
10月3日(日)旭川買い物公園街頭宣伝(兼、越冬共闘・総対話MAP)
10月18日(月)小樽地区労連社保庁不当解雇学習会
11月8日(月)全厚生闘争団会議、弁護団会議(東京)
11月28日(日)道高教組中央委員会支援オルグ(札幌)
12月15日(水)北海道国公春闘学習討論集会(札幌)
2月2日(水)~4日(金)人事院公平審理(札幌)
■社保庁不当解雇撤回北海道弁護団会議で、人事院審理提出の反論書内容確認
6人の北海道弁護団と全厚生闘争団、北海道国公は、人事院公平審理へ提出する厚生労働省(処分者)に対する反論書の内容、今後の弁護団会議の構成、等を討論しました。
反論書は人事院から11月15日までに提出を求められていますので、10月18日の弁護団会議で書面の確定を行うための作業の追い上げを確認しました。今後の会議の日程は、10月18日(月)、12月8日(水)、1月12日(水)、2月1日(火・予備)です。
(北海道国公事務局長 上川 明保)
以上