労働者の使い捨ては許さない!525人の分限解雇を撤回せよ◆全労連・東京地評「10.22争議支援総行動」で訴え
(「国公労連速報」2010年10月26日付【社保庁職員不当解雇撤回闘争ニュースNo.20】)

【とりくみ:社保庁 分限免職】2010-10-26
 国公労連は10月22日、全労連・東京地評主催の「10・22争議支援総行動」に結集して奮闘しました。10.22争議支援行動では、「憲法を職場とくらしにいかそう!すべての争議の早期全面解決を!」のスローガンのもと40を超える争議組合・争議団が、7コースでの社前や省庁前行動、企業・裁判所要請などを終日展開。「企業の理不尽な首切り・雇い止め、違法な残業代未払いは絶対許さない!」と東京・首都圏の民間と公務の労働者が一緒に声をあげ、争議中の労働者を励ますとともに、早期解決を求めました。
 
 全厚生闘争団の仲間が涙ながらに訴える
 
 12時15分からはじまった社保庁職員の分限解雇撤回を求めた厚生労働省前要求行動には、7コースすべての争議団が色とりどりの組合旗を携え、総勢600人が厚生労働省に集結しました。
 冒頭、主催者あいさつした全労連の大黒議長は、「厚労省自らが職員525人の生クビを切ることは、JR採用差別事件と同様、国家的不当労働行為であり断じて許されない。不当解雇の撤回とともに、全国すべての解雇・争議の全面解決めざし、がんばろう」と呼びかけました。連帯あいさつした自由法曹団の三澤麻衣子弁護士は、「国民の不満を社保バッシングですり替え、国の責任を放棄し、年金問題のすべての責任を社保庁職員に転嫁している。一方、現場は人手不足で混乱している。早期の年金記録回復のため、年金制度に精通した職員が重要だ」と、社保庁職員の不当解雇の背景と真相を告発しました。続いて、郵産労の廣岡中央執行委員長が「雇用の安定と労働者の権利確保を目的とする厚労省による不当な解雇に断固抗議する。525人をすぐ職場に戻せ!」と訴え、年金者組合の久昌中央執行委員は「全国の高齢者は無年金・低年金で苦しんでいる。年金制度は国の責任でしっかり運用してほしい。この厚労省の首切り攻撃は、賃下げ・解雇など公務労働者首切りの先駆けであり、必ず勝たなければならない!年金者組合も全力でたたかう」と力強く訴えました。
 7月23日に分限免職処分取り消しを求めて京都地裁へ提訴した全厚生闘争団京都の中本事務局次長がマイクを握り決意表明。「分限免職された人のなかには病気療養中や冤罪のもの、全国には育児休業中に解雇になった人がいます。問答無用で不当解雇した厚労省は絶対に許せません!私たちは、このような不当な分限解雇を撤回させ、労働者が安心して暮らせる年金制度を確立するために力いっぱい奮闘します。ご支援とご協力をお願いします」と当事者の切実な状況と運動への支援を涙ながらに訴えました。
 最後に、国公労連の國枝中央執行委員がシュプレヒコールの音頭をとり、「厚労省は不当解雇を撤回せよ!」と公務と民間の要求と参加者の怒りをぶつけ、国の責任で労働者の雇用を守れと強く訴えました。
 
 厚労省の不誠実な対応に怒り!
 争議支援実行委、全厚生闘争団など3者の要請書を提出し交渉
 
 厚労省前での要求行動に引き続き、全労連・東京地評争議支援実行委員会と国公労連社保庁不当解雇撤回闘争本部、社保庁不当解雇撤回全厚生闘争団の三者は、厚生労働大臣に対する連名の要請書を提出し、誠意ある対応を求めました。
 要請行動には、東京地評の菊池光男常任幹事と郵産労の廣岡元穂委員長、国公労連の川村好伸副委員長、全厚生闘争団から杉浦公一書記長と闘争団京都の中本邦彦さん、草川俊哉さん、愛知の國枝孝幸さん(国公労連中執)、東京の伊藤重雄さんの8人が参加し、厚生労働省は年金局の塩入係長と高市評価専門官、官房人事課の風間補佐の3人が対応しました。
 全厚生の杉浦書記長が「今日は昼休みの行動に引き続いて、争議支援総行動の実行委員会など三者での申し入れを行う」として要請の趣旨を説明。続いて、分限解雇された当事者が発言。京都の中本さんは「京都の15人が裁判提訴した。厚労省は大阪地裁への移送を申し立てているが取り下げて京都で争うよう求める。夫婦とも解雇された職員は、20年の経験を持っているがやむなく記録突合業務の派遣社員として働かざるを得ない」と仲間の悔しさをぶつけました。草川さんは「処分歴もなく、何も悪いことはしていない。解雇されるいわれはない」と怒りを表明。國枝さんは「民間労働者も、年金の仕事は継承し、新たな採用もしているもとで、この首切りはおかしいと民間労働者も言っている。年金の仕事ができるようにしてほしい」と訴えました。伊藤さんは「経験者をやめさせて大量の未経験者を採用しているが、年金機構の職員からは、いつ大問題が起こるか心配だとの声が上がっている。免職処分は考え直してほしい」と年金業務への復帰を求めました。
 
 国家的不当解雇は撤回せよ!東京地評、郵産労が強調
 
 厚労省の対応者は、一昨年7月の「懲戒処分を受けた者は年金機構に採用しない」との閣議決定は民主党政権でも変わっていないとし、「事務方としてはどうしようもない」と発言。また、分限免職処分は国公法に基づいて適切に行ったと強弁しつつ、「公平審査には誠意を持って対応させていただきたい」、「今日の要請の内容は省の幹部にも伝える」と述べました。
 続いて、東京地評の菊地常幹が「労働者の首を切っておいて、大量に採用することが民間でやられればどうなるのか。労働問題を所管する厚労省として大問題。国家的不当解雇だ。東京地評45万組織をあげて解決を求める」と強調。郵産労の廣岡委員長は、「郵政の民営・分社化では仕事は継続しており、労組との誠実協議で雇用は守られた。今回の厚労省の首切りを国民は奇異に感じている。人が足りないのに525人の解雇はあり得ない」と述べ、厚労省として国民の年金権を守る責任を果たすために解雇を撤回するよう求めました。国公労連の川村副委員長は、記録解決の実績が社保庁当時の半分に落ちていると指摘し、「総務省の年金業務監視委員会の委員も経験者の解雇が要因と指摘している。経験者の雇用こそが記録解決に不可欠であることを大臣等に伝えよ」と求めました。
 厚生労働省の対応者は、「公平審査では、処分が適切だったか我々も検証し、誠意を持って対応する」と述べるにとどまりました。全厚生闘争団は「我々は今すぐにでも仕事ができる」と強調し、厚労大臣や幹部に要請内容をしっかり伝えるよう求めて要請を終わりました。
 
 「社保庁解雇事件の真相を聞く会」ひらく
 北海道・小樽地区労連に支援要請
 
 【北海道国公発】  北海道国公・全厚生闘争団は、小樽地区労連の要請を受け、10月18日(月)18時から小樽市民センターでの社会保険庁525名の分限免職撤回闘争の学習会に参加しました。
 小樽労連議長の青柳さんは学習会の開会にあたって、「社保庁ののぞき見不祥事はマスコミ報道で信じきっていた。支える会のリーフを見て、真相を知りたいと思った。国鉄のように毎日利用している所ならまだしも、年金支給時や消えた年金の問い合わせ等の時しか足を運ばない所での事件だが、学習して不当解雇撤回の運動を広げていきたい」とあいさつしました。
 「年金制度と社会保険庁解体・民営化」と題して飯塚全厚生顧問が講師を務め、年金制度の大改革の歴史と分限免職が実施された背景などを説明しました。全厚生闘争団の高嶋さんと越後さんが「病気休暇中に解雇され、戻る職場がないという憤り」、「社保庁解体の最後まで信頼回復に努めてきた経験豊かな職員を排除したのは国の間違い」と支援の訴えを行いました。
 参加者からは、「どうやって生活しているのか」、「闘争団の資金はどうやって集めるのか」、「国鉄解体の時は組合差別があったが、今回はあるのか。自治労はどういうたたかいをしているのか」「京都で裁判を始めたが、全厚生闘争団全体ではやらないのか」、「消えた年金の修復作業はどうなっているのか」などの質問がだされ、「国民から見えるたたかいは、労働組合の要求と国民の不安解消と合わさっての運動である。奮闘してほしい」と激励を受けました。
 最後に北海道国公の上川事務局長と富塚前議長が、「公務の運動は、自分の身分を守るだけのたたかいと世間では見る。地方分権とか民営化で自治体の予算の枠で、あるいは民間事業として公務サービスが行われることで、国の責任で行う業務がなくなり、国民の権利が保障されなくなる。消費税に頼らない安心の年金制度をつくるため多くの団体とともに運動をつくろう」と、社保庁分限免職撤回と国民の安心・安全をまもるたたかいを一体として奮闘する決意を述べ、たたかいへの支援要請を行いました。  この会には、北海道国公や全厚生闘争団の仲間9名を含む18名が参加しました。また、厚労大臣と人事院総裁あての署名をそれぞれ47筆預かりました。
(北海道国公事務局長 上川 明保)
 
以上