時折晴れ間が広がる10月18日の昼休み、社会保険庁分限免職撤回を求める厚生労働省要求行動を実施しました。厚生労働省前では、じん肺全国キャラバンの東京集結行動が行われており、その支援の仲間も含めた要求行動となりました。
全厚生年金機構本部支部の北畠支部長の司会のもと、主催者あいさつした国公労連社保庁闘争本部の川村事務局長(国公労連副委員長)は、「2009年12月末の分限免職から約1年10カ月が経過した。9月に審理も一巡し、現在、厚生労働省の当時の担当幹部の証人尋問を求めている。京都の北久保さんについては人事院から取り消しの判定が下された。分限免職の前提が取り消された以上、即刻職場に戻すべきだ。また、日本年金機構から厚生労働省に対して、130名の出向者の延長要望が出された。これは525人の経験ある職員の解雇の誤りを認めたようなものだ。JAL不当解雇撤回とあわせてたたかっていく」と述べました。
続いて、激励あいさつした全労連の根本副議長は、「香川県労連大会では、原告の綾さんが支援と決意を述べ、11月30日には原告を励ますつどい、決起集会を開催することとした。このたたかいは原告39人それぞれの人生をかけたたたかいだ。全国で支援の輪を広げ、全国一体となってとりくみを進めていこう」と呼びかけ、建交労の福富中央執行委員は、「今日は、トンネルじん肺全国キャラバンの関係もあり全国から駆けつけた。トンネルじん肺では、23年間たたかってきた。明日、生きるために団結と連帯をしてきた。ともに手を組んで一緒にがんばろう」とそれぞれ述べました。
社保庁不当解雇撤回合同弁護団の加藤弁護士が情勢報告を行い、「39名の公開審理は一巡した。これまでの公開審理では、①525人の分限免職の必要性がなかったこと、②解雇回避にむけた努力が行われなかったこと、③分限免職の理由があいまいなものであったこと、などが明らかとなった。人事院の判定を待たずに分限免職は撤回し、公的年金の責任も取ってほしい。実態を広げれば必ず勝利できる」と述べました。
引き続き、人事院による懲戒処分の取消判定を勝ちとった全厚生闘争団原告の北久保さんが、「今日は、厚労省に直談判するために来た。社会保険庁の分限免職は、年金記録問題が発端となった国民の怒りの矛先を社保庁にむかわせるために行われたものだ。5000万人の宙に浮いた年金問題も過去からの積み重ねであるのに、すべて現在の職員の責任とされた。まさに525人は生け贄にされたようなものだ。525人の中には処分歴のない人やえん罪の人も多い。この経験ある職員を年金機構に戻し、職場の混乱を解消するべきだ。全員の処分撤回を勝ちとるまでたたかう」と力強く決意を表明しました。
最後に、全厚生闘争団原告の國枝さんのシュプレヒコールと団結がんばろうで、要求行動を終了しました。
厚生労働省へ申し入れ
厚労省前の要求行動終了後、国公労連の岩崎副委員長と全厚生の杉浦書記長、全厚生闘争団の北久保さん、國枝さん、伊藤さんの5名で厚生労働省への申し入れを行いました。厚生労働省は、年金局総務課の武田課長補佐ほか4名が対応しました。
厚生労働大臣あての「社保庁職員の分限免職撤回、雇用確保を求める要請」署名を手渡した後、岩崎副委員長が、北久保さんの懲戒処分が人事院で取り消された点について触れ、「不当な懲戒処分がもとで分限免職になり、北久保さんを路頭に迷わせることになった。こんなことはあってはならない。直ちに、分限免職を撤回し職場に戻すべき」と述べ、解雇の撤回を申し入れました。
また、北久保さんは、「年金記録問題で社保庁は、国民に対して素早い対応を職員に求めていたのに、今回、懲戒処分の取り消し判定があっても、厚労省からは連絡がなく、素早い対応が感じられない」「懲戒処分の中にはえん罪ともいうべきものもあり、当事者が人事院審理で訴えている。厚労省自ら懲戒処分および分限免職の撤回を検討すべき」と訴えました。伊藤さんは、現在、弁護団が当時の責任者である大臣などの追加証人を申請している点について触れ、厚労省は証人申請に応じるよう訴え、全厚生杉浦書記長は人事院の判定が出るまで待たず、厚労省が自ら分限免職処分の撤回を求めました。
これに対し、武田課長補佐は、「分限免職された人の中には、即戦力で年金業務に従事できる人がいるとの認識はある」と言いつつ、「社会保険庁が行った分限免職処分は適切だったと考えている」、「厚労省自ら分限免職を取り消す状況にはない」、「追加証人申請については、人事院の判断があれば考える。基本的に拒否できない立場である」、「北久保さんの懲戒処分取り消し後の対応については、年金局だけでは決められず、人事課、政務三役にも相談することになる」などと回答しました。
以上