解雇「非正規切り」労組つぶしは許さない◆525人の分限解雇を撤回せよ-全労連・MIC・東京地評「11.25争議支援総行動」で訴え
(「国公労連速報」2011年12月1日付【社保庁職員不当解雇撤回闘争ニュースNo.41】)

【とりくみ:社保庁 分限免職】2011-12-01

 国公労連は11月25日、全労連・MIC・東京地評主催の「11.25争議支援総行動」に結集して奮闘しました。11.25争議支援行動では、解雇や「非正規切り」、労働組合つぶしなど企業の横暴を許さず、すべての争議の早期全面解決を求めました。34を超える争議組合・争議団が、社前や省庁前行動、企業要請などを終日展開し、東京・首都圏の民間と公務の労働者が一緒に声をあげました。社会保険庁職員を分限免職した厚労省と、パイロットと客室乗務員を解雇した日本航空本社前では、総行動参加者が結集し、解雇撤回を求めました。

 法を無視した乱暴な解雇を許さない!

 12時15分からはじまった社保庁職員の分限解雇撤回を求めた厚生労働省前要求行動には、すべての争議団が色とりどりの組合旗を携えて集結しました。
 冒頭、主催者あいさつしたMIC議長の東海林委員長(新聞労連委員長)は、「民主・自民・公明の3党が、労働者派遣法『改正』法案の大幅修正で合意し、骨抜きにしようとしている。いまこそ安定した雇用と人間らしい労働と生活を実現させよう。社保庁職員が分限免職されたが、まず国が解雇撤回の見本を示すべきだ。乱暴な解雇を許さない運動を大きく広げよう」と呼びかけました。
 連帯あいさつした薬害イレッサ東日本訴訟団の小池弁護士は、「11月15日に国と企業の責任を否定する不当判決がでたが、なんのための厚労省なのか。薬害イレッサ問題の全面解決と薬害根絶を求めて、ともに連帯しよう」と述べました。続いて、JMIUの三木書記長は、「ギリシャのストライキ、エジプト・カイロで100万人デモが呼びかけられるなど、ヨーロッパや中南米では市民運動が大きく広がっている。日本でも春闘を大きくたたかい、労働者の団結の力で攻撃を跳ね返そう」と訴えました。全教の米田中央執行委員は「不当解雇の撤回を求める人事院のたたかいは正念場を迎える。私たちには道理も大義もある。分限免職取り消しを勝ちとるため、全教は全力をあげてたたかう」と決意を述べ、自由法曹団の萩尾弁護士は「不当解雇された労働者が生活を壊され人権侵害され、多くの当事者が苦しんでいる。12月15日には北海道と大阪、香川の組合員が裁判に立ち上がる。必ず勝利を勝ち取ろう」と社保庁職員不当解雇の背景と真相を告発し、たたかいへの支援を呼びかけました。
 全厚生闘争団当事者の伊藤重雄さんがマイクを握り、「人事院は京都の北久保さんに対して懲戒処分を取り消す判定を下した。元厚労省大臣は私たちの前に出て、なぜ私たちのクビを切ったのか証言してほしい。厚労省は不当解雇を撤回し、早く職場に戻してほしい」と切実な思いと運動への支援を訴えました。

 厚労省に不当解雇撤回を訴える
 全労連・MIC・東京地評争議支援実行委など要請書を提出

 厚労省に対する要求行動の後、全厚生闘争団、民間支援労組、全国弁護団、そして国公労連代表が厚労省に対し、不当解雇の撤回と年金機構の体制拡充に関する申し入れを行いました。厚労省は年金局総務課の武田課長補佐以下4名が対応しました。
 冒頭、総行動実行委員会を代表して新聞労連の東海林委員長が要請書(下記参照)を提出し、「民間で乱暴な解雇が横行し、長年築いてきたルールが壊されている。会社側は厚労省でもやっているのだから、と平気で言っている。こんなことは許されない」と述べました。また、JMIUの三木書記長は、「社保庁から機構に看板が変わっただけではないか。民間でも企業再編はよくあるが、雇用継承が原則だ。消えた年金の解決のためにも経験ある職員が必要ではないか」と発言。全国弁護団の萩尾弁護士は、「懲戒処分の不当性は明らかだ。人事院審理が止まっている。厚労省としても前に進める努力をしてほしい」と訴えました。
 国公労連の盛永副委員長は、「国公法の分限免職には当たらない。食糧庁の廃止や独立法人化など過去の実態をみても雇用は原則確保されている。憲法や国公法の平等取扱いの原則からみても許されないことだ。機構自身も経験者が不足していると指摘しているではないか。処分の中身を吟味し経験者を職場に戻すべきだ」と述べました。
 闘争団の伊藤、松本両当事者は、「京都の北久保さんの懲戒処分が取り消しされた事実をどう受け止めているのか。すべての処分が妥当だったのか検証すべきだ」、「処分の背景に国民年金の納付率問題があるが、制度が崩壊しつつある現実の中で分母対策に走るのは目に見えていた。責任を職員に転化した政治的要因だ」と訴えました。飯塚全厚生顧問(闘争団副団長)は、「国民の年金権確保・サービス改善のためにも安定的な業務運営がなくてはならない。そのためにも経験ある旧社保庁の雇用が求められている。さらに、信頼回復には何より安心して暮らせる年金制度、消費税によらない最低保障年金制度の確立が急務の課題である」と指摘し、不当解雇の早期撤回と年金機構の体制拡充を求めました。
 これに対し武田課長補佐は、「追加証人については人事院で検討されている。判定に必要だということであれば厚労省としても対応したい。処分は適切に行われたものと判断している」などとコメントしました。
 最後に東海林委員長が、「社保庁の解雇が民間で悪用されている実態については、政務三役にきちんとあげてほしい。今後も機会あるごとに要請を行う」と述べ、申し入れを終了しました。

 

2011年11月25日

 

厚生労働大臣 小宮山 洋子 殿

              全労連・MIC・東京地評争議支援総行動実行委員会  
                      実行委員長 大黒 作治 (全労連議長)
              国公労連社保庁不当解雇撤回闘争本部         
                      本部長   宮垣  忠(国公労連委員長)
              社保庁不当解雇撤回全厚生闘争団            
                      団長    山本  潔(全厚生委員長) 

 要請書

 日本の大企業は、最近の円高やタイの豪雨災害に便乗して海外移転を大規模に推進し、法人税減税、消費税増税を要求する始末です。その上、労働者には低賃金、長時間過密労働を強要し、大量の非正規労働者とワーキングプアを作り出しています。
 日本経済を国民本位に建て直すためには、戦後、最大の危機に陥っている被災地・被災者の雇用・くらし・中小企業、地域再生を重視した復旧復興を進める必要があります。そして、TPPへの参加をやめ、国民総生産の6割を占める個人消費を拡大し、内需拡大型の施策に転換することで労働者・国民の雇用と生活の安定をはかることが何より重要です。
 大企業には今日ほど、円高や国際競争力をかざしての利益至上主義、株主本位の経営を根本から改め、地域、国民、労働者、環境などに対する社会的責任(CSR) を果たすことが求められているときはありません。
 わたしたちは、すべての大企業が、国際労働機関(ILO)や国際人権規約を遵守することは当然として、憲法と労働法を守り、「人間らしく働き、生きるルール」を保障することで、その社会的責任を果たすよう強く求めます。同時に、年金や医療など国民生活のセーフティネットである社会保障制度と、労働者の雇用政策に責任を負うべき厚生労働省の役割発揮を強く求めます。
 本日は、全国から35労組・争議団が参加し、「東日本大震災の救援復興!大企業は内部留保を被災者救援復興に使え!TPP・消費税増税反対!派遣法の抜本改正!裁判所は公正な判断を行え!憲法・労組法を職場に生かそう!すべての争議の早期全面解決!」を要求し、「11・25争議支援総行動」を展開しています。
 貴職におかれましては、労働者の権利擁護、働くルールの確立、年金記録の早期整備と安定的な業務運営のために、下記事項の実現に向けて真摯に対応されるよう要請します。

 1.消費税によらない全額国庫負担による最低保障年金など、安心して暮らせる年金制度を確立してください。
 2.年金業務の信頼を回復するため、日本年金機構の体制を拡充してください。
 3.旧社保庁職員の不当解雇を撤回し、経験ある者を日本年金機構に採用してください。


以上