社保庁職員分限免職取消請求第2次訴訟◆北海道2人、大阪1人、香川1人が不当解雇撤回で提訴
(「国公労連速報」2011年12月16日付【社保庁職員不当解雇撤回闘争ニュースNo.42】)

【とりくみ:社保庁 分限免職】2011-12-16

 12月15日、全厚生闘争団当事者の北海道の高嶋厚志さん(35)と越後敏昭さん(46)、大阪の大島琢己さん(51)、香川の綾信貴さん(33)の4人が当該地方裁判所に対して分限免職処分の取り消しを求める裁判を提訴しました。提訴した当事者と弁護団は提訴後に記者会見を開き、裁判提訴の意義といっそうの支援を訴え、地元紙などで報道されました。また、東京でも、厚生労働省の記者クラブで会見を行い、国公労連社保不当解雇撤回闘争本部の川村好伸事務局長が裁判提訴にいたって経緯などを報告し、弁護団の萩尾健太弁護士が訴状のポイントなどを説明し、全厚生労働組合の杉浦公一書記長が記者の質問に答えました。国公労連は社保庁不当解雇撤回闘争本部事務局長名の談話を発表しました。(別添)

 今回提訴した当事者の声を掲載します。

【北海道・高嶋さん】
 政府与党は「社保庁解体・分限免職を行なえば年金問題がよくなる」などと喧伝し、日本年金機構をつくり、525人もの経験ある優秀な職員を解雇しました。分限免職を受けた525人は、年金行政の行き詰まりを隠すために生けにえにされたといっても過言ではありません。  私は病気休職していたため、年金機構・厚生労働省の不採用について、分限免職される2カ月前まで知らされませんでした。分限免職されるまでの社会保険庁の対応はひどいものでした。  解雇されてから2年になろうとしています。人事院審理は続いていますが、社保庁問題に対する国民の目線は依然としてきびしいものがあります。運動を広げて少しでも世論を変えたい、その思いで裁判にも訴えました。勝利するまでがんばります。ご支援をよろしくお願いします。

【香川・綾さん】
 国家(しかも雇用・労働行政を行う厚生労働省)が労働者を一方的に解雇したことは、民間労働者の整理解雇を助長するものです。すべての労働者に向けられた攻撃だと思います。  このたたかいに勝利することが私に課せられた責務だと思っています。それが果たせるよう引き続き、精一杯たたかっていきたいと考えています。

【大阪・大島さん】
 私は国鉄の分割・民営化で清算事業団の職員となり、縁あって社保庁に採用されました。その後20数年、年金業務を中心に働いてきました。特に、年金記録問題では、きびしいバッシングの中でも担当課長として様々な苦情処理などに当たってきました。  国鉄の時は、国や地方での受入が政府方針としてありました。社保庁解体では全くそんなことはありませんでした。権利保障も公平性もありません。悔しい思いを裁判にぶつけたいと思います。ご支援をよろしくお願いします。


《別添》

 厚生労働省は道理も合理性もない旧社保庁職員の分限解雇を撤回せよ
 分限免職処分取り消し請求の第2次裁判提訴にあたって(談話)

2011年12月15日
国公労連社保庁不当解雇撤回闘争本部
事務局長 川村好伸

  1. 社会保険庁廃止にあたって525人もの職員が分限解雇されて2年が経過しようとしている。この間、全厚生労働組合の39人の組合員が分限免職処分の取消請求を行い人事院審理でのたたかいに全力をあげてきた。人事院の判定は早ければ年度内にも行われる重要な局面を迎えている。
  2. 一方、2010年7月に京都の15人が提訴して以降、人事院審理闘争に力を集中しつつ裁判提訴の可能性も追求してきたが、本日12月15日に北海道2人と大阪1人、香川1人が提訴に踏み切ったものである。
     不当解雇から2年が経とうとしているが、全国的に支援の輪が広がる一方、当事者は、生活面からも精神面からも追い詰められ、苦しい生活を余儀なくされている。したがって、一日も早い解決が求められており、人事院の判定をにらみつつも、裁判提訴によって早期の解決を求めるものである。
  3. 2009年末で社会保険庁が廃止されたものの、年金業務は日本年金機構に継承されており、安定的、専門的な業務運営を確保する点からも職員の雇用は当然に引き継がれなければならなかったものである。年金機構発足時に324人もの正規職員の欠員を抱えていたことからしても、分限免職処分の必要性は全くなかったものである。
     同時に、この間の人事院審理において、まともな解雇回避努力が行われなかったこと、政府として省庁間配転による雇用確保に何らの手立てを取らなかったこと、厚生労働省転任者の選定が面接官の印象で行われるなど分限免職にあたって平等取扱と公正の原則が踏みにじられていたことなどが明らかになっている。
     厚生労働省に対しては、あらためて不当な分限解雇は直ちに撤回するよう求める。また、裁判所に対しては、公務員の不当な解雇は許されないとの判断を求めるものである。
  4. 人事院による公開審理は9月で一巡し、現時点では厚生労働省官房人事課長などの追加証人尋問を求めているが、不当解雇撤回のたたかいを大衆的に前進発展させるためにも、裁判闘争で運動の強化をめざすものである。
     全国の支援者のみなさんの引き続きのご支援ご協力をお願いするとともに、日本航空をはじめとする不当解雇撤回闘争とも結んで旧社保庁職員の不当解雇を撤回させるまでたたかう決意を表明するものである。

以上