12月19日の昼休み、国公労連社保庁不当解雇撤回闘争本部は厚生労働省に対し、要求行動を行いました。前日の激励決起集会に参加した当事者をはじめ、公務と民間の仲間約200人が結集し、厚生労働省に対して分限免職の撤回と一刻も早い職場復帰を求めました。
主催者あいさつした国公労連の宮垣中央執行委員長は、「民主党は、当時、社会保険庁を国税庁と統合し歳入庁を作るとして社会保険庁を残すとしていたが、その公約を破り社会保険庁解体を行い、525人の分限免職を行った。それから、2年が経とうとしている。社会保険庁の分限免職は国鉄の分割民営化と同じであり、また、厚労省が行った分限免職が日本航空などの解雇にも波及している。日本年金機構では未だ業務の混乱が収まっていない。空の安全と年金の安定を取り戻すため政府と日本航空は一刻も早く経験豊富な職員を戻すべきだ。人事院は職権で4人の追加証人尋問を2月に行うことを決定した。また、京都に続いて、12月15日には北海道、大阪、香川の原告が裁判提訴に踏み切った。この分限免職の不当さを広く社会に広め、勝利するまでたたかおう」と力強く訴えました。
激励のあいさつに立った全労連の根本副議長は、「秋田からはじまった人事院の口頭審理が一巡した。人事院は4人の追加証人を決めたが、これにより解雇の不当性が白日のもとに明らかになる機会となる。引き続き、全国で奮闘していこう」と呼びかけました。秋田県労連の佐々木議長は「秋田市民病院でも80人が分限免職となり、現在5人が裁判でたたかっている。社保庁の問題は地方にも波及している。地方への広がりを食い止めるためにも引き続きがんばろう」と述べ、大阪労連の川辺議長は「なぜ社保庁職員が分限免職になるのかわからない。民間での事業縮小の場合でも整理解雇4要件は満たす必要がある。事業が残ったままで解雇になることはあり得ない。引き続きたたかっていく」と訴えました。萩尾弁護士が情勢報告を行い、「12月15日に北海道、大阪、香川の原告が裁判提訴に踏み切った。その直後に、人事院は4人の追加証人の採用を決定した。裁判所に判断を委ねてしまえば、人事院の役割が形骸化してしまうとの危機感の表れだろう。人事院は証人採用したが、厚労省は何もしていない。年金職場は未だたいへんな状況となっている。安定した年金制度とすることが厚労省の責任であり、そのためにも人事院からの判定を待たずに厚労省自身が判断すべきだ」と述べました。
全厚生闘争団当事者の香川の綾さんは、「解雇から2年が経過しようとしている。年金機構発足当時から欠員状態であったのに解雇したことが違法状態であることは明らか。厚労省が首を切ることは民間の解雇を助長するもの。安心できる社会とするためにたたかっていく」と力強く決意を表明。
最後に全厚生闘争団の北久保事務局長が、「自分自身の職場復帰を早期に行え、という思いも込めてシュプレヒコールを行う」とシュプレヒコールを行い、最後に団結ガンバローで行動を締めくくりました。
署名、支援要請など単産・地方での運動の拡大を
来春の人事院判定にむけたとりくみ強化を確認
全労連第5回社保庁対策会議
12月19日午前、国公労連の会議室において全労連第5回社保庁対策会議を開催しました。会議には、全労連、当該県労連、自治労連、国公労連(ブロック代表含む)、そして当事者も含めた全厚生闘争団から37名が出席しました。
冒頭、全厚生闘争団から18日の闘争団意思統一集会や「激励決起集会」の概要、北海道、大阪、香川の4人の新たな提訴、さらには、人事院で懲戒処分が取り消された北久保さんの職場復帰に向けた厚労省との交渉内容等についての報告を行いました。
引き続き、新たに提訴した3道府県、そして1月11日に第一回口頭弁論が予定されている京都、また、秋田、愛知、岐阜の各県労連から、マスコミ報道の特徴や支援のとりくみなどについて報告を行いました。
意見交換では、人事院が職権で厚労省のキャリア官僚の追加証人尋問を決定した背景、傍聴行動の成功に向けた支援要請、署名のとりくみの強化、新たな情勢の中での宣伝材料を作成することなど多岐にわたって運動を拡大していくこと、人事院公平審理の最終盤に向けてブロックにある人事院地方事務局・地方厚生局への宣伝・要請行動を来春に向けてとりくむことなどを確認しました。
厚労省は分限免職を取り消し、経験者を職場に戻せ
全労連が要請書を提出し、厚労省をきびしく追及
昼休みの厚労省前要求行動の終了後、全労連と大阪労連をはじめ各県労連の役員、国公労連、全厚生闘争団の当事者が参加し、厚生労働大臣あての全労連大黒議長名の「分限免職撤回、雇用確保を求める要請書」を提出して申し入れを行いました。厚生労働省側は年金局総務課の武田課長補佐ほか3人が対応しました。冒頭、大阪労連川辺議長(全労連副議長)が要求書を手渡し、「社保庁廃止は、厚労省の年金行政に対する責任放棄である。同時に行われた分限免職を撤回し、解雇された職員を職場に戻し、国民サービスを守る立場に立っていただきたい」と要請。続いて、当事者の7人が、「分限免職から2年が経過した。審理や裁判の結果を待つのではなく直ちに職場に戻せ」、「人事院公平審査で4名のキャリア官僚の追加証人尋問が行われるが、二重処分のもとになった閣議決定の違法を明らかにするため元大臣の証人喚問が不可欠」、「懲戒処分取消となった私(北久保)の要求を実現せよ」、「業務外閲覧でいわれのない懲戒処分を受け、最後には分限免職にされた。職場復帰で名誉を回復してほしい」、「再就職できるまで1年かかった。今でも就職できていない人がいる」と、2年間の苦しみや現状の困難さ、処分の撤回を訴えました。また、愛労連の榑松議長は「いま、愛知で社会保険に未加入の事業所が増えている。年金機構や厚生局に要請に行っても対応してもらえない。社保庁時代にはない事態が起こっている。国の責任が社保庁廃止によって2年間ほったらかしにされている」、秋田県労連の佐々木議長は「公立病院で80人が分限免職された。また、教員も指導力を理由に分限免職された。社保庁が悪しき前例となって地方公務員の中に広がっている」、京都総評の吉岡事務局次長は「人事院の公平審理を傍聴した。仕事がそのままあるので全く解雇する理由がない。解雇回避努力もされていない。失業保険もなく京都では夫婦2人とも解雇されている。解雇の誤りを認め撤回すべきだ」と発言しました。
武田課長補佐は、「当事者の分限免職を取り消してもらいたいとの話だが、できる限りの回避努力を行った上で、分限免職せざるを得なかった。新しい証人の話は正式にはまだ聞いていないが、今後求めがあれば対応したい」、「未加入事業所問題については、年金局の担当に伝えたい」と回答しました。
回答に対して、「厚労省は、この解雇事件の当事者としての自覚があるのか。理屈のつかない解雇は撤回せよ」、「クビを切られた人の痛みを感じているのか。血も涙もない首切りだ」、「解雇回避努力もない、失業保険もない、こんなことでどうやって生活していけばいいんだ」、「社保庁解体では労働者に責任を押し付け、首切りしてトップは誰一人責任をとっていない。民間から見ても全く異常」、「北久保さんに大臣が謝罪し直ちに復帰の手続きを始めろ」、「当事者としての責任ある対応をしろ」と予定時間をオーバーして怒りと抗議の声が続出。厚労省側はまともな回答もできないままでしたが、誠意を持って分限免職撤回に向けて努力するよう求めて申し入れを終わりました。
以上