国公労連社保庁不当解雇撤回闘争本部は5月18日、全労連社保庁不当解雇撤回対策会議と共同して社会保険庁職員の分限免職撤回、公正・公平な判定を求める人事院前要求行動を行いました。
12時15分から始まった要求行動では、全厚生闘争団の國枝事務局次長の司会のもと、主催者あいさつした国公労連の岩崎副委員長は、「不当解雇から約2年半が経った。国家公務員は雇用保険が適用されず、解雇は即、路頭に迷うことを意味する。525人の解雇は、国の誤りを労働者に押し付けるものに他ならない。公務リストラの突破口とさせないため最後まで奮闘しよう」と呼びかけました。
連帯あいさつした北海道労連の湯本議長は、「北海道では、高嶋さん・越後さんの2人がたたかっている。5月14日の裁判で越後さんが意見陳述を行った。傍聴参加者から、『不当な攻撃を跳ね返さないと、私たちの権利も奪われかねない』との声が出された。解雇は会社の品格が問われるもの。今回の解雇は国の品格を損なうものだ」と力強く訴えました。
自由法曹団の加藤弁護士は、「人事院審理は最後の大詰めを迎えている。今回の審理は人事院公平局が行っているが、公平に判断するなら解雇を取り消すしかない。分限免職は、年金業務に影響し、権利保障にも影響してくる。解雇の中身をさらに社会に広め、公平な判定を求めよう」と激励しました。JMIUの三木書記長は、「今回の行動を通じて、JMIUと国公労連との共同のとりくみが前進した。昨年末からいくつかの判決が出されているが、多くの労働者が泣き寝入りしている現実を理解していない判決ばかりだ。労働者を保護するのが労働法の基本だが、その基本を裁判官はわかっていない。裁判所の思想は、厚労省にも共通している。労働者がむくわれる社会をつくっていこう」と訴えました。
行動途中から、スコールを思わせるような激しい雨に見舞われましたが、全厚生闘争団の北久保事務局長が、「大阪の橋下市長は公務員を懲戒免職しようとしているが許すことはできない。引き続き支援をお願いする」と決意を述べ、全厚生闘争団の伊藤事務局次長のシュプレヒコール、國枝事務局次長の団結ガンバローで行動を終えました。
人事院の役割を果たし、早期に公正な判定を!
全労連と国公労連、全厚生が人事院に署名を提出し要請
人事院前要求行動の後、全労連社保対策会議メンバーと国公労連、全厚生闘争団の総勢14人で、分限免職処分の早期の取り消し判定を求めて人事院への要請を行いました。人事院は武廣事務総局監理官が対応しました。
冒頭、「分限免職取消請求事案の迅速・公平な判定を」求める署名4360筆の提出を行い、全労連の根本副議長は、「口頭審理では、分限免職しなくてもいい状態があったのにサボタージュしていたことが明らかになった。人事院は公務員の身分を守る役割がある。525人の解雇は異常なこと。判定を早く出してほしいが、公平なものを出してほしい」と述べました。
国公労連の川村副委員長は「北海道、香川、愛媛では解雇になった人が日本年金機構の准職員になっている、北海道では正規職員に登用された。分限免職するよりなぜ年金機構に行かせなかったのか疑問だ。解雇から2年5ヶ月経っており、当事者はつらい。年内に判定を出すことを念頭に置いて指揮をすることが求められる」、全労連高山組織部長は「人事院は独立の存在。政府の圧力に屈せずきちんと判断を。当事者の人権・働く権利を守る視点で公正に判定を下してほしい」と述べました。
医労連の原書記次長は「国民への行政サービス、年金問題への解決、社保庁解体による解雇、いずれも国民の目から見て不合理なことばかり。年金問題が片付いていないのに、理由無く首切った責任がどこにあるのか人事院は判定して欲しい」、全教の米田中執は「使用者は雇用を守るため最善の努力を尽くすべきであり、厚労省が雇用の確保をしたのかどうか疑問。国民のための行政を進めるため公正公平な判定をして欲しい」と発言。また、秋田県労連の佐々木議長は「追加証人尋問で、厚労省への転任で上位の結果の者が落ちて、下位で転任しているところに驚いた。秋田では申し立てしている6人が狙い撃ちされたのではないか」、岐阜県労連の蒲副議長は「解雇で家庭崩壊の当事者もいる。いわれのない理由での解雇に、当事者は苦労している。早く判定してほしい」、京都総評の吉岡事務局次長は「夫婦そろって分限免職となった当事者がいる。夫は仕事が見つからず、妻はパートで月10万円。解雇になっても雇用保険はなく、生活は困窮している。審理を尽くすと同時に迅速な判定を」、道労連の湯本副議長は「北海道の当事者2人が裁判でも争っている、5月14日の裁判では当事者の越後さんが意見陳述を行った。仕事の姿勢が語られたが、厚い信頼を得ている人だ。処分を受けていないのになぜ免職になったのかわからない。解雇のでたらめさを感じる」、愛労連の榑松議長は「社保庁解体で困っているのは社会保険に加入できない人たちだ。社会保険に加入したければ、会社を辞めろと言われる。社会保険加入の指導について厚労省は年金機構が行うといい、年金機構は私たちだけで判断できないと、制度はあるが実行する行政が解体されている」と述べました。
全厚生闘争団の伊藤事務局次長(東京)は「厚労省は免職理由として『国民のきびしい批判』をあげている。現場職員は責任を負うが、幹部職員は責任を負っていたか。幹部職員が天下りをして高収入を得ている。その代わり現場職員が首切りとなり収入が無くなるのは納得いかない」、國枝事務局次長(愛知)は「収入のない状況で闘っている当事者がいる。年金問題で精神疾患を煩っている当事者がいる。2年5ヶ月も経過しているのは長い。迅速・公正な人事院判定を」、北久保事務局長(京都)は「懲戒処分を受けたとされ年金機構に行けず分限免職になったが、その後、懲戒処分取り消しの人事院判定が出た。取り消されたことはうれしいが、時期が遅すぎる。厚労省は謝罪もなく解雇撤回について何の対応もない。審理終了後は速やかに判定を出してほしい」、全厚生の杉浦書記長は「分限免職ありきで525人が解雇された。回避努力をしなかったことは明らかであり、事実を持って勇気ある判定を。人事院の役割を発揮してほしい」と述べました。
要請に対して人事院の武廣監理官からは、「審理について、人事院の役割を果たし迅速な判定を行うようにとの要請と受け止めた。担当に伝える。審理の内容について発言できないことにはご理解を。人事院に対する期待については伝えたいと思う」と述べるにとどまりました。全労連根本副議長が、「判定が与える影響は大きい、圧力に屈しないようにお願いしたい」と述べ要請を終わりました。
以上