年収80万円、交通費は自分で出すのが当然、
有給休暇も社会保険もない官製ワーキングプアの実態
(国公一般すくらむブログ2009-04-26)

【とりくみ:官製 ワーキングプア】2009-04-26
 きょう開催された「なくそう!官製ワーキングプア 4.26反貧困集会」の模様を、朝日新聞のサイトとNHKテレビが報道してくれています。報道された実態の部分を紹介します。
 
 朝日新聞のサイトでは、「年収80万円、職場転々…官製ワーキングプアの訴え切実」と見出しを打ち、「名ばかり公務員」といえる実態を次のように紹介しています。
 
 集会には全国から430人が参加。図書館司書や消費生活相談員、清掃車の運転手、保育士ら、公共サービスを現場で支える非正規公務員が次々と、低賃金や短期契約による雇い止めの不安を訴えた。
 
 首都圏の小学校で臨時教員として働く50代の女性は、年齢制限などで常勤職が見つからず、時給1,210円で1日5時間勤務。年収80万円だという。
 
 女性は夏休みなどは学童保育で働くが、それでも生活は成り立たない。週末にスーパーでアルバイトをしたが、疲労で授業に集中できなくなった。周囲に相談して出した結論は、生活保護だった。いまは月5万円前後を受給する。「甘えている」という批判に悩みもしたが、「生活が安定したことで、子どもたちにしっかり向き合えるようになった」と前向きに話した。
 
 20年間非常勤として務める50代の都の消費生活相談員は、昨年度から1年の有期契約を4回までの更新に限られることになり、今後も働けるか不安だという。消費者庁は設置される方向だが、「これでは十分な経験を積めず、専門知識も身につかない」と嘆いた。
 
 都の事務補助などの仕事をする臨時職員(50)は、契約期間の2カ月ごとに職場を移り、6カ月働くと1カ月休む。8時間労働で日給7,190円。通勤手当も有給休暇もない。労組関係者は「自治体の社会保険適用逃れではないか」と指摘した。
 
 NHKテレビは、「公務員の非常勤も格差是正を」と題して、午後6時のニュースで、官製ワーキングプアの実態を次のように放映しました。
 
 千葉県内の公立図書館で働く女性は「常勤と同じく専門性が要求され、常勤に仕事の指導をすることもあるが、雇用期間に制限があって、いつ雇い止めにあうのかわからず不安だ」、「あなたたちは産休は取れない」、「自分で好きで来てるんだから、交通費は自分で出すのが当然だ、などと言われている」と訴えました。
 
 埼玉県内の公立保育園で働く女性は「常勤とほとんど変わらない仕事をしているのに給料など待遇面は大きな格差がある。働きに見合った待遇にしてほしい」と訴えました。
 
 また、東京都の臨時職員として働く女性は、「正規職員は有給休暇が多いので、実際は、臨時職員の方がはるかに多く働いている。それなのに、雇用保険など社会保険は一切ありません」と実態を訴えました。
 
 実行委員会によりますと、自治体が財政難を背景に常勤職員を削減する一方、行政サービスが落ちないよう人件費が安い非常勤職員を増やした結果、非常勤が常勤並みの仕事を担うケースが増えているということです。実行委員会の白石孝代表は「公務員といえば、安定的なイメージがあるかもしれないが、非常勤や臨時職員の人たちの労働環境は、民間以上に厳しい現実がある。国や自治体には現実に即した待遇に早急に改善してほしい」と話していました。