大学教員もワーキングプア 研究者志望の若者を待つ茨の道
(国公一般すくらむブログ2008-10-20)

【とりくみ:官製 ワーキングプア】2008-10-20
 週刊東洋経済(10/18)が、大学特集を組んでいます。少子化による18歳人口の減少という「市場縮小」に直面し、2008年度に定員割れを起こした私立大学は47.1%(前年度比7.4%増)と全体の約半数になり、国立大学法人も連年の運営費交付金削減で青息吐息。日本の大学が危機に陥っている背景には、OECD加盟30カ国中でワースト1位の大学への公的支出にあります。その結果、世界一高い学費と、貧弱な奨学金制度が学生を襲い、「教育の格差拡大」「教育の機会不平等」がまかりとおっています。日本のように授業料が高く、しかも奨学金制度が未整備な国は他にはないのです。
 
 4年制大学を卒業すると返還する総額が775万円にものぼる「教育ローン化している奨学金」を返済できない人が急増しています。低所得を理由に返済できない人が、2001年度19.1%から2006年度45.1%と2倍以上増加。無職・失業を理由に返済できない人が、2001年度6.5%から2006年度23.5%と3倍以上も増加しています。これは、大学卒業後、安定した収入を得られる職業が見つからないなど雇用環境の悪化が背景にあり、大学で福祉を専攻した学生は、「卒業後は福祉関係の仕事に就きたいがどこも月給12万~13万円ほど。返還していけるだろうか」と不安をつのらせています。
 
 特集の中で、労働経済ジャーナリストの小林美希さんが、「大学教員もワーキングプア/『博士課程修了者倍増』の国策は達成されたが、定職に就けない高学歴ワーキングプアが大量発生。研究者志望の若者を待つ茨の道の実態は」と題したルポを書いています。
 
 年収100万~150万円のワーキングプアの状態におかれている35歳の非常勤講師2人と、41歳の非常勤講師の窮状がルポされています。
 
 1コマ約7,000円、8つの大学でやっと14コマを確保した早稲田大学大学院で博士号を取得した35歳の男性の年収は150万円。「講座を受け持つと、委任状はもらえるのだが、労働契約は今まで、1度も交わしたことがない。『文句を言えばその後の就職に響くため、我慢している』という」、「年度末になって突然、『来年度からは講座がありません』と、紙切れ一つで知らされた」など突然雇い止めされる不安定な身分におかれています。
 
 一橋大学大学院で博士号を取得した41歳の男性は、「現在、4つの大学で非常勤講師をしているが、月収は12万~15万円。もう10年近くワーキングプアの状態」が続いています。
 
 そして、2004年度から始まった国立大学の独立行政法人化に伴い、国から支出される運営費交付金が毎年1%ずつ削減され、非常勤講師の雇用条件はますます悪くなるばかりです。
 
 都内の国立大学の元理事は、「定年退職した教員の後任は補充せず、専任講師の講座は非常勤に置き換えた。非常勤の単価も独法化後に3割カットした」と語っています。
 
(byノックオン)