全国の怒りを結集~第2回口頭弁論ひらかれる(「国公労連速報」2012年10月30《No.2842》「公務員賃下げ違憲訴訟」闘争ニュース第8号)

【とりくみ:公務員賃下げ違憲訴訟】2012-10-30
 全国の怒りを結集~第2回口頭弁論ひらかれる
 
 「公務員賃下げ違憲訴訟」第2回口頭弁論が10月29日にひらかれ、国公労連は傍聴席を満席にして口頭弁論に臨むとともに、東京地裁前要求行動と報告集会を展開しました。
 
 全ての労働者の賃金底上げをめざそう
 ――東京地裁前要求行動
 
 口頭弁論に先立つ12時15分からの東京地裁前要求行動には全国各地から300人が結集。多くの民間の仲間も駆けつけました。主催者あいさつに立った宮垣委員長は、「国の賃下げは民間をはじめ各分野に深刻な影響があり、政府は独立行政法人や国立大などにも同じような引き下げを強要し、負の連鎖が現実になりつつある」と述べ、「提訴に踏み切ったのは、賃下げの連鎖に歯止めをかけるためである。最賃の大幅引き上げ、均等待遇の実現、賃金を人間らしく働ける水準に引き上げ、良質な雇用を確保する運動と一体でたたかいを進めていこう」と呼びかけました。

 民間の仲間を代表して2名が激励あいさつに立ち、全農協労連の国分書記長は「一方的な賃金引き下げは、民間だと労働基準法でも禁じられている違法な行為。農協には公務員に準じている職場もたくさんある。負の連鎖に歯止めをかけるため、たたかっていこう」、自交総連の菊池書記次長は「賃下げされればモノが売れなくなり、モノが売れないから賃下げ、リストラと悪循環が続く。労働者同士で足のひっぱりあいをするのではなく、低いところを引き上げるために共にがんばろう」と訴えました。

 つづいて、弁護団を代表して佐久間弁護士が「国から準備書面が出されたが、賃下げが人勧を経ていないとしても代償措置はたくさんあるから良い。法律で決めたことだから良いと主張している」と述べ、「労働基本権は憲法に定められているのに、法律が憲法に違反して良いのか。公務員は無権利の状態にあり、その権利を回復するのが今回の裁判」、「民間の場合でも、賃下げする場合は高度の必要性と合理性がなければならないというのが判例である。今回の賃下げに必要性と合理性はあったのか」と強調しました。

 個人原告の2名が決意表明に立ち、全経済の椎名委員長は「特許庁の職場には若い職員が多く、今回の賃下げについて聞いたところ、アパート代が払えないなどの悲痛な声があった。新聞にも、『給与は就職先を選ぶための大事な要素で、優秀な公務員が減って困るのは私たち国民』だという記事が掲載され、まさにその通りと実感した」、全国税関信地連の高橋執行委員は「仕事量は増えているのに、処遇は改善されず、懲戒処分に匹敵するような賃下げは絶対許されない。民間労働者とともにたたかい、積極的に地域に出ていこう」と違憲訴訟勝利にむけて奮闘する決意を述べました。
 
 震災復興のためにも、国は使用者として責任を果たせ!
 ――国土交通労組と全医労の仲間が陳述
 
 14時から開かれた第2回口頭弁論では、第1回口頭弁論に続いて、東京地裁で一番広い103号法廷を原告席、傍聴席とも満席に埋め尽くしました。傍聴には、原告と単組、ブロック・県国公、航空労組連絡会、JAL不当解雇撤回裁判原告団、神奈川労連、郵政産業労働者ユニオンの仲間が駆けつけました。

 原告の2名が意見陳述を行い、国土交通労組の山下雄生さんは、東日本大震災の緊急災害対策派遣隊(TEC-FORCE)の一員として復興支援を行った自らの体験も含めて陳述。①国家公務員の労働者である私たちが勇気を持って異議申し立ての声をあげ、人権を大切にする運動を始めたいと思い原告になった経過や震災直後の国家公務員の対応、賃下げの理不尽さを中心に訴え、「国は使用者として憲法や法律にもとづき、労働者の権利をきちんと保障する姿を全国の民間企業経営者に示すべき。理不尽な賃下げは即刻撤回すべきだ」と被災地での国公労働者の奮闘ぶりを述べるとともに、職場の怒りを訴えました。

 全医労の小野寺かつ江さんは、被災地の宮城県登米市にある国立ハンセン病療養所東北新生園に働く看護師と職員の過酷な勤務実態を具体的に告発。ハンセン病療養所でいま起こっていることや、賃金引き下げがもたらす甚大な影響について述べ、「入所者の方々にとって私たちは家族の一員であり、絆の深さを支えとしてきびしい労働に耐えてきた。東日本大震災のときも、自らが被害にあっても、支援物資が届かない中で食糧・軽油・重油の確保に正規・賃金職員も関係なく走り回り、休憩室に寝泊まりして働き続けた。一律賃金削減という打撃は、この入所者との絆を無惨にも切り裂くものだ」と賃下げの非人道性を訴えました。(意見陳述の詳細は国公労連HPに掲載予定です。)

 なお、次回の第3回口頭弁論は1月21日(月)15時30分から東京地裁103号法廷で開かれることとなりました。
 
 宣伝行動と署名完遂を意思統一
 ――報告集会
 
 弁護士会館での報告集会には、傍聴に入りきれなかった仲間も含め130人が結集しました。主催者あいさつで宮垣委員長は、「国民全体の奉仕者として懸命に業務をおこなっているのに、公務労働者の生活を破壊するだけでなくやりがいも切り捨てられた。国側の主張で、国公労連委員長から意見を聴取し『やむなく』賃下げ法を可決・成立したとしているがでたらめである。今後、事実経過が争点になるが世論で裁判所を包囲しよう」と呼びかけました。

 加藤弁護士が、準備書面のポイントなどにふれ、「国の反論は、交渉経過に力を入れている。国は交渉は行ったものの、かみ合わないまま決裂し法案を成立させたものであり、代償措置である人勧にもとづかないのは憲法とILOに違反する。年内に反論を取りまとめることとしている」と述べました。

 個人原告から5名が決意表明を行い、国土交通労働組合東北運輸支部の越戸さんは「粘り強くたたかい、理解を得ていくことが使命だと思う。勝ち抜くまでがんばる」、全労働福岡支部の黒岩副委員長は「政府がブラック企業化している。公務員攻撃が強まっているが、運動に結集してはね返していく」、全司法東京地裁支部の青栁さんは「法律の仕事をしている中、憲法に違反する賃下げをそのままにはしておけない」、全国税埼玉県支部の高橋書記次長は「賃下げスパイラルから脱却し、官民一体のたたかいをつくろう」、全厚生本省支部の田口副支部長は「賃下げに続いて退職手当の削減も狙われている。二重三重の攻撃は許されない」とそれぞれの職場や地域で奮闘していく決意を述べました。

 盛永副委員長が行動提起を行い、「2年後は消費税が引き上げられる。2年たった時点で賃下げが終わる保証はない。何としても勝たなければならない」と述べ、「世論で裁判所を包囲するために毎月の定例宣伝行動と、個人署名100万筆、団体1万筆の目標達成に全力をあげよう」と強調しました。最後に宮垣委員長の団結がんばろうでたたかう決意を固め合いました。