年金記録の早期解決と年金制度の改善を!◆安心年金つくろう会が厚生労働省に申し入れ
【2013年2月13日付「社保庁職員不当解雇撤回ニュース」№76】

【とりくみ:社保庁 分限免職】2013-02-13

 安心年金つくろう会は2月4日、厚生労働省に対して「国の責任で安心・信頼できる年金制度と業務運営体制の確立を求める申し入れ」を提出し、要請しました。要請は、国公労連の川村副委員長と中央社保協の山口一秀事務局次長など5名で行い、厚労省は年金局総務課の武田課長補佐をはじめ8名が対応しました。
 冒頭、川村副委員長が「安心年金つくろう会の申し入れは一昨年の11月以来となるが、国民の最大の関心は年金記録問題の解決であり、それなくして信頼回復はあり得ない」と申し入れの趣旨を説明し、厚労省の回答を求めました。

記録問題解決の具体策示さず、制度改善にもゼロ回答

 厚労省は、年金記録問題を再発させないための原因と対応策について「平成24年9月に2873万件解明し、2222万件が未解明。年金記録問題検証委員会の報告では、年金請求時の相談で年金記録を確認すればよいと考え、定期的な連絡をしなかったことが原因の一つとしている。現在はねんきん定期便を送り年金記録を毎年確認してもらっている」と回答。年金記録問題の早期解決のための正規職員の増員については「年金機構の必要人員は基本計画で厳格に定められ、記録問題対応は有期雇用で対応するので、正規職員の増員はきびしい」、旧社保庁職員の分限免職処分については、撤回する意思はなく、懲戒処分歴のある職員は雇用しないとの閣議決定についても「政府方針であり、前の自民党政権がしたことなので見直しは難しい」、年金機構の有期雇用職員の雇い止めについても「段階的に未解明記録が減少する中、雇い止めはやむを得ない」との見解を示しました。
 市場化テストや業務請負などの外部委託の見直しについては、「市場化テストは国民年金保険料の納付督励を行っているが、納付率は低下傾向にあり徴収体制の見直しが必要」と回答するものの、業務請負については「基本計画でできるだけ請負などで効率化を図るとされている」として直接実施についての発言はなく、「マクロ経済スライドは、少子高齢化への対応で行われた。年金財源の安定と世代間格差を埋めるためのものであり理解してほしい。最低保障年金について、三党協議により国民会議が設置されている。その議論を見ながら検討していく。年金支給開始年齢は、2030年に65歳まで引き上げられる。一生の長さが伸びており、高齢期の社会参加が必要。受給資格が10年に短縮されることによる財源の確保は増税で行う」と回答しました。また、年金制度を国の責任で直接運営することについては「年金機構は社会保険庁の不祥事、業務運営の不信感をぬぐうため、厚労省直接の監督で行う公法人として設置したもの。業務運営の管理責任は厚労省にある」と回答しました。

厚労省は年金業務運営の管理責任を果たせ!

 国公労連の川村副委員長は「記録問題について全力をあげると言うが、昨年4月から8ヶ月で53万件しか解明できていない。どう解決するのか。国民の信頼が回復できるのか。納めたものが回復されないことへの不信に対して回答がなければ納得がいかない」と発言。厚労省は「平成19年と比べると解明のペースは落ちている。国民への呼びかけをしなかったのを特別便で全員に呼びかけ、一件一件突き合わせてきた。再度記録確認を呼びかけるキャンペーンしている。効果は申し上げられないが、解明に結びつけたい」と述べるにとどまりました。
 また、有期雇用職員の雇い止め問題について「このままでは25年度末までに解決できないのに職員の雇い止めを行うのは衝撃だ。厚労省は記録問題を投げ出しているといえる」、「年金相談などの対応をする人がコロコロかわって信頼が得られるのか。指導官庁として対応する必要がある」との指摘に対しては、「定員削減のなかで、2,000名もの削減は大きな問題。どう対応するか監督官庁の立場で見ていきたい」と回答しました。
 最後に、マクロ経済スライドによる年金の引き下げについて山口事務局次長が「財政の安定、世代間格差の解消と言うが、高齢者の実態をどうとらえているか。高齢者はいまの年金では生活できないのに、下げるのはやめるべきだ。生活実態をとらえてほしい」と述べ、川村副委員長が「安心して老後を暮らせる年金制度にするため、国民の声を聞いて制度改善に努めるのが厚労省の任務だ。あらためて要請する」と発言し、要請を終えました。