厚生局非常勤職員と年金機構有期職員の雇い止めは許さない!◆社保庁職員不当解雇撤回もとめ厚労省要求行動を実施【2013年2月19日付「社保庁職員不当解雇撤回ニュース」№77】

【とりくみ:社保庁 分限免職】2013-02-21
 525人もの社会保険庁職員が不当に解雇されてから3年2か月。国公労連は2月18日に社保庁職員の解雇撤回と雇用確保を求める2・18厚労省前要求行動を展開しました。冷たい雨が降るなか、全労連の社保庁職員不当解雇撤回闘争対策会議のメンバーや民間単産、「日本IBMロックアウト裁判」をたたかうJMIU、JAL原告団の仲間など約100人が参加し、怒りの声をあげました。
 主催者あいさつで国公労連の岩崎副委員長は、「年金への国民の信頼を回復するためには、5000万件もあった年金記録問題の解決、安心できる年金制度の確立が求められるのに、いまだに2000万件もの未解明記録が残っている。複雑な年金問題を解決するためには年金業務に精通した職員が必要。厚労省は本来の使命にたち戻り、自ら行った分限解雇職員の雇用回復や非正規労働者の雇用安定に力を尽くすべきだ」と訴えました。
 不当解雇撤回東京弁護団の加藤弁護士は、「12月26日の口頭審理、書面による最終陳述書を1月28日までに提出した。社保庁バッシングを跳ね返すためにも、社保庁分限免職問題を取り上げたブックレット『なにが目的か?国家公務員の解雇』を活用し、人事院の勝利判決を勝ちとるためのとりくみをいっそう強めよう」と呼びかけました。
 連帯のあいさつした全労連の根本副議長は、「年金記録解決のために働いている有期雇用職員が雇い止めされようとしている。分限免職された職員も有期雇用で働いており、これでは二重の解雇だ。公正・公平な人事院判定にむけて2~3月期のたたかいを強め、署名とハガキを積み上げよう」と述べ、京都総評の吉岡事務局次長は、「京都では夫婦で解雇され、苦しい生活を強いられている。人事院は北久保さんの懲戒処分を取り消したのに、厚労省はいまだに職場に戻していない。京都では毎月18日に宣伝行動を実施しているが、今日は争議支援総行動を展開している」と発言しました。
 決意表明した国土交通労組の後藤副委員長は「社保庁職員の不当解雇は、道州制・出先機関廃止での公務員首切りにもつながる重大問題であり、憲法にもとづき経験ある職員を職場に戻すべきだ。国土交通労組は全国の仲間と一緒に奮闘する」と述べ、全厚生闘争団の伊藤事務局次長は「厚労省は信頼回復のために職員を解雇したと言うが、年金記録問題はいまだ解決せず、民間の乱暴な解雇を広めたのが現実ではないか。安心・信頼できる年金制度をつくるということは、ベテラン職員を年金業務につかせることによって初めて実現する。みなさんの支援をよろしくお願いします」と当事者の決意を表明しました。

年度内の処分取り消しの早期判定を! ~判定期日を事前に明らかにせよ、人事院に要請~

 2月18日、全労連社保庁職員不当解雇撤回闘争対策会議は、社保庁職員不当解雇処分の早期判定を求めて人事院に要請しました。要請は、全労連の根本副議長と国公労連の川村副委員長のほか8名で行い、人事院側は武廣事務総局監理官ほか1名が対応しました。
 全労連の根本副議長が「分限免職処分取消請求事案の迅速・公正な判定を求める要請署名」(16,575筆、累計79,900筆)を提出し、「いよいよ年度内判定の時期に来ている。申し立てから3年。全員の処分取消の判定をいただきたい」と述べ、国公労連の川村副委員長は「裁判と同じように判定の期日を事前に明らかにするなど配慮してほしい」と述べ、早期判定と判定期日を明らかにするよう求めました。
 京都総評の吉岡事務局次長は「3年は長すぎる。年度内判定をだしていただきたい」、秋田県労連の佐々木議長は「厚生局の非常勤職員に採用された当事者が3月末で雇い止めにあう。非常に切迫した問題であることを受け止めてほしい」、岐阜県労連の岸事務局次長は「岐阜にも厚生局非常勤職員の当事者がいる。人事院は判定期日の指定ができるのか回答してほしい」、香川の「綾さんを励ます会」事務局長の森さんは「当事者の綾さんは、メンタルで身体をこわし、分限免職になり、家庭も崩壊するなど三重苦となっている。人事院だけでなく裁判もたたかっている。年度内判定をだして、苦しみを救ってほしい」と述べました。
 全厚生の川名書記長は、「人事院の良心で、この問題を受け止めて、分限免職撤回の回答をいただきたい」、当事者の國枝さんは「処分取消で職場復帰をさせてほしい」、伊藤さんは「政権政党にこびへつらうことなく、公正・公平な判定を求める」と述べました。
 人事院の武廣管理官は「皆さんのお気持ちは担当者に伝えます」と回答。再度、全労連の根本副議長より「分限免職など社保庁職員が政治に翻弄されてきたことは明らか。人事院は、独立した機関として公正・公平の機能を果たしてほしい。39人の雇用と生活がかかっている、生身の問題として捉えてほしい」と述べ人事院要請を終了しました。

厚労省は雇用確保に責任ある対応を行え! ~解雇撤回と厚生局非常勤職員の雇用確保を厚労省に要請~

 昼の厚労省前要求行動の後、全労連社保庁職員不当解雇撤回闘争対策会議は社保庁職員の解雇撤回を求める厚労省要請を行い、全労連の根本副議長はじめ9名が参加しました。厚労省は武田年金局総務課長補佐など6名が対応しました。
 北久保氏の身分と権利の回復を求める要請ハガキ2,939枚(累計5,862枚)を提出した全労連の根本副議長は、「人事院の年度内の判定が迫っているが、判定を待たずに処分は撤回してほしい。年金記録問題で出向していた職員が厚生局に戻る代わりに、分限免職回避で厚生局非常勤職員となった者が雇い止めになる。闘争団当事者では4人いる。厚労省として責任ある対応を求める」と述べました。
 秋田県労連の佐々木議長は「厚生局非常勤職員の当事者が1名いる。4月以降行くところがない。責任を持って考える必要がある」、岐阜県労連の岸事務局次長は「岐阜にも厚生局非常勤職員の当事者が1名いる。分限回避努力の継続として厚労省には責任がある。解雇リストラの嵐の中、厚労省による不当解雇は影響がある」、香川の「綾さんを励ます会」事務局長の森さんは「綾さんは、昨年労務士試験に合格した。仕事に対する意欲も能力もある。愛媛には厚生局非常勤職員の当事者が1名いるが、子供が生まれて生活は大変。四国で1人の雇用がなんとか確保できないか」、京都総評の吉岡事務局次長は「39人の不服申立や京都15人の裁判は異常な事態。当事者として解雇回避を探るべきではないか」と述べました。
 当事者の伊藤さんは「解雇から3年過ぎている。職員を苦しめなくてもいいでしょう。職員の身になって救済措置を考えてほしい」と述べ、國枝さんは「2月7日に東海北陸厚生局に対して要請した。愛知でも非常勤職員の当事者が1名いる。最後の最後まで雇用の確保に尽くしてほしい」と述べました。国公労連の川村副委員長は「4人の雇用確保に努力すべき。分限免職は不当であり、2回目の首切りをしてはならない」と述べました。
 厚労省の武田課長補佐は、「人事院は3月までに判定をだすつもりと聞いている。人事院の判定を待ちたい。取消判定がでた場合の対応として職場復帰や未払い賃金の支払いが考えられるが速やかに対応できるよう検討している。厚生局非常勤職員の雇用は1年延長になったが、25年度については延長ができず、再就職の情報提供などやれることをやっている。本人を交えた対応を3月まで行う」と述べました。
 厚労省の回答に対して京都総評の吉岡事務局次長は「4月以降も厚労省の責任で雇用確保できないか。首切られるのは死刑宣告と同じ。情報提供だけでは足りない」、秋田県労連の佐々木議長は「年金記録問題は解決していないのに職員を引き上げるのか」、全労連の根本副議長は「情報提供だけであっせんはできないのか。民間の就職斡旋を比べても程度が低い」と厚労省の不十分な対応を批判しました。最後に川村副委員長から「分限免職は個人に責任はなく、厚労省は雇用確保に道義的責任がある」と述べ、要請を終えました。