安心・信頼できる年金制度と業務体制の確立を!年金機構は経験ある有期職員を雇い止めするな◆安心年金つくろう会が高井戸駅頭で宣伝行動
【社保庁職員不当解雇撤回闘争ニュースNo.78】

【とりくみ:社保庁 分限免職】2013-02-25

 安心年金つくろう会は2月15日早朝、日本年金機構本部がある高井戸駅前で宣伝行動を実施しました。中央社保協、全厚生本部、全厚生日本年金機構本部支部、全医労、国公労連などから16人が参加し、ハンドマイク宣伝とビラ配布を行いました。
 全厚生の杉浦副委員長は、「日本年金機構の6割は有期雇用職員だが、今年3月末に2000人が雇い止めされようとしている。国民の大切な年金を扱う業務を専門的・安定的に遂行するためにも、有期雇用職員の雇用の安定化と労働条件改善が必要だ。憲法25条を生かし安心できる年金制度と最低保障年金制度をつくろう」と訴えました。
 中央社保協の山口事務局次長は、「生活保護切り下げや年金・医療改悪など社会保障が改悪され、国民の命と暮らしが危ない状況だ。消費税増税をストップし、税と社会保障の一体改悪で決められた社会保障制度改革推進法を廃止する運動を大きくしよう」と呼びかけました。
 全厚生の川名書記長は、「『宙に浮いた年金記録』の5095万件は、いまだに2201万件が未解明のままだ。厚労省は2013年度中に記録問題を解決するとしているが、あいまいにすることは許されない。安心年金つくろう会は、厚労省と日本年金機構に対して、記録問題の発生した原因と解決にむけた具体策を明らかにするよう求めていく」と訴え、国公労連の川村副委員長は、「記録問題の解決に逆行する経験者の雇い止めは、信頼回復に背をむけるものだ。安心・信頼できる年金制度と体制確立をめざそう」と呼びかけました。

年金記録解決のために雇い止め撤回、体制強化を
安心年金つくろう会が日本年金機構に申入れ


 安心年金つくろう会は早朝宣伝後、日本年金機構本部に対して「日本年金機構の専門的、安定的な業務体制の確保等を求める申入れ」を提出し、要請を行いました〈申入れ書は別紙参照〉。
 安心年金つくろう会からは、中央社保協の山口事務局次長、日本婦人団体連合会の榎本事務局長、国公労連の川村副委員長と國枝中央執行委員、中田書記が参加し、年金機構本部側は高井総務部長他3名が対応しました。
 冒頭、国公労連の川村副委員長が申入れの趣旨を説明し、「年金記録問題はいまだに解決されず2200万件もの未解明の記録が残っている。一方、記録解決のために雇用された有期雇用職員が、予算削減を口実に今年3月に2000人、3年間で6000人が雇い止めされようとしている。経験と知識を持った職員の雇い止めは、複雑な年金業務に重大な支障を及ぼすことは明らかだ。経験と専門性をいかしてこそ国民の信頼回復ではないか」と訴え、日本年金機構の回答を求めました。

「業務に応じた職員確保は必要」

 日本年金機構は、年金記録問題を再発させないための対応策について「ねんきん特別便はおおむね終了。紙台帳との突き合わせは来年度までに完了させる。1月から年金記録の再確認キャンペーンを実施し、記録漏れなどの確認を呼びかけている。定期便、年金ネットで本人の確認を徹底させ、年金記録の正確性を確保していくとともに、正確な事務処理のための電子化をすすめている」と回答。年金記録問題の早期解決のための正規職員の増員については「4月には新規職員や准職員を採用し、7月には有期職員を正規職員に登用している。正規職員数は2008年の基本計画に定められており定員の拡大は困難だが、業務に応じた職員確保は必要であり、予算、人員の確保に努める」と回答しました。
 市場化テストや業務請負などの外部委託については、「2008年の基本計画の閣議決定にもとづき、効率化とコスト削減を図っている。国民年金保険料の納付督励業務については様々な問題があり、見直しの検討を行っている」と回答しました。
 年金機構の有期雇用職員の雇い止めについては、「雇用契約書によって雇用期間については有期職員に理解してもらっている。区切りとなる2013年度中の解決に努力する計画をふまえ、有期雇用は縮小せざるを得ない。有期職員の正規職員登用は毎年すすめている」と回答。最後に、「平成20年の基本計画で決定した『懲戒処分を受けた職員は年金機構に採用しない』との採用基準見直しについては厚労省に伝える」と回答しました。

国民の年金権を守るため、年金機構は責任を果たせ!

 国公労連の川村副委員長は「記録問題は2013年度中に区切りをつけると言ったが、具体的にどう解決するのか示すべきだ。『宙に浮いた年金』の解明は進んでいるが、昨年4月から9ヶ月間では57万件しか解明できていない。2014年度以降は本人の責任として曖昧にすることは許されない。いまも年金機構は欠員になっている。内部登用は改善されたが、まだ不十分だ。4月の採用で欠員はなくなるのか?年金業務に責任を負う者としての認識を聞きたい」と追及。年金機構側は、「現在2200万件が未解明になっているが、1月から再度記録確認を呼びかけるキャンペーンで対応している。正規職員を採用して欠員を補充している。有期雇用職員はあくまでも契約なので、計画的に人員確保をしている」と述べるにとどまりました。
 これに対して、参加者は「いまの年金制度では高齢者は生活できない。回答を聞いても、それで年金記録が解決するとはとても思えない。年金制度は複雑で、知識と専門性、ベテラン職員が求められるのに、6割も有期雇用職員で年金業務は大丈夫なのか不安でたまらない。国民の要求と願いにこたえる気持ちはあるのか」(中央社保協)、「国民に信頼される年金業務を行うためにも、安定した継続的な雇用と労働条件改善など体制確立は重要だ。年金機構として、しっかり責任をもってほしい」(全医労)、「年金記録問題に対する国民の関心は高い。大量の雇い止めは国民の期待を裏切るものではないか。女性団体として、年金機構が雇用と労働条件、均等待遇実現、民間企業のお手本となるよう願っている」(婦団連)と発言し、要請しました。
 高井総務部長は、「国民からの信頼は最重要課題。記録保持をしっかりとりくみ、年金記録問題は大きな柱として、よりよい年金機構にしていくよう努力する。年金制度は国だが、業務執行は年金機構でしっかり対応していく」などと答えました。
 最後に、川村副委員長が「国民が納めた年金が不明になっているのであり、国民に責任はない。年金記録問題を曖昧にすることは許されない。年金機構法では『国民の信頼を基礎に』と明記してあるのに、コスト削減や有期雇用職員の入れ替えで、知識と経験が求められる年金業務が専門的に遂行できるのか。3月で雇い止めしておきながら、新しい職員を2月に雇い入れ1ヶ月の引き継ぎで対応するというのは本末転倒だ。民間企業なのだから、契約の更新はできるのではないか。安心・信頼できる年金制度と体制確立、国民の年金権を守り、年金記録の解決のために努めるのが年金機構の任務だ。引き続き、記録問題の解決も含めて要請していく」と発言し、要請を終えました。