全労連公務部会は3月2日、第5回官製ワーキングプア告発集会を東京都内で開催しました。
財界・政府・マスコミが「公務員バッシング」をあおり公務員総人件費削減をすすめるなかで、次々に生み出される「官製ワーキングプア」の実態を明らかにし、正規・非正規、公務・民間を問わずすべての労働者の連帯で、公務・公共サービスの拡充をはかり、非正規公務労働者の労働条件の改善を求めて開かれたものです。
集会では、北海学園大学の川村雅則准教授を講師に招き、国・自治体・郵政・教職員の立場らか4人のシンポジストが各分野の実態を告発しました。全体で61人が参加しました。(公務ネットニュース№989より転載)
「公務員バッシングはねのけ、夢のある運動を」
東京は前日に“春一番”が吹き春をつげましたが、うって変わって北風が再来する寒い一日となりました。
全労連公務部会の九後健治事務局次長の司会進行で、主催者あいさつした野村幸裕代表委員は、「労働者にとって安心して働きつづけられるよう構造改革をストップさせなければならない。公契約条例の制定の運動、ビクトリーマップでの内部留保の告発が認知され広がってきた。告発集会で実態を交流し、次のたたかいの糧にしていこう」と呼びかけました。
北海学園大学経済学部准教授の川村雅則氏が、「官製ワーキングプア問題と労働組合の役割」と題して講演し、はじめに“調査なくして運動なし、調査なくして政策なし”と打ち出し、労働組合バッシングは、なかなか表に出てこないので、公務員バッシングの現状を直視することが大事、条例制定にとどまらない公契約運動に取りくむ必要性などを北海道での事例をあげながら報告しました。
また、「わざわざ『官製』と取り上げざるをえないのは法の狭間におかれた「官」には厄介な問題が多い、「官」が率先してやっていいのか、道徳的に押し出し、訴えていかなければならないと強調し、身銭を切る覚悟をもって夢のある運動を進めていこうと」述べました。
休憩を挟んでシンポジウムに移り、川村氏をコーディネータ―に4人のシンポジストが登壇し、各分野から実態を踏まえた報告がつづきました。
【首都圏青年ユニオン 山田真吾事務局長】
青年の働き方について、ブラック企業に要注意!!のチラシを配って警告している。若者はもともとワーキングプアで、若者が入れる組合はどれほどあるのか。この3月期は首切りシーズンと呼ばれている。年間にして200件の相談が寄せられるが、借金があるか?手持ち金はあるか?住まいはあるか?などをはじめに聞き、即刻生活保護申請にいくこともある。働く者の権利が守るられていないことが多い。
高校生に働く前に労動法を教えている。若者が入りやすい組合をいかにつくっていくか、実態に則した課題を組合が提案し学生のうちから知らせていくことが大事だ。
ショップ99の離職率は95%もある状況をインターネットの動画に載せ、検索するとヒットするようにしている。こうしないと誰も知らせてくれない。これから働く人が基礎を知らずに労働者の権利をないがしろにされることがあってはならない。
首都圏青年ユニオンの専従者は3人、これを支える会1,200人にバックアップしてもらっている。若者が元気に発信していくことが大事である。
【国公一般 花岡利至書記長】
公務職場ではたらくものが、一人でも入れる労働組合として結成して10年、愛知・四国・北海道でも国公一般が結成されている。正規30万人に対して14万人がいる、1会計年度での雇用になり3月に雇止めが発生する。組合がないところが多く、月2回の宣伝にとりくんでいる。
共済加入とセットで組合加入をすすめ月500円の組合費だが、少しずつ進んでいる。非常勤職員は7万人いるが、厚生労働省は2.5万人以上で、一番多くはハローワークなどの窓口で一緒に並んで仕事をしている。これでは行政の劣化につながりかねない。
正規労働者からの相談が多く寄せられている。劣悪な環境で働かされ社団法人や財団法人からの相談もある。組合の方がきちんとしなければならないと襟をたださないといけない。国公一般は年間100件ほどの相談数だが、相談員もOBを活用したり、ブログの活用などでアクセス数では社会的認知度を得てきている。アクセスしやすい環境づくりが必要だ。
【郵政産業ユニオン 上平光男 中央執行委員】
郵政職場化の実態を報告し、3月1日に郵政本社前で非正規集会をおこない200人の参加があった。院内集会では生の声をぶつけていった。ノルマの問題では地方の方がすさまじい状況が見えてきた。年賀ハガキの4,500枚の押しつけで、買い取れとは言わないが、上司からお前わかっているなと凄まれる。裁判をやっている事例もある。
若者がなかなか組織化できないのでインターネットが必要なのかどうなのか。10万人の正社員化へむけてのモチベーションが下がってきている。郵政産業ユニオンでは2年おきにILOへの要請をしている。正社員化と均等待遇を求めている。外からも内からも運動をつくっていく。
【神奈川県の高校教職員】
神奈川で11年間臨時教員をしている。研修を受ける機会も得られず、60歳定年になっても退職金もなく経済状態はとても厳しい。60歳から再任用にしてもらいたい。失業とのたたかいこれが一番つらい。職を失うことが一番怖い。
神奈川の実態をお話しすると、59歳まで正規教員への試験はうけられるが、何度挑戦しても落とされる。45歳以上の人で受かった人はひとりもなく、1次で受かっても2次でふるい落とされる。塾に通いながらがんばって勉強しているが、これが2~3回続くと嫌になり落ち込んでくる。
パート労働法と均等待遇の改正を
時間が足りないと感じるほどのシンポジウムで、まだ続きを聞きたかったなどの感想文も寄せられるほど川村先生の軽妙なタッチのコーディネートでシンポジストや会場からの発言を引き出していきました。
シンポジウムのまとめと行動提起を波岡知朗幹事(臨時・非常勤職員専門委員長)がおこない、公務職場で働くすべての労働者を視野に対話と組織拡大をすすめる。幅広い労働者との共同したたかい。民間と共同して、パート労働法ならびに男女機会均等法の実効ある改正を求め、均等待遇実現に努力することを行動提起しました。
続いてアピール提案を松尾泰宏臨・非専門委員(自治労連中執)がおこない拍手で採択されました。
最後に閉会あいさつで、非正規センターの柳恵美子副代表(パート・臨時労組連絡会代表)は、「非正規が4人に1人の割合になるという異常事態を変えていかなければならない。未組織の仲間を迎え入れ当事者と運動を繰り広げ最賃・公契約・パート労働法の改善を勝ちとろう」と締めくくりました。