自動車社会の安全・安心を守るため様々な検査を実施★自動車検査独立行政法人

【とりくみ:独立行政法人労組のとりくみ】2013-03-21
■民間車検場では実施できない検査を行っています
 
 今、日本の車両保有台数はオートバイ等も含めて7980万台(2012年11月末現在)となっており、交通手段として、また輸送手段としてなくてはならないものとなっています。

 自動車は街中であっても時速50キロメートルものスピードで走行しており、ひとたび故障が起きて事故を起こすようなことになれば、搭乗者のみならず周りにも多大な影響を及ぼすこととなることから、国では自動車が安全に運行するために保安基準を定めており、自動車検査独立行政法人では国が定期的に行う自動車の検査のうち基準の適否について審査を行っています。

 それ以外にも、民間車検場では行えないナンバープレート(正式には自動車登録番号票)をはじめて付ける自動車が国の定める基準に適合しているか確認する検査や、自動車を改造して乗車定員や最大積載量などを変更した際に国が定める基準に適合しているか確認する検査、さらに、警察・運輸局と協力して自動車が違法な状態で公道を走行していないか確認するために街頭で検査を実施するなど、様々な検査を通じて自動車社会の安全・安心を守っています。

 同時に、使用者が誤った知識によって不正改造車を公道で使用することがないよう各地で開催されているカスタムカーショー等で展示されている自動車を確認し、公道使用できない自動車に対してはその旨を表示する様に指導を行うなど、啓蒙活動にもとりくんでいます。

 
 
■審査機器の保守管理は安全・安心に直結する問題
 
 自動車の審査は機器を用いて、直進性やブレーキの利き具合、スピードメーターの誤差、ヘッドライトの光の向き、排気ガス等が基準に適合している確認しています。精度を維持するためには、審査に使用する機器の定期的なメンテナンスが必要になりますが、独立行政法人化後は運営費交付金が削減され続けてきた結果、これまで年4回実施していた定期点検が年2回の実施に変更されたことに伴い、以前と比較して機器修理の回数が増えています。また、施設整備補助金も同様に削減が続けられているため、以前よりも機器を長く使い続けなければならない状況となっていることも機器修理が増えている要因です。

 このまま、運営費交付金・施設整備補助金の削減が続けられれば審査に必要な機器の精度を維持できなくなることが予想され、そうなれば自動車社会の安全・安心が守れなくなってしまいます。そのことから、現在でも不足している運営費交付金・施設整備補助金を拡充させ、審査機器の保守管理を充実させるとともに適切な時期に機器の更新を実施していくことが必要です。


 
■安全・安心を守るのは国の責任
 
 自動車検査をとりまく状況は、自動車検査場における受検者の不当要求や暴力行為、さらには民間車検場における不正車検など様々な不正が後を絶たない状況があり、民間に委ねていては「安全・安心」な自動車検査行政を確立することはできません。

 また、自動車検査は地方自治体などの個別組織ではなく、国の責務として一元的に実施することが効率化につながるとともに、全国一律の基準で公平な検査が実施可能になります。すなわち、「検査は基本的に国が実施」することで統一した基準を明確にして「公平・公正・中立」に実施する必要があります。
 
(国土交通労働組合 自動車検査労組)