厚労省は不当な分限解雇処分を撤回せよ! 解雇撤回と雇用確保を求め、厚労省へ怒りの要求行動
~社保庁職員不当解雇撤回闘争ニュース NO.87~

【とりくみ:社保庁 分限免職】2013-07-09
解雇撤回と雇用確保を求め、厚労省へ怒りの要求行動

 525人もの社会保険庁職員が不当に解雇されてから3年半が経過した7月5日、国公労連は社保庁職員の解雇撤回と雇用確保を求める厚労省前要求行動を実施しました。小雨が降る梅雨空のもと、全労連の各単産や地方組織、東京争議団、JAL原告団の仲間など約100人が参加し、「政府・厚労省は不当解雇を撤回せよ!」と怒りの声をあげました。
 主催者あいさつで国公労連の盛永副委員長は、人事院判定で全厚生闘争団11人のうち3人が処分取消になったことにふれ、「解雇回避努力が不十分と認定された。すべての処分を撤回するよう厚労省に大衆的に迫っていこう」と呼びかけました。
 連帯あいさつした全労連の斉藤組織局長は、政府・厚労省の杜撰(ずさん)で乱暴な解雇を批判し、「若者を使い捨てにする『ブラック企業』を放置しているのは政府・厚労省であり、国民生活に密接にかかわる公務員を次々と削減した『構造改革』『規制緩和』に元凶がある。参議院選挙は、まさにその選択をする選挙だ。働く者の権利を守る社会をつくっていこう」と述べ、JAL客乗原告団の斉藤事務局次長は、「人事院判定で分限免職の不当性が明らかになった。厚労省は誤りを詫びて、一刻も早く職場に戻すべきだ。解雇自由の社会を断じて許さないため、ともにたたかおう」と訴えました。
 決意表明した東京国公の植松事務局長は、「525人の首切りを強行した厚労省は、処分取消判定の結果をどう考えているのか?安倍内閣は選挙後、地方分権、道州制を本格化させようとしている。解雇撤回の運動を強めるためにも、地域に打ってでて、公務破壊を許さず、賃金・公務・公共サービス拡充を訴えよう」と訴えました。
 また、全厚生闘争団事務局次長で当事者の伊藤重雄さんは、「これまで社保庁攻撃・バッシングですさまじい人権侵害が行われ、育児休業中の職員も解雇するなど不当解雇のオンパレードだ。杜撰(ずさん)な年金記録の実態も明らかになっている。人事院の判定でその3割が取り消された今こそ、厚労大臣は全員の解雇撤回を決断するべきだ」と厚労省をきびしく批判し、運動への支援を訴えました。

分限免職の誤りを謝罪し解雇撤回を行え~全労連・国公労連が厚労省と人事院に要請~

 要求行動後、全労連の斉藤組織局長をはじめ7名が参加して厚労省要請を行い、厚労省側は年金局総務課の今井課長補佐をはじめ3名が対応しました。
 冒頭、全労連の斉藤組織局長は「20人中6人の分限免職が取り消され処分に正当性はなく、誤った分限免職をしたと認めるべき。すべての当事者に対して就職先を確保すべき」と述べ、国公労連の川村副委員長は「厚労省への転任にあたって能力評価をしていないことは国家公務員法に反するものであり不当だ」と述べ、分限免職処分の撤回、雇用確保を要請しました。
 自治労連の平野中執は「国が分限免職していると地方にも悪影響がおこる。3割の職場復帰の事態を受け止め処分のあり方を改める対応をしてほしい」、JAL客乗原告団の斉藤事務局次長は「何も悪いことをしていないのに職を失うほど悔しいことはない。業務に精通している人が年金業務につくべき」、東京国公の植松事務局長は「仕事があるのに分限免職が行われたことは、公務職場に不安を与えるものだ」と発言しました。
 全厚生闘争団の伊藤事務局次長は「処分承認された人に対して和解など解決をはかることはしないのか」、國枝事務局次長は「提出したハガキの一言欄にある支援者の思いを受け止め、速やかに解雇撤回を行うべき」と述べ、厚労省に解雇撤回を求めました。
これに対して厚労省年金局の今井課長補佐は、「処分取消となった者については、円滑な支援を行いできるだけのことを行う」と述べたものの、前回の要請と同様に政務三役にも伝えると回答するにとどまりました。また、「人事院判定は今後速やかにでるものと思われる」としながら具体的な判定時期はわからないとし、処分承認された人たちへの対応については「現時点で具体的な動きはない」と回答しました。
 最後に全労連の斉藤組織局長が「今後の裁判闘争を長引かせないでほしい。また、年金業務を日本年金機構に民営化したことが正しかったか検証するべき」と述べ要請を終えました。

早期取消判定を出して、人事院の役割を果たせ

 厚労省要請に続く人事院への要請では武廣監理官ほか1名が対応しました。
 全労連の斉藤組織局長は、社保庁職員の分限免職処分の早期取消判定を求める要請署名600筆(累計97,159筆)を提出し「一日も早く判定をだしてほしい。3割も処分が取り消されたのに、処分者の責任が問われないのはおかしい」と述べ、国公労連の川村副委員長は「判定がでていない51人の気持ちは大変。厚労省への転任面接は能力主義によるものではなく、分限免職の公平・公正原則に反している。その面接評価をもとに処分の妥当性を判断しているのは矛盾している」と述べ、早期取消判定と判定の見直しを求めました。
 自治労連の平野中執は「ずさんな国の対応まで踏み込んで、全員解雇回避できたと自信を持って判断して欲しい」、JAL客乗原告団の斉藤事務局次長は「当事者は職を失い、収入もない。一刻も早く判定をだして欲しい」、東京国公の植松事務局長は「面接評価だけで厚労省への転任者を判断するのは国家公務員法にも反する。すべての当事者に対して分限免職処分が不適切だったと判断し、人事院の役割を果たして欲しい」と述べました。
 全厚生闘争団の伊藤事務局次長は「過去に懲戒処分歴あるものは年金機構に採用されないとの閣議決定について判断を避けているのは納得できない」、國枝事務局次長は「人事院審理に3年半もかかっているのは長すぎる。すみやかに判定をだすよう求める」、全厚生の杉浦副委員長は「人事院判定で政府の責任を不問にしているのは納得できない」と述べました。
 要請に対して人事院の武廣監理官は、「少しでも早く判定がだせるよう努力している。人事官が一人加わり、期待を裏切らない形で作業している」としながら、具体的な判定時期についてはわからないと回答。その他の要請内容については、担当部署に伝えると回答し、要請を終えました。
 
   以 上