直ちに社保庁職員の解雇撤回を!!国公労連が厚労省に要請
~社保庁職員不当解雇撤回闘争ニュース NO.88~

【とりくみ:社保庁 分限免職】2013-07-12
 国公労連は11日午前、厚生労働省に対して「旧社保庁職員の解雇撤回を求める要請書」(別記)を提出し、分限解雇の速やかな撤回と日本年金機構の安定した業務を確保するためにも「懲戒処分歴のある職員は年金機構に採用しない」との閣議決定を見直すよう求めました(写真)。
 厚労省要請は、国公労連の川村好伸副委員長と國枝孝幸中執、単組代表の総勢7名で行い、厚労省側は年金局総務課の今井悟課長補佐ほか2名が対応しました。
 川村副委員長は、「国公労連は社保庁の解体・民営化に反対し、国の責任で年金業務を運営することを求めてきた。今日でも年金記録問題は2200万件が未解明であり、年金給付の切り下げなど、国民の年金に対する不信はさらに増してしいる。社保庁の廃止と職員の大量分限免職での経験者の不足によって記録問題処理に支障を来し、未だに年金業務が混乱している。人事院は、厚労省の解雇回避努力の不十分さを認定し取消判定を行った。厚労省転任にあたって、人事評価や能力・実績の評価ではなく、10分程度の面接官の主観的評価で人選したことは国公法にも反しており、社会的にも大問題だ」と述べ、年金業務の安定的体制を確立し、国民の信頼を回復するためにも525人の解雇の撤回と、懲戒処分歴のある職員を排除する閣議決定の見直しを求めました。
全労働の丹羽書記次長は「ブラック企業は労働法制を無視し、正規を非正規に置き換えている。雇用を安定させる厚労省が、懲戒処分歴で年金機構から排除することはおかしい」、全医労の瀬谷副委員長は「年金記録問題をどう解決するか、国民をどう守るのかが大きな問題。閣議決定を問い直すことが求められる。解雇を撤回して希望者を機構に採用し、信頼できる年金業務を構築するよう求める」、国土交通労組の笠松書記長は「国土交通省は震災でのとりくみが国民から評価された。年金記録問題のとりくみで信頼を回復する必要がある。 解雇の3割が取り消されており、厚労省の不当性は明らか。2200万件の記録問題を解決できるのか。判定を受けとめてすべての分限解雇を撤回し職場に戻すことが重要だ」、全経済の渡辺書記長は「この3年半の当事者の苦労は相当なもの。一刻も早く取り消すべき、20人中6人が解雇取り消しとなったが、たたかわなければ救われなかった。誤りを認めて全員を職場に戻すべき」、全法務の宮坂書記次長は「法務局でも業務委託で民間が入ってきているが、経験者がいないと職場はまわらない。処分取消がでている中、全員が年金機構に戻れる状況をつくる必要がある」、国公労連の國枝中執(全厚生闘争団事務局次長)「面接がたった10分程度のいい加減なものであり、面接結果で判定が分かれることには納得いかない。面接の成績に関係なく解雇を撤回し職場に戻れるよう求める」と、それぞれが厚生労働省として解雇を撤回するよう求めました。
 年金局総務課の今井課長補佐は、処分が取り消された当事者の職場復帰や希望尊重の姿勢を示すも、「皆さんの要請については省幹部に適宜報告する」と述べるにとどまりました。
 最後に川村副委員長が、「人事院判定で処分取消とならなかった当事者は納得していない。能力も実績にも差はない。事務次官も交替しており、政務官も含めて今日の要請内容をしっかり伝えるよう求める」と述べて要請を終わりました。
以 上
 
(別記)
2013年 7月11日
厚生労働大臣
  田 村 憲 久  殿
 
日本国家公務員労働組合連合会
中央執行委員長 宮垣 忠
 
旧社保庁職員の解雇撤回を求める要請書
 
 社会保険庁が2009年12月末に廃止されたことに伴い、525人の職員が分限免職(整理解雇)されてから3年半経過しました。この間、全厚生労働組合の39人の組合員が分限免職の取消を求めて人事院審理をたたかってきましたが、人事院は本年3月29日付けで4人、5月31日付けで7人の全厚生組合員の判定結果を公表し、大阪の大島琢己さんをはじめ3人について厚生労働省への転任手続きの瑕疵を認めて処分取消を命じました。また、全厚生組合員以外にも9人の判定を下し、うち3人が処分取消となっており、現時点で20人中3割にのぼる6人の処分が取り消され、分限免職処分の不当性・違法性が明らかになっています。
 判定では、厚生労働省が相当数の新規採用を行っていること、他府省の受入が9人にとどまっていること、残務処理の113人の暫定定員を活用しなかったこと、回避努力のとりくみ開始時期が遅かったことなどを指摘し、社会保険庁と厚生労働省の解雇回避努力の不十分さを認定しました。しかし人事院は、定員事情などを口実に厚生労働省の配転受入枠の拡大を著しく狭め、わずか10分程度の配転面接の評価結果のみで処分取消の当否を判定していますが、到底納得できるものではありません。この厚労省への配転面接は、国公法が規定する人事評価や能力主義にもとづかず、面接官の主観的・恣意的判断による評価であったことは明らかであり、この点でも厚生労働省の責任は重大です。
 人事院が指摘するように、解雇回避努力が不十分なまま行われた分限免職は裁量権の濫用であり、政府と厚生労働省は、人事院による処分取消の断罪を重く受けとめ、525人すべての分限免職処分を撤回し、当事者の身分と権利を直ちに回復するよう強く求めます。
 また、年金記録問題はいまだ解決されず未解明の記録は約2,200万件にものぼっています。年金記録問題の解決と新たな記録問題を発生させないためにも、経験ある旧社会保険庁職員を年金業務に復帰させるとともに、有期職員の雇用延長や正職員化を実現し、専門的、安定的な年金業務運営と体制を確立することが求められます。国民に信頼される年金業務運営を確保するためにも「懲戒処分歴のある職員は年金機構に採用しない」とする閣議決定を撤回することが求められます。
 公的年金業務に責任を負う厚生労働省が、下記事項の実現に誠意を持って応えるよう求めます。

 記
 
1.政府・厚生労働省は、解雇回避の努力が不十分であるとの人事院判定を重く受け止め、すべての旧社会保険庁職員に対する分限免職を撤回してください。
 
2.年金記録問題の早期解決をはじめ日本年金機構の業務体制を確立するためにも、「懲戒処分歴のある職員は年金機構に採用しない」との閣議決定を見直し、本人希望にもとづいて経験ある職員を年金業務に活かしてください。
以  上