国の公共構造物を技術面で全面的にサポートする総合研究所★土木研究所

【とりくみ:独立行政法人労組のとりくみ】2013-11-08
 土木研究所は、日本の土木技術の中枢と言える研究機関です。
 研究の内容は、道路、橋、堤防、ダム、下水道など、国民生活に密着した公共施設の設計・施工・維持管理の研究をはじめ、地震や洪水、渇水、雪崩などの自然災害から国民の生命と財産を守る防災研究、さらにはヒートアイランド対策や環境対応型河川護岸などの環境に配慮した研究も行っています。



自然災害から国民の生命と生活・財産を守る

 阪神淡路大震災、東日本大震災と大きな地震が発生しています。この他にも、集中豪雨や崖崩れ、雪崩、渇水など、様々な自然災害が多発しており、これらの自然災害に対する研究を行っています。
 阪神淡路大震災では、これまで経験したことの無い大きな揺れに見舞われ、ビルや橋などの構造物が倒壊しました。その直後から日夜を問わない研究が行われ、その成果から新たな耐震基準が定められ、耐震補強工事が進んでいます。その結果、近年の地震では構造物の倒壊が非常に少なくなっています。
 東日本大震災の時には、国のテックフォースの一員として災害現場に多くの職員が赴き、災害調査や復旧作業のアドバイスに尽力しました。その数は述べ227人にのぼります。現在でも津波や地盤の液状化等の研究を精力的に行っています。

   (写真 大型振動台による振動実験)



■橋などの公共構造物の劣化対策は待った無し!

 これまでの先人方の努力により、多くのインフラが整備され、成熟期を迎えています。現在の国民の生命と生活、経済を今後とも支えていくためには、これまでに建設されたインフラを維持管理していかなければなりません。
 我が国の土木構造物は、高度経済成長期(1954~73年)に大量に建設されました。そのため、建設後50年を超える構造物が、今後、飛躍的に増加します。落橋に繋がりかねない深刻な橋の損傷事例も増えています。中央自動車道・笹子トンネル天井板崩落事故は記憶に新しい惨劇となってしまいました。ダム、河川構造物、海岸構造物、砂防施設なども老朽化してきており、これらのインフラの診断、維持、補修技術の確立に向けた研究を精力的に行っています。




■国が直接責任を持って行う研究のはずが、独法化でチグハグに

 土木研究所の業務は、インフラの整備や維持管理、自然災害防止など、国民生活に密着したものであり、国が直接責任を持って行うべきものです。
 しかしながら、2001年、他の国立研究機関と同様に独立行政法人化されてしまいました。その時、土木研究所の一部は国土技術政策総合研究所として分裂させられ、その5年後には、名前が同じという理由だけで北海道にある北海道開発土木研究所と統合しました。常に政府の「行政改革」の矛先が向けられ、数字合わせのためだけの統合が繰り返され、職場は混乱を続けています。
 さらに、国の公共工事を技術支援する立場であるはずの土木研究所は、独立行政法人となったことで、国土交通省各地方整備局・事務所との間での研究業務契約ができないという本末転倒な状況に陥ってしまいました。
 土木研究所が本来のあるべき姿に戻り、すべての国民が安心して生活できる基盤づくりの研究ができるように、みなさまのご支援ご協力をお願い致します。

(国土交通労働組合 建設研究機関支部 独立行政法人土木研究所労働組合)