国公労連社保庁不当解雇撤回闘争本部は10月31日、衆議院第2議員会館で「10・31院内集会」をひらき、会場いっぱいの120人が参加しました。この行動には、午前の「公務員賃下げ違憲訴訟」口頭弁論に参加した各単組・県国公の仲間をはじめ、医労連や年金者組合、県労連、東京争議団、JAL不当解雇撤回原告団、全厚生の関東社保支部と近畿社保支部、中部社保支部、四国社保支部、東京や京都、愛知、香川、愛媛の当事者も参加しました。
主催者あいさつした国公労連の宮垣中央執行委員長は、これまで70人に判定があり、3割4分にあたる24人が解雇を取り消されたことにふれ、「人事院がこれほどの取消処分をするのは前代未聞であり、いかに分限免職処分がずさんだったかが明らかになった。政府・厚労省は、分限免職処分の不適正さが断罪されたことを踏まえ、ただちに全員の分限免職処分を撤回すべきだ。たたかいは人事院審理から裁判闘争へと舞台を移すが、全厚生の当事者全員の不当解雇撤回を勝ちとるまで力をあわせよう。政府・財界による労働規制の緩和を許さず、国や大企業の『解雇自由』の流れをストップし働くルールを確立するためにも、JAL不当解雇撤回、日本IBMのロックアウト解雇撤回のたたかいとあわせて、社保庁不当解雇撤回のたたかいをいっそう強めよう」と呼びかけました。
続いて日本共産党の高橋ちづ子衆院議員(厚労委員)が国会の情勢報告を含めてあいさつ。10月30日の衆議院厚生労働委員会で525人が分限免職された問題をとりあげ、解雇に不服請求をした全員の身分を保障するよう求めた高橋議員は、「10月24日の判定で公務災害なのに健康上の理由で不採用にするなど選考理由の不当性を指摘すると、田村厚労省大臣は『人事院の判定は大変重く受け止める』と述べたものの、『選考手続き自体が不適切ということではない』と答えた。これは完全に自己矛盾ではないか。しかも、年金機構の非正規労働者6000人雇い止めなど新たなリストラも提起されている。処分を撤回し職場復帰させてこそ年金記録問題を解決する早道だ」と鋭く指摘しました。
自由法曹団の加藤弁護士が社保庁人事院闘争の成果と今後の課題について報告し、「525人が分限免職された当時は、職場にいるだけで辛く激しい公務員バッシングの嵐だった。政府は、年金行政に対する国民の不信を職員に責任転嫁して切り捨てたが、人事院審理で分限免職の違法性・不当性が明らかになった。人事院判定の積極的な意義を確信にしつつ、政府の責任を徹底的に追及し社会的に訴えていこう。弁護団は早期解決のために全力をつくす」と述べました。
激励あいさつした全労連の根本副議長は、「田村厚労大臣は、判定を厳粛に受け止めると発言しながら、お詫びの一言もなかった。34%の処分取り消しは分限免職そのものの正当性を否定するものであり、政府・厚労省はただちに全職員の分限免職処分を撤回すべきだ。闘争団、支援団体と一体で、全労連は全力でたたかう」と強調しました。
フロア発言では、秋田県労連の佐々木議長が「秋田当事者は9月30日に仙台地裁に提訴した。秋田から仙台まで2時間半もかかるので、ぜひ東京から傍聴支援にきてほしい」と述べ、医労連の原書記次長は「国民の命綱である年金業務に携わる有能な労働者のクビ切りは絶対許せない。安倍政権が国民犠牲の年金・社会保障改悪を強行しようとしているなか、一人残らず現場に返せの運動を強めよう」、年金者組合の久昌副委員長は「社保庁職員の不当解雇は政治的な弾圧であることは明らかだ。年金者組合は全国で行政不服審査請求運動を展開している。裁判闘争勝利にむけて最後までたたかおう」と呼びかけました。
解雇取消の判定を勝ちとった全厚生闘争団の北久保事務局長は、大きな前進があったとしながらも、一貫して人事院が政府の責任について判断していないと指摘し、「これからは人事院で処分が取り消されなかった仲間とともに、人事院が判断を放棄した憲法論や違憲性を裁判闘争でたたかうことになる。私たちの人事院闘争の勝利は、解雇事件や不当労働行為でたたかっている仲間に励ましを送ることができたこと、橋下大阪市長をはじめ、公務リストラや地方分権改革で公務員の大量クビ切りを狙う勢力に対し歯止めをかけられた。3年10カ月、全労連や地域の労働組合、個人、争議をたたかう多くの仲間に支えられ励まされて今日までたたかってきた。支援していただいた全国のみなさんに心から感謝する。不当解雇・不当労働行為とたたかう仲間、雇い止めの不安を抱える非正規の仲間、そして社会を変えようと運動するすべての仲間と共同していく。引き続き、大きなご支援をよろしくお願いします」と決意表明しました。
最後に国公労連社保庁不当解雇撤回闘争本部の川村事務局長が行動提起し、「11月14日には東京の当事者が提訴する。政府・厚労省へのハガキと署名、国会議員要請など不当解雇撤回闘争を強め、全員職場に戻せの運動を職場・地域に広げよう」と呼びかけました。
院内集会後、旧社保庁職員の解雇撤回を求め140人の国会議員に要請しました。
不当解雇を許さない世論を大きく広げよう
「全厚生闘争団を支える会」第4回総会ひらく
院内集会後、全厚生闘争団を支える会の第4回総会が行われ、約40人が参加しました。
総会は全厚生年金機構本部支部の北畠支部長の司会で行われ、開会あいさつにたった代表世話人の全労連の大黒議長は、「全労連憲法キャラバンがスタートした。北海道では17の自治体と懇談したが、労働基準法を知らずブラック企業に酷使されている労働者が増加している実態が明らかになった。不当な解雇を許さない大きな世論をつくり、全厚生闘争団を支える会を広げよう」と呼びかけました。
支える会の飯塚事務局長が支える会のこれまでの経過と到達点を報告。前回総会から、個人会員は3314人で69人の減となったこと、団体会員は523団体で53団体が新たに支える会に加入したことや会計処理について報告しました。今後の方針では、支える会の会員のさらなる拡大と、闘争団に200万円の支援を行うこと、今後の裁判闘争での原告団・オルグ団の新たな体制構築を踏まえ、国公労連、全厚生闘争団、支える会世話人団体と相談して財政支援を行うことなどを提案しました。
全厚生闘争団の杉浦副団長の決意表明のあと、あらたに就任した杉下事務局長が「社保庁不当解雇撤回闘争の新たなたたかいがスタートした。勝利のため支える会として全力をつくす。引き続き、ご支援をお願いします」と訴えました。最後に、総会に参加した全厚生闘争団の当事者一人ひとりがたたかう決意を表明しました。
全面解決へ!厚労省は全員の解雇撤回を決断せよ
全労連社保庁分限解雇撤回対策会議が厚労省に要請
全労連社保庁職員分限解雇撤回対策会議は10月31日、厚生労働省要請を実施し、10月24日の人事院による第4次判定結果をふまえ、全員の解雇を撤回し、全面解決をはかるよう強く求めました。要請は、全労連・根本副議長、国公労連・川村副委員長のほか、全厚生闘争団の当事者ら計15人で行い、厚労省は年金局総務課の今井課長補佐が対応しました。
冒頭、24日に取消判定を受けた北久保さんが厚生労働大臣あての要請ハガキ6898枚を提出(累計7841枚)し、全労連・根本副議長が、「田村厚労大臣は国会答弁でも、記者会見でも『判定は重く受け止める』『厳粛に受け止める』と言いつつ、『選考手続き自体が不適切ということではない』と発言している。34%もの取消判定がでている。これだけ大勢の方が人事院に訴えて処分が取り消された事案はない。全体を通して判断をすべきだ。面接に瑕疵があったことは明白であり、全員を救済すべきだ」と要求しました。
今井課長補佐は「3年以上、大変な思いをさせたことは申し訳ないと思っている。公式にどうするのかは、省内で様々な議論がある。71人全員の判定がでた段階で総括的な何かをだすという議論をしている」と回答しました。
国公労連・川村副委員長は「人事院は、厚労省の解雇回避努力は不十分と認定している。人事院の救済枠だけでいいのか、厚労省として判断することが必要だ。年金業務の充実のためにも、処分を撤回し、体制強化をはかるべきだ」と強く求めました。
厚労省は当事者の苦しみを受け止めて対応せよ
全厚生闘争団の当事者は、「36年10カ月社保庁で働いてきた。知識も経験も、自信もある。処分を撤回し、元の職場で仕事ができるようにしてほしい」、「大臣の発言は承服できない。分限免職処分全体がおかしかったという立場で対応すべきだ。厚労省として、分限免職された者の思いをもってやっているのか。職員に気持が伝わってこない。年金機構ホームページの職員募集要項には『旧社保庁で懲戒処分を受けた方は採用しない』と書かれている。解雇された仲間の中には、定職に就けていない者もいる。メンタルヘルス不全により休職中で公務災害申請していなかったために、取り消されなかった仲間もいる。政治判断をしてほしい」、「やっと処分取り消しとなった。年金機構で働きたい。年金記録問題では、職員が責任を取らされた格好になった。年金記録問題検証委員会の報告では『歴代長官、厚労大臣に責任があった』とされている。省内で、当事者の苦しみを受け止め、おかしいのではないかという声を伝えて、これから議論してほしい」、「厚労省幹部にどこまで私たちの意見が伝わっているのか。次の要請の場では誠意をもって回答してほしい」と迫りました。
年金機構での募集要件について「(懲戒処分を受けた職員は採用しないという)閣議決定がそのまま生きている認識だと思う」と回答した今井課長補佐に対して、「年金機構が懲戒処分歴のある人は採用しないというのは、違法行為ではないか」「年金機構は民間だ。年金機構に採用する権利がある。もう、採用差別はやめよと厚労省が機構に指導すべきだ」と迫りました。
最後に、根本副議長が「『年金機構が4年経っても懲戒処分者を採用しない』という閣議決定に従っているのは異常であり、ただちにやめるべきだ。34%もの取消判定が出された構造、背景の総括・検証をやってもらいたい。全面解決をはかるように求める」と強調し、交渉を終えました。
全労連対策会議で闘争体制強化を確認
この後、17回目となる全労連社保庁職員分限解雇撤回闘争支援対策会議が開かれました。会議では、運動の局面が新たな段階に入ったことを確認するとともに、早急に宣伝ビラを作成することとしました。また、裁判闘争の支援、政治決断を迫るたたかいをすすめるため、闘争体制を強化すべきとの指摘があり、全労連内部で調整をはかることになりました。