国公労新聞2014年11月25日号(総選挙特集、第1428号)

【データ・資料:国公労新聞】2014-11-26
◆安倍「暴走政治」にストップを
◇11.13中央行動に全国から2200人

 国公労連は11月13日、全労連、国民春闘共闘、国民大運動実行委員会に結集し、国民的な要求課題とあわせて、定員「合理化」方針撤回、独立行政法人の運営費交付金拡充、社保庁職員不当解雇撤回などをかかげて、「14年秋季年末闘争11・13中央行動」を展開しました。この日は、日比谷野外音楽堂での中央総決起集会、全労連公務部会による総務省前要求行動、国会請願デモなどで終日奮闘し、全国から2200人(国公労連は約400人)が参加しました。同日は、独立行政法人の運営費交付金の拡充を求める財務省交渉、交運共闘による国土交通省請願行動などもとりくまれ、15時からは国公労連主催で「『公務員賃下げ違憲訴訟』勝利・国公労働者11.13決起集会」を実施するなど、多彩に展開しました。
 
◇公務員賃金改善を 総務省要求行動
 
 11時から、公務員賃金改善、非正規職員の処遇改善を求めて行った総務省前要求行動では、国公労連を代表して全労働・秋山中央副執行委員長が、「『違憲訴訟』の原告として、地裁判決の内容に怒りを感じる。負けるわけにはいかない裁判であり、引き続き協力を」「『総合的見直し』は、地域間格差を拡大させる大きな問題。全国一律最賃制度の実現、来春闘での大幅賃上げをかちとるためにとりくみを強める」と訴えました。

◆賃下げ違憲訴訟東京地裁に控訴
◇裁判闘争勝利へ 国公労働者11・13決起集会

 星陵会館で行われた「公務員賃下げ違憲訴訟」勝利・国公労働者11・13決起集会には400人が参加し、裁判勝利、労働基本権回復にむけてたたかう決意を固めあいました。
 主催者あいさつで宮垣委員長は、「東京地裁判決は、憲法擁護義務を負い法の番人である裁判官としての矜持も感じられない政府言いなりの判決であり、満身の怒りをこめて抗議する」と述べ、この日、東京高裁に原告370人のうち退職者等を除く359人が控訴したことを報告。「東京高裁で必ず勝利し公務員の権利回復の道筋をつけよう」と訴えました。
 全大教の長山書記長が連帯あいさつし、2012年の賃下げ特例法のもとで、総務省の圧力により賃下げが行われたことに対し、全国10の組合、500人を超える原告団がたたかっていることを報告。「国公労連が、一審の不当判決に屈することなく控訴し、たたかうことに支持・支援していく。ともにたたかおう」とエールを送りました。
 続いて、弁護団を代表して加藤弁護士が東京地裁判決について報告しました。(上記)
 岡部賃下げ違憲訴訟闘争本部事務局長が行動提起。(1)判決の問題点・争点、控訴審でのポイントについて学習(2)3つの獲得目標に向けて運動を推進(3)新たなビラ・リーフ、東京高裁宛署名の活用(4)すべての労働者と連帯してたたかう(5)ILOへの情報提供・要請―と述べ、「国民本位の行財政・司法を実現するため全国各地で国公労働者が国民の期待を背負って運動し、裁判闘争の勝利につなげよう」と呼び掛けました。
 
 
◆不当判決乗り越え逆転勝訴を
◇加藤弁護士の報告要旨

 東京地裁判決は、政府言いなりに人事院勧告を経ない賃下げを合憲とする「結論ありき」の判決であり、40年以上続いてきた人事院勧告制度の憲法上の位置づけを無視して平均7・8%の賃下げによる深刻な影響に目をつぶった不当な判決であった。
 2012年に提訴する際に、(1)前代未聞の人事院勧告を経ない賃下げに対して抗議する姿勢を示す(2)国家公務員の労働基本権回復と結合する(3)民間労働者と連帯して賃下げのスパイラルを止める――という3つの獲得目標を掲げたたかってきた。
 いま、組合事務所問題で大阪市を憲法28条に違反するとした判決、社保庁不当解雇は「政治のパワハラだった」という朝日新聞社説など、社会全体の変化を見ると確かなたたかいを行ってきたと言える。
 東京高裁でのとりくみは、地裁判決の矛盾やウソを徹底的に批判するとともに、国家公務員の労働基本権回復のたたかいと結合させていく。このたたかいの先は、単なる現状維持ではない。官民が連帯して労働者全体の権利を勝ち取る大きな土俵を構え、高裁での逆転勝利を勝ち取ろう。
 
 
◆ 給与法「改正」法案等が成立
 「総合的見直し」強行7年ぶり差額支給へ
 
 11月12日、参議院本会議において、「一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案」「特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案」「国家公務員退職手当法の一部を改正する法律案」(以下、「3法案」)は、委員会採決どおり決定され、3法案は成立しました。
 衆参両院での審議をつうじ、職務給原則逸脱、地域格差拡大反対など、私たちの要求・主張に沿った姿勢を堅持した政党は、日本共産党のみでした(参院で無所属・山本太郎議員が反対)。
 3法案の成立により、今年4月からの月例給・一時金や通勤手当の改善などが行われるとともに、来年4月以降、「給与制度の総合的見直し」による措置が順次実施されることが決定されました。
 なお、衆参両院で同様の附帯決議が採択され、非常勤職員の処遇改善、被災地での業務体制整備や健康対策、独立行政法人の労使交渉での賃金確定などが盛り込まれたことは、今後のとりくみに反映していくことが重要です。
 国公労連は10月31日に衆院内閣委員会、11月11日には参院内閣委員会の傍聴行動にとりくみ、委員会審議終了後の議面集会(衆院50人、参院60人が参加)では、引き続き安倍政権の暴走を許さないたたかいを強化することを確認しました。
 
 
◆さあ総選挙
 12月2日公示、14日投票
 国民犠牲の政治を転換する好機
 
 安倍首相は11月18日の記者会見で、消費税率再引き上げの18カ月延期を表明するとともに、衆議院を21日に解散して「10%へ消費税を引き上げるということについて、そして、私たちが進めてきた経済政策、成長戦略をさらに前に進めていくべきかどうかについて、国民のみなさまの判断を仰ぎたい」との意向を明らかにしました。これにより、12月2日公示・12月14日投開票の日程で総選挙が実施されます。
 
◇解散は「改憲」への布石
 11月19日の新聞各紙は社説で解散会見をとりあげ、「『いきなり解散』の短絡」(朝日)、「争点は『安倍政治』だ」(毎日)、「アベノミクスに通信簿つける選挙」(日経)、「『安倍路線』の継続を問え」(産経)、「『安倍政治』問う機会に」(東京)、「安倍政治の信任が最大争点だ」(読売)と論評しました。各紙の賛否は別として読売を除いて、集団的自衛権行使容認・憲法「改正」などの安全保障政策も重要な争点である主旨の論評で、「増税の先送り」を前面に押し出した解散の問題を指摘しています。
 こうした指摘にもかかわらず、菅官房長官は19日の記者会見で、総選挙の争点について、何を問うかは「政権が決める」と述べ、集団的自衛権行使容認の解釈変更や憲法改正、特定秘密保護法も国民に信を問う必要がないと強調するなど、争点をそらす姿勢は明らかです。
 安倍首相の解散表明は、閣僚が相次いで「政治とカネ」の問題で追及されたこと、頼みのアベノミクスが破綻し、景気悪化と国民生活破壊が表面化したこと、沖縄知事選挙で与党推薦の候補が大敗したこと、特定秘密保護法や集団的自衛権の行使容認の強行、労働法制の大改悪などの暴走政治への批判が高まっていることなどから、追い込まれている形勢を選挙でリセットして、自らが推進する「戦争する国づくり」を確実なものにし、「改憲」への布石とするねらいがあることは明らかです。
 したがって今回の総選挙の争点は、大企業・富裕層優遇で国民犠牲の施策の継続を許すのか否か、改憲を視野に入れた「戦争する国づくり」を許すのか否かが最大の焦点です。換言すれば、日本社会の進路が問われる重要な選挙といえます。
 そのため今号の特集では、総選挙の争点となる安倍政権がこれまで進めてきた施策を振り返るとともに、労働者・国民の生活改善や国家公務員労働者の要求実現との関連を明らかにすることで、暴走政治をストップさせ、国民犠牲の社会を転換させる好機として、一人ひとりの有権者が政治的無関心に陥ることなく、この選挙戦に臨むことを呼びかけるものです。
 
◇格差と貧困の拡大まねくアベノミクス
 まず、首相が争点として強調しているアベノミクスについて考えてみましょう。
【皮相的な評価にすがる安倍首相】
 安倍首相は18日の会見で消費税率再引き上げについて「アベノミクスの成功を確かなものにするため」と位置付け、「3本の矢の経済政策は確実に成果を上げつつある」として、政権発足後「雇用は百万人以上増え」、賃上げ率が「過去15年間で最高」と強調しました。
 しかし労働者数は、今年4月までの1年間で非正規労働者が57万人増えていますが、逆に正規労働者は40万人減少しています(総務省労働力調査)。また、今年の賃上げ率は1999年以来の2%台となったものの、大企業の正社員中心であり、それさえ消費税率引き上げ分(3%)にも及びません。なによりこの15年間、労働者の賃金が減少し続けてきたことは棚上げしているなど、首相の評価は皮相的です。
【破綻した3本の矢…年金資金までも投入】
 アベノミクスの第1の矢である量的金融緩和は、マネタリーベース(日銀が供給する通貨)を飛躍的に増やしたものの、マネーストック(企業や個人が保有する現金・預金=市場で回るお金)に大きな変化がないことから、実態経済への効果はみとめられていません。それにもかかわらず、追加の金融緩和や公的年金資金による株式運用の割合を高めるなどの「禁じ手」を駆使してまでも、効果を粉飾しようとしています。
 第2の矢である公共投資などの財政出動は、今年4月の消費税率引き上げの対策として5兆5千億円の補正予算をつぎ込みましたが、4月~6月の国内総生産(GDP)が年率換算でマイナス7・1%と大幅な減少となり、国内経済は停滞したままで、景気浮揚には効果がないことが明らかとなりました。そのうえ、10年間で200兆円規模の公共投資を行うといわれている国土強靱化計画を進めようとしていますが、建設国債の大量発行などで国の負債を大幅に増加させ、負担を後生にまわすものです。
 第3の矢である規制緩和は、その中心が労働法制の大改悪であり、国民犠牲・大企業奉仕の愚策です。
 アベノミクスは、大企業(資本金10億円以上)の内部留保が285兆円に達し、この1年間で13兆円増やす(財務省、法人企業統計)など、株価引き上げや為替差益などで大企業や一部の富裕層に膨大な利益をもたらしましたが、その一方で、年収200万円以下の労働者が2013年は約1120万人と1年間で3万人増えている(国税庁、民間給与実態統計調査)など、格差と貧困を拡大させる失策です。
 このようにアベノミクスは、景気回復への効果が期待できないうえに、国民の生活破壊を加速させています。
 総選挙では、既に破綻しているアベノミクスを継続するか否かが問われています。
 
◇消費税率引き上げやめて富の再配分機能の強化を
 次に、首相が争点としてもう一つ強調している消費税率引き上げのねらいについて考えてみます。
 今年4月の引き上げについて政府は、増税分は「すべて社会保障の充実と安定のために使われています」と強調していますが、実際には増収5兆円の1割の5千億円しか充実には使われず、残りは、法人税減税などの代替として既存の制度の財源として使われています。さらに安倍政権は、年金(支給開始年齢の引き上げ等)、医療(75歳以上の負担引き上げ等)、介護(報酬の引き下げ、利用料の引き上げ等)など、社会保障の改悪を進めています。
 こうした枠組みは、自民、公明、民主の三党で合意した「社会保障と税の一体改革」によって道筋がつけられたものです。
 安倍首相は、消費税率再引き上げの先送りを表明したものの、引き上げの方針は堅持していますし、今年度から法人税率を2・4%下げ、段階的に20%台に引き下げると表明していることから、再増税分はこの原資となる可能性が高いと言わざるを得ません。
 消費税率の再引き上げが争点の一つとなっていますが、「社会保障の充実のための消費税率引き上げ」というごまかしはもはや通用しません。
 総選挙では、低所得者ほど負担率の高い逆進性の消費税率を引き上げるのではなく、応能負担の原則による富の再配分機能の再構築を実現する好機です。
 
 
◇大企業奉仕から国民生活重視へ
 安倍政権のこの間の施策の是非も重要な争点です。
 安倍政権は、「戦争する国づくり」に邁進するとともに、その目的を果たすために財界の要求に積極的に応えています。そのため財界は、労働法制の大胆な規制緩和、消費税率再引き上げと法人税率引き下げ、社会保障大改悪、TPP交渉参加、原発再稼働など、自らの要求をこの機に実現しようとしています。
【労働法制改悪許すな】
 その中心的な課題は、労働法制の大改悪です。今国会で焦点となっていた労働者派遣法「改正」案は、労働組合等の強い反対で、廃案となりましたが、選挙結果如何では、再提出してくることは間違いありません。
 この法案は、常用労働者の代替防止の原則をくずして、正社員から派遣労働者への置き換えの歯止めをなくすことから、雇用と労働条件の劣化が急速に進む危険なものです。
 さらに、新たな労働時間制度と解雇の金銭解決制度の導入、限定正社員の普及、外国人技能実習制度の改悪等など、大胆な規制緩和を進めようとしています。
 総選挙では、大企業の利益優先の労働者使い捨て自由の社会にするのか、誰もが安心して働き続けられる社会をめざすのかが問われる、すなわち社会の有り様が問われる重要な選挙です。
 
◇国民を戦場に駆り立てるねらいを断つ
 安倍首相は、新聞社のインタビューで「憲法改正のための橋となる国民投票法が成立した。いよいよその橋を渡りどういう条項を改正するかという段階に至っている」(11月20日付産経新聞)と「改憲」への意欲を語っているなど、総選挙の大きな争点は憲法問題などの「戦争する国づくり」です。
 この間、安倍政権は、先の選挙公約でまったくふれていなかった特定秘密保護法の成立を強行するとともに、武器輸出禁止の撤廃や集団的自衛権行使容認の解釈改憲を閣議決定で行いました。同時に安倍「教育再生」で教育委員会制度改悪や道徳の教科化など、教育の面からも「戦争する国づくり」に邁進しています。
  今後は、海外派兵への自衛隊法などの「改正」をすすめながら、「日米防衛協力のための指針(日米ガイドライン)」を改定して、アメリカの戦争に参戦して世界中に自衛隊を派兵するしくみを確立しようとしています。そしてその仕上げは、憲法9条を中心とする「改憲」です。
 首相は、今回の総選挙の勝敗ラインを与党で過半数獲得(238議席。現在326議席)と90近くの議席を減らしてでも政権交代を防ぎ、さらに「改憲」までの時間を確保しようとしています。
 選挙では、そうしたねらいを断ち切ることが重要です。いま、「戦争する国づくり」に反対する世論が高まっています。そのことは、11月16日投票の沖縄県知事選挙の結果、普天間基地の辺野古への移設をめぐって基地移設反対の翁長氏が推進派を大差で退けて当選したことからも明らかです。
 総選挙では、安倍政権の「改憲」のねらいを断ち切る好機として、考えることが重要です。
 
◇国民の生活と権利に密接に関連する選挙
 与党(自・公)が賛成して成立した国民の生活と権利に関わる法案への政党の投票行動を振り返ってみると、野党が足並みをそろえて反対したのは医療・介護統合法案などわずかで、特定秘密保護法も一部の野党が賛成するなど、日本共産党・社民党を除いて与党との親和性のある野党が増えています。
【国公労働者の権利を守ろう】
 特に国家公務員労働者の要求と密接に関わる法案については、それが顕著に表れています。主な法案で私たちの主張と同様の反対の立場をとった政党をみてみると、憲法違反の給与減額特例法(自公民法案)では日本共産党と社民党、内閣人事局設置などの「改正」国公法では、日本共産党(生活・みんな・維新も法案には反対するもさらなる改悪を主張)、「改正」独立行政法人通則法では日本共産党でした。最近では、11月12日に成立した給与法「改正」法の国会審議(衆・参内閣委員会)で、みんなの党、日本維新の会、日本共産党が反対し、その他の野党は賛成しました。反対した政党も、その理由が「引き上げ勧告の凍結」(みんな)、「さらなる引き下げを」(維新)というもので、給与の地域間格差の拡大や年齢差別などの職務給原則逸脱などの私たちの主張に沿って反対の姿勢を貫いたのは日本共産党のみでした。

◇大企業・富裕層優先の政治からの転換を
 今回の選挙では、労働者・国民の生活改善、公務労働者の権利と労働条件と密接に関わる選挙です。また、新たな定員合理化計画や地方分権改革・道州制の導入など、国の機関の機能を脆弱にし、国民の権利保障機能の低下させかねない施策についての是非も総選挙では問われます。
 各政党・候補者の公約やこれまでの投票行動などを参考に、一人ひとりが考えることが重要です。
 
 
◆インターネット選挙は?
 
 公職選挙法が改正され「インターネット選挙運動」が昨年から解禁されました。
 ところが、国家公務員は不当にも国公法102条及び、人事院規則14―7により、政治目的をもった政治的行為が禁止されています。そのため、ウエブサイト(ホームページ、ブログ、ツイッターやフェイスブックなどのSNS、動画共有サービスなど)で国家公務員としての身分を明らかにした形で、「○○さんにあなたの一票を」など特定の政党や候補者を当選または落選させる目的で発信することは避けなければなりません。また、電子メールを使って投票依頼等を行うことも禁止されています。
 しかし、2012年12月7日の「国公法弾圧堀越事件」最高裁判決は、国家公務員であっても刑罰の適用は「職務の遂行の政治的中立性を損なうおそれが実質的に認められるかどうか」であり、「職務の内容や権限の裁量の有無、勤務時間の内外、公務員の地位利用の有無」などによって判断すべきという新たな「基準」を示しました。
 したがって、別記した「公示後もできるこんな取り組み」はもとより、一人の主権者として積極的な意思表明を行い、政治に参加することはたいへん重要です。
 
 
【沖縄知事選】
◆翁長氏圧勝
 保革の壁越え 新基地許さぬ  
 
 名護市辺野古への米軍新基地建設の是非を最大の争点にたたかわれた11月16日投票の沖縄県知事選挙で、建設反対を表明し、国公労連も支援した翁長雄志氏が、得票率50%を超える36万820票を獲得し、現職の仲井真知事に約10万票の大差をつけ圧勝しました。
 前回知事選で「普天間基地の県外移設」を公約して当選した仲井真知事は安倍首相から多額の興予算を示され、辺野古の埋め立てを承認しました。翁長氏の勝利は、保革の壁を越え、仲井真知事の寝返りに対する怒り、「普天間基地は県外移設を。新基地建設は許さない」「カネで懐柔は、もうゴメン」という沖縄県民の意思の表明です。
 全労連は11月17日、井上事務局長の「沖縄県民の選択を尊重し、辺野古への米軍新基地建設の中止を求める」とする談話を発表しました。
 談話は「全労連は『憲法をまもり、いかそう』を合言葉に、沖縄県知事選挙につづいて、安倍政権の強権的な『戦争する国づくり』にノーの審判を下すため、世論と運動をいっそう強化していく決意である。憲法9条を尊重し、平和な日本を希求するすべての人々に、日本社会の未来を切り拓く選択と行動を呼びかける」と結んでいます。  
 
 
◆社保庁職員の不当解雇を撤回せよ
 11・6総行動
 
◇厚労省前要求行動
 525人もの社会保険庁職員が不当に解雇されてから4年10カ月を迎えた11月6日、国公労連は旧社保庁職員の不当解雇撤回を求めて、厚労省前要求行動、院内集会、総会、衆参厚生労働委員への要請を実施しました。
 昼の厚労省前要求行動には、全労連、県労連、医労連、自治労連、全教、JMIU、JAL原告団の仲間など101人が参加し、「政府・厚労省は不当解雇を撤回せよ!」と怒りの声をあげました。
 国公労連の宮垣委員長による主催者挨拶の後、全労連の根本副議長、秋田県労連の越後谷事務局長、全法務の空副委員長が連帯あいさつ。最後に、全厚生闘争団(京都)の鴨川さんが、「政府は、年金問題の国民の不信・不満を社保庁職員に責任を押しつけ、寒空の下525人を解雇した。私たちは夜も眠れず、生活を破壊され、人生を壊された。国民のための年金業務をするために職場に戻りたい。一日も早く全面解決し、労働者が安心して働ける社会をつくるためにも、みなさんの支援をよろしくお願いします」と支援を訴えました。
 
◇院内集会に70人
 6地裁宛署名に全力あげよう 
 14時から、「社会保険庁職員不当解雇撤回・院内集会」が参議院議員会館内で行われ、70人が参加しました。
 主催者あいさつした国公労連の宮垣忠委員長は「裁判勝利のため、6地裁宛『公正判決要請署名』のとりくみを強めよう。日本航空やIBMの仲間と連帯し、首切り自由を許さないたたかいをすすめよう」と強調しました。
 激励にかけつけた田村智子参院議員は「昨年、厚生労働委員会で質問したが、社保庁職員の解雇は公務員攻撃の皮切りで、雇用破壊の先鞭をつけるもの。決算委員会でもとりあげたい」と述べました。
 加藤健次弁護士は「不当解雇撤回裁判では、京都で勝って全面解決をめざす。賃下げ、解雇を許さず、労働者としての権利を確保するため、国民の理解を広げよう。」と訴えました。
 京都の原告を代表して、北久保和夫さんが「京都では、署名は1万筆を超えたところ。引き続き支援をお願いします」と決意を述べました。
 JAL乗員原告団の飯田祐三副団長は「乗員・客乗あわせ135人の原告は最高裁での勝利めざしてがんばっている。ともにたたかおう」と激励しました。
 全厚生の川名副委員長が、日本年金機構の現状を報告しました。
 その後、参加した原告8人それぞれから、職場に戻る決意が語られました。
 
 
◆職場に戻せ 人生をかえせ…
 社保庁不当解雇撤回裁判
 
◇愛媛事案 第3回弁論
 第1準備書面を提出
 10月20日、高松地方裁判所で第3回弁論が開かれました。法廷席35のところに、60人を超える支援者の方が駆けつけました。
 原告側から社会保険庁を解体し日本年金機構へ移行する際に、職員の採用や厚労省への配転についてどのような問題があったかを第1準備書面として提出しました。
 原告側は書面作成を担当した3人の弁護士からそれぞれ陳述を行い、国側が2カ月程度で反論することを約束し終了しました。
 閉廷後開かれた報告集会で、原告の出原さんは「意図的に解雇された事が明らかになった。裁判勝利まで頑張る」、原告の児島さんからは、「定年の年齢になってしまうが、最後までたたかう」と決意しました。
 次回弁論は1月26日に高松地裁で開かれます。
 
◇愛知事案 第4回弁論
 第3準備書面を提出
 11月5日、名古屋地方裁判所の大法廷で第4回弁論が開かれ82人が参加しました。
 原告側は国の分限回避努力の責任を明確にするために、第3準備書面を提出しました。
 その内容は、国の主張は廃止された社会保険事務局長に分限回避努力の責任を押し付けており、国家公務員の使用者責任は本来国でありそれを主張するとともに、厚労省への転任面接の不当性も陳述しました。
 次回期日は12月24日、次々回期日は2月4日で、いずれも11時から名古屋地裁大法廷となっています。
 
◇秋田事案 第7回弁論
 第4準備書面を提出
 11月19日、仙台地方裁判所で第7回弁論が開かれ、46人が傍聴しました。
 原告側がこれまで提出してきた書面に対して、第4準備書面を提出。
 国側の書面では「特に必要と認める範囲で反論する」として、原告側が求めた重要な点を無視する反論となっていました。弁護団から、原告の主張は、いずれも分限解雇にいたった重要な点であることを指摘した上で、次回期日までにきっちり反論するよう強く求めました。
 報告集会では、加藤弁護士より裁判内容の報告、中本国公労連中執より全国の裁判の状況報告など行われました。
 次回期日は、1月21日13時15分から仙台地裁で開かれます。
 
 
◆全厚生闘争団を支える会
 第5回総会開く
 
 院内集会の後、全厚生を支える会第5回総会が開かれ、45人が参加しました。
 主催者を代表して、全労連の小田川義和議長が「JAL、日本IBMとともに、重要な3つの争議の1つ。全厚生の裁判は、公務でのリストラがすすむなか重要な裁判だ。たたかいを強化していこう」と呼びかけました。
 杉下事務局長がいっそうの会員拡大など今後のとりくみと会計報告を行った後、全厚生・山本委員長が支援への御礼を述べ、「なんとしても京都で勝ちます。引き続く支援をお願いします」と訴えました。
 提案を確認した後、代表世話人に小田川全労連議長、小部自由法曹団前幹事長、柴田婦団連会長、宮垣国公労連委員長の4人を、事務局長に杉下全厚生元委員長を選出しました。
 終了後、衆参の厚生労働委員70人に政治的解決を求める要請を行いました。