春闘のたたかいをバネに暴走政治にストップを
――2015年春闘期の政府・人事院の回答を受けて(声明)

【私たちの主張:私たちの主張】2015-03-24
2015年3月24日
国公労連中央闘争委員会

1、本日(3月24日)、政府と人事院は、国公労連2015年統一要求に対する回答を行った。
 国公労連の平均20,000円(4.9%)以上の賃上げをはじめとする統一賃金要求に対する回答は、「人事院勧告制度を尊重することが基本姿勢」「勧告も踏まえ、国政全般の観点から検討」(政府)、「労働基本権制約の代償措置としての勧告制度の意義及び役割を踏まえ、情勢適応の原則に基づき、必要な勧告を行う」(人事院)と、いずれも従来の姿勢を踏襲したものである。
 政府は、2年連続で政労使合意を行い、デフレ脱却のために賃上げによる消費拡大を掲げているが、その姿勢とも矛盾している。
 実質賃金の低下や給与制度の総合的見直しによる賃下げが押しつけられようとしている仲間の生活実感や複雑・困難な職務の実態を一顧だにしない極めて不満な回答である。
 
2、2015年春闘は、アベノミクスによって大企業が膨大な利益を蓄積する一方で、物価上昇などで労働者の実質賃金が低下し続ける状況のもとでスタートした。
 国公労連は、すべての労働者の賃上げで景気回復をめざす全労連・国民春闘共闘委員会に結集して、賃上げの気運を高め、春闘の相場形成の一翼を担う立場から、官民共同の行動を追求するとともに、「ビクトリーマップ運動」と「ブロックキャラバン行動」を国公労連春闘2大行動に位置付け、2月の地域総行動や3月の50万人総行動に結集してきた。
 大企業の内部留保を労働者と下請け企業に還元させる「ビクトリーマップ運動」は、県庁所在地を中心に24都道府県で宣伝行動を展開した。
  春闘相場は、連合に先駆けてヤマ場を設定した国民春闘共闘が第2回集計(3月18日)で加重平均で額・率ともに前年を上回る回答を引き出している。
 物価上昇に届かない低額回答ではあるが、中小企業が中心のたたかいでストライキを背景に貴重な到達点を築いている。
 連合は、円安などで業績が好調の大企業中心に前年を上回る回答を引き出しているが、要求水準が物価上昇を下回っており、その枠内での回答である。
 
3、国公労連は、統一要求の実現にむけて職場集会や交渉・協議を重ねてきたが、重点要求に対する政府・人事院の回答も不十分であった。
 定年延長の実現については、人事院が「定員配置の柔軟化」の必要性に言及するとともに「申し出を踏まえ、雇用と年金の接続のため、適切な制度が整備されるよう、積極的にとりくむ」と前向きに回答する一方で、政府は、再任用制度を含めて「検討する」という従前の回答に終始した。
 来年4月に年金支給開始年齢が62歳に引き上げられるが、現時点で使用者として明確な方針を示さない不誠実な対応である。
 非常勤職員の処遇改善については、「指針に沿った給与の適正な支給が図られるようとりくむ」(人事院)、「適正な処遇に努めるよう各府省に対し周知を図る」(政府)といずれも消極的な姿勢を崩していない。
 また、国公労連は、昨年10月の「国家公務員の女性活躍とワークライフバランス推進のための取組指針」で政府が人事院に検討を要請しているフレックスタイム制の導入について、「長時間労働が常態化している公務職場では労働強化の懸念が強く、ワークライフバランスの方策としては不適切」と交渉の場で再三指摘した。
 しかし交渉では、「人事院に要請中。これから制度設計」(政府)、「現在検討中」(人事院)と明確な回答を避けている。
 労働時間は、重要な労働条件であり、その規制を緩和する労働時間弾力化を一方的に使用者が人事院に要請し、両者とも交渉・協議を尽くさないことは、使用者と代償機関の責務を果たしていないものであり、厳重に抗議する。
 
4、春闘のたたかいは、未解決組合を中心にこれからが正念場である。賃上げの流れを本格化させ、非正規労働者の均等待遇・格差是正など、すべての労働者の賃上げにむけて、4月15~17日の統一行動ゾーンなど官民共同のとりくみを引き続き追求する。
 春闘期のたたかいは、今後の日本の社会の有り様にとっても重要である。
 安倍政権は、「労働者使い捨て自由の社会」と「海外で戦争できる国」をめざして、通常国会で労働法制大改悪法案や戦争準備立法の成立にこだわっている。
 春闘のたたかいで一致する課題での共同を拡大するとともに、目前に迫った統一地方選挙で安倍政権を追い込み、暴走政治をなんとしてもくい止めなければならない。
 そのため国公労連は、安倍政権の暴走にストップをかけるたたかいに職場・地域から積極的に結集する。
 
5、国公労連は、春闘のたたかいをバネに、賃下げ違憲訴訟・社保庁不当解雇撤回裁判の完全勝利にむけてたたかいを強化する。
 また、人事院勧告・概算要求にむけて、官民比較の改善、給与の総合的見直しで引き下げられた仲間の賃金回復、非常勤職員の処遇改善と雇用の安定、定年延長の実現、総定員法の廃止と大幅増員実現など、職場の要求実現に全力をあげる。
 国公労連中央闘争委員会は、厳しい職場実態のもとで、要求前進のため奮闘された全国の仲間に心から感謝するとともに、引き続くたたかいへの結集を呼びかけるものである。