公務員賃金の一方的な引き下げは明らかに違憲
憲法まもるたたかいに全力をあげよう
= 「賃下げ違憲訴訟」で控訴審第2回口頭弁論 =
国公労連と組合員359人が2014年11月13日に東京高等裁判所に控訴した 「公務員賃下げ違憲訴訟」の第2回口頭弁論が、10月14日に東京高裁で開かれました。国公労連は、傍聴席を満席にして口頭弁論に臨むとともに、東京高裁 前要求行動と報告集会を展開しました。
公務労働者の基本的人権をまもろ う
9時30分からの東京高裁前要求行動には、全労連公務部会、全教、自治労連、日本医労連、全大教、特殊法人労連、生協労連、航空連、など支援の団体を含 め120人が参加しました。
主催者を代表してあいさつした国公労連の橋本副委員長は、この訴訟が、公務員賃下げが憲法違反であることを明らかにすると同時に、すべての労働者の賃金 を改善するたたかいであることを強調し、「公務労働者の賃金改善、労働法制の改悪や消費税増税に反対するたたかい、さらに戦争法廃止、憲法をまもる運動と 結びつけて全力をあげよう」と呼びかけました。
弁護団を代表して野本弁護士は、「今日の口頭弁論では、賃金減額措置の立法事実が欠けている問題を、大阪経済大学の梅原教授の一審での意見書をふまえて 陳述する。一審の平山人事・恩給局次長の証人尋問では、平山氏は憲法28条や人勧制度との関係について証言を回避した。当時の片山総務大臣、村木人事・恩 給局長の証人申請を求めていく」とのべました。
連帯のあいさつで日本医労連の温井書記次長は、「不当な賃下げは地域経済を冷え込ませ、医療労働者の賃金にも不利益をもたらした。労使は話し合いで賃 金・労働条件を決定するのが基本。人事院勧告制度を無視して賃下げを押し付けたことは、許されない。ルール無視が通れば、民間の労使関係にも影響する。最 後までともにがんばろう」と訴えました。
全教の蟹沢中央執行委員長は、「憲法違反を争う国公労連のたたかいに勇気づけられる。ILOユネスコ教員の地位に関する勧告は、教員の給与と労働条件 は、教員団体と教員の使用者の間の交渉で決定されなければならないとしている。一方的な賃下げは、公務員の基本的人権を踏みにじることをみなさんのたたか いが明らかにしている。みなさんと連帯してともに奮闘する」とエールを送りました。
「不当判決を打 ち破ろう」と原告らが決意表明
原告を代表して2人が決意表明。全労働埼玉支部からは、「震災直後、被災地のハローワークに2週間、業務応援に行った。現地の仲間は被災し、自分を犠牲 にしてがんばっていたが、それを後ろから蹴とばしたのが賃下げだった。みなさんとともにたたかっていく」と発言。
全経済本部の鈴木賢一書記長(写真)は、「全経済は12人の原告とともにがんばってきた。職場は、仕事が増えても人は増えない。残業が増えても超勤手当は全額出 ない。本省でも、月の超勤80時間以上の人が1割以上いる。こうした状況を打破するため、全経済一丸となってがんばっていく」と奮闘する決意をのべまし た。
最後は、国公労連伊藤中央執行委員のリードで、高裁にむけてシュプレヒコールを繰り返し、行動をしめくくりました。
片山善博元総務 大臣は裁判で事実を証言せよ
10時30分から開かれた第2回口頭弁論では、佐渡島・野本両弁護が証人採用を求めて意見陳述しました。
佐渡島弁護士からは控訴人側同行証人として申請している梅原英治大阪経済大学教授の証人採用の必要性について、また、野本弁護士からは片山元総務大臣の 証人採用の必要性について、それぞれ強調しました。
佐渡島弁護士は、賃下げの必要性があったか否かが重要な論点となっているが、わが国の財政事情は公務員の賃下げが必要なまでには悪化しておらず、そのこ とを詳しく論証するためには、経済学者である梅原証人の尋問が必要だと強く主張しました。
野本弁護士は、当時の国会審議で片山善博元総務大臣が、「(人事院勧告制度を廃止して)労働基本権の回復の問題は避けて通れない問題だ」と答弁している ことと、一審の証人尋問で平山元人事・恩給局次長の「人事院勧告制度尊重を前提に、賃下げを検討していた」との証言が食い違っていることを指摘して、片山 元総務大臣の裁判での証言が必要であることを主張しました。
裁判は、次回第3回口頭弁論を2月15日10時30分に開くことを確認し、閉廷となりました。
この日の口頭弁論で強く主張したように、片山善博元総務大臣の証言が重要になっていることから、国公労連では緊急の署名運動にとりくみ、他団体からのも のも含め13,582人分の署名を集約して10月2日と10月13日に東京高裁に提出しました。
証人の採否については、第2回の口頭弁論では決定されず、第3回口頭弁論に持ち越されました。引き続き「すべての証人の採用を求める要請書」と「公正な 判決を求める署名」の集約に全力をあげていきます。
権利と生活を守るため、職場・地 域で運動強めよう~ 報告集会 ~
口頭弁論終了後、国公労連会議室にて「報告集会」を開きました。あいさつした国公労連の岡部委員長は、「今日の口頭弁論で結審する可能性さえあったが、 次の裁判の日程が決まったことは、さらに運動をひろげる条件をきりひらいた。政府は『1億総活躍社会』を打ち上げ、マイナンバー制度を国家公務員に強制す る状況のなか、私たちの権利と生活を守るため、春闘から夏に向け、職場・地域から運動を強化していこう」と呼びかけました。
続いて弁護団から口頭弁論について報告し、加藤弁護士が「憲法違反を争う裁判として、控訴審では地裁判決の誤りや論理矛盾を明らかにしていく。政府の間 違った政策を検証して審理を尽くすことは、労使関係にも大きな影響を与えることになる。労働者は黙っていないという姿勢を鮮明にし、公正な審理が尽くされ るよう全力をあげよう」とのべました。
全厚生の原告は、「民主党はマニフェストで、公務員賃下げという公約を実行したと強弁している。私たちの賃金が政治的に使われたことは認められない。青 年・新規採用者のためにも、この賃下げが前例にされないよう運動する必要がある。総人件費抑制政策のもと、クビ切りが平然と強行された社保庁職員不当解雇 撤回闘争とともに、全厚生は賃下げ違憲訴訟をたたかう」と決意をのべました。
全司法からは、「憲法違反の公務員賃下げは許せない。戦争法、労働者派遣法が成立したが、これまで憲法が保障していた労働者の権利が危ない状況になって いる。憲法尊重擁護義務を負う国家公務員労働者として、憲法を守る運動に積極的にかかわっていく」とたたかう決意が示されました。
裁判勝利へ諸行動に全力あげるこ とを確認
原告の決意表明をうけて、国公労連の鎌田書記長が行動提起し、すべての証人の採用を求める要請書のとりくみ強化・継続、公正な判決を求めて一審における 東京地裁宛署名38万筆を上回る署名集約、すべての労働者の賃金引き上げをめざして、宣伝行動など国民世論・支持を広げる行動の強化などを訴えました。
また、11月にジュネーブのILO本部を訪問して、要請団が賃下げの不当性を訴えることも紹介され、「道理は我々にある。『守ろう憲法・国公大運動』と 一体で、権利を守る裁判闘争に全力をあげよう」と呼びかけました。
最後に、岡部委員長の発声で「団結ガンバロウ」を三唱し、たたかう決意を固め合いました。