社保庁職員をもとの職場に戻せ

【とりくみ:社保庁 分限免職】2015-10-29
信頼 回復のためには旧社保庁職員の職場復帰が不可欠
= 不当解雇撤回を求めて厚労省前行動、各地で口頭弁論 =

 国公労連と全厚生不当解雇撤回闘争団は10月19日、厚生労働省前で昼休みの要求 行動にとりくみました。また、秋田、東京、愛知の事案にかかわって、各地の地方裁判所で口頭弁論が開かれました。

 厚労省前行動では、主催者を代表してあいさつした国公労連の岡部委員長は、日本年金機構職場では、サイバー攻撃による125万件もの年金情報流出や、有 期職員の使い捨てによって大量の事務処理ミスが発生しているこなどをあげ、「年金制度に対する信頼回復どころか、一層の不信に繋がっている。分限解雇をた だちに撤回し、経験ある職員を職場に戻せ」と訴えました。

 連帯のあいさつとして、国土交通労組から、定員削減計画により地方出先機関の職員が毎年数百名の規模で削減され、組織の維持ができない状況に追い込まれ るもとで、「国民の安全・安心を守っている国の出先機関の役割・重要性を広め、定員の削減ではなく、増員により出先機関の拡充を図るため運動を展開してい る。地方出先機関の廃止・統合の動きが強まるなか、社保庁の不当解雇が正当化されれば、省庁間配転などの分限免職回避努力義務が、政府にないことを認める ものとなる」とのべ、国の出先機関を守るとりくみに、社保庁不当解雇撤回支援のとりくみを結合して、とりくみをすすめる決意を表明しました。

 全日本年金者組合からは、年金切り下げに反対し、全国各地で「年金切り下げ違憲訴訟」のとりくみが展開されていることや、高齢者も若者も安心できる年金 制度を早期に実現するため、「年金者一揆2015中央集会」を10月16日に開催したことが紹介され、「年金の切り下げ、安倍政権の国民いじめ等を絶対に 許すことできない。ただちに社保庁職員不当解雇を撤回させ、国民のための年金をめざしてともに奮闘しよう」と呼びかけました。

 闘争団から、京都の原告が分限解雇になった当時を振り返り、「受け皿の問題で仕方がない」「回避努力した結果だろう」と言い聞かせて解雇を受け入れた。 しかし、後に解雇回避努力したとは言えないことを知った。回避努力をする必要がないかの当局の態度には許せない。裁判結果を待たずにただちに分限免職を取 り消せ」と訴えました。また、大詰めとなっている全国の裁判への傍聴の協力、10月30日開催の「旧社保庁職員を職場に戻せ 不当解雇撤回10.30決起 集会」への参加を呼びかけ、最後に、厚労省に向けて、シュプレヒコールを行い、団結ガンバローを行い終了しました。

秋 田、東京事案の弁論行われる
~それぞれの裁判で証人採用を強く求める~

 社保庁不当解雇撤回裁判秋田事案第9回弁論が、10月21日に仙台地裁で開かれ、45人が参加しました。

 弁論では、原告側から証拠申請書と証拠調べにかかる意見書を提出し陳述しました。証拠申請では、現日本年金機構副理事長で当時の社保庁総務部長と年金機 構設立委員会準備事務局長の薄井氏、年金業務・組織再生会議議長の座長であった本田氏など5人と、原告側証人として国公労連顧問の盛永氏、全厚生労働組合 の山本中央執行委員長など4名を申請しました。

 国側は、証人すべて不要と主張してきており、弁護団から、薄井氏は当時の社会保険庁総務部長であり、設立委員会の事務局長でもあり、日本年金機構副理事 長でもあることや、また、本田氏は年金業務・再生委員会の座長で年金機構への採用について懲戒処分暦のある職員を機構に応募させない意見に反対の意見をの べていたことで、この2名の証言がとりわけ重要であると訴えました。

 双方の主張がほぼ出揃ったことから閉廷後に進行協議が行われ、裁判所側の主張整理案に対する書面の締め切り、証人採用の協議のため12月22日に再度、 進行協議をおこなうことになりました。

 裁判終了後に報告集会が開かれ、弁護団から裁判報告があり、原告からはお礼と引き続く支援が訴えられました。また、報告集会に先立ち、国公東北ブロック の後藤事務局長からマイナンバーについてのミニ学習会も開催し、マイナンバー制度の問題点を学習しました。

 翌22日には、東京事案の第8回口頭弁論が東京地裁で開かれました。裁判に先立ち東京地裁前で要求行動にとりくみ、各単組、支援団体をふくめて50人が 参加しました。

 集会の冒頭、全厚生杉浦書記長から、「旧社会保険庁職員分限免職処分取消等請求事件の公正・公平な判決を求める要請署名」8,869筆(合計 30,456筆)を裁判所に提出したことが報告されました。
 リレートークでは、国公労連の黒田副委員長、全医労、東京国公、全厚生OBからそれぞれ連帯と激励のあいさつがおくられ、原告の松本さんからお礼と決意 がのべられました。

 弁論では、原告から準備書面を提出し、人事院審理で解明されなかった点とこれまでの弁論での補強で、人事院で解明されなかった部分を裁判所として判断す るように求めました。また、証人申請では、秋田事案と同じく現日本年金機構副理事長の薄井氏、年金業務・組織再生会議議長の座長であった本田氏など6人 と、原告側証人として国公労連顧問の盛永氏、全厚生労働組合委員長の山本氏と原告3名を申請して閉廷しました。

 裁判終了後の報告集会で、加藤弁護士から本日の提出資料および証人採用の必要性などが解説され引き続きの裁判傍聴などを呼びかけました。連帯のあいさつ では争議をたたかうJMIUいすゞ自動車争議原告、JAL争議団らから激励を受けました。第9回弁論は12月7日に開かれる予定です。

証人採用を勝 ちとり、異常な分限免職を明らかにしよう
~社保庁不当解雇撤回裁判愛知事案・第11回口頭弁論~

 社保庁不当解雇撤回裁判・愛知事案の第11回口頭弁論が、10月28日に名古屋地裁で開かれました。口頭弁論に先立ち、名古屋地裁前で要求行動にとりく み、弁論終了後には報告集会を開きました。
 名古屋地裁近くの桜華会館で開かれた報告集会には、50名が参加しました。主催者を代表して、全厚生中部闘争団から、「本日証人申請を行った。不当解雇 の実態をさらに広げて勝訴できるよう運動を強めていこう」とのべ、引き続く支援が訴えられました。

 弁護団の伊藤弁護士は「本日、証人として申請した国公労連の盛永顧問(元人事院職組委員長)の証言を通して、国が分限免職にならないように努力せずに、 一方的に社保庁職員を解雇した異常性を明らかにしていく。その他、不誠実団交の実態、年金機構移行後の繁忙な職場実態について、全厚生中部社会保険支部か ら証言してもらう。次回は、証人・原告の陳述書を提出し、次々回には証人の採否が決定されるように求めていく」と報告しました。

 その後、参加者から激励・連帯のあいさつでは、日本年金者組が「年金裁判は岐阜で175人、愛知では203人が提訴し、さらに愛知では追加提訴への参加 希望が100人程度集まっている。退職後の生活をどうするのかを国民的問題としていく」とのべ、国民救援会は「全動労闘争団として長く裁判に関わってき た。裁判は長くしんどいが、たたかって勝訴につなげていこう」と社保庁闘争団を激励しました。また、国交労組中部港湾空港支部からは「国が負ける判決を書 かせるためにはいっそうのとりくみが必要」とのべました。

 原告本人2名から支援に駆けつけたみなさんへのお礼がのべられ、最後に社保庁愛知支援共闘会議・榑松(くれまつ)議長(愛労連議長)の団結ガンバローで 集会を終えました。次回の第12回口頭弁論は、12月17日に予定されています。