広島から全厚生闘争団に新しい仲間が加わる
~ 社保庁不当解雇撤回へ、広島高裁で第1回控訴審 ~
6月9日、広島高裁(森一岳裁判長)で社保庁分限免職取消訴訟の第1回控訴審が開かれ、35人が参加しました。この裁判の原告は、広島の元福山社会保険事 務所に勤務し分限免職になった平本忍さんです。平本さんは、分限免職に納得せず人事院、広島地裁と一人でたたかっていましたが、昨年の12月21日に広島 地裁が不当な請求棄却判決を下し、広島高裁へ控訴してたたかっています。今年5月に全厚生に加入し全厚生闘争団としてたたかう決意後、初めての裁判でし た。
広島高裁には、国公労連、全厚生本部、中国ブロック国公、各地の全厚生闘争団の仲間、さらに は、地元の広島県労連、福山地域労連から支援に駆けつけました。そのなかで意見陳述した平本さんは、年金記録問題で連日深夜までの業務が心身に影響をおよ ぼし、2年間の休職に追いやられたこと、厚労省への転任もかなわず、分限免職が濃厚となり、将来を悲観した妻が自殺したことを裁判所に訴えました。「厚労 省への配転を選んだのは本人で、分限免職となったことを自己責任と決めつけた判決は許せない。わたしから職を奪い、子どもから母親を奪った。わたしは正義 のために処分取消を求める」と切々とのべました。
控訴審終了後に開か れた報告集会では、萩田啓祐弁護士から社保庁解体から分限免職にいたる背景と広島事案についてあらためて報告があり、この裁判の争点について(1)国の 行っている業務を民間委託したのみで、国公法78条の4号に該当しない、②過去に省庁廃止された国家公務員は分限免職されていないのに、社保庁職員だけさ れたのは平等取扱い原則に反する点。③分限回避努力を広島社会保険事務局長と事務所長のみに決めつけた判決は不当。の三点を争点として報告しました。
中国ブロック国公の西山議長は、広島県労連をはじめ多くのみなさんが支援に駆け付けたことに感 謝しつつ、「地元中国ブロックとしても支援を強化して、この理不尽な裁判の逆転判決にむけて奮闘したい」とあいさつしました。
広島県労連の川后(センコウ)議長、福山地域労連の西山事務局長、愛媛事案原告の児島さん、中 部闘争団の澤村さん、京都事案原告の北久保さんから、ともにたたかう仲間として激励の言葉がのべられました。
原告の平本さんは、「地裁判決では分限免職回避のための選択肢を何も示さず、自己責任としたこ とは納得できない。子ども達を社会人になるまで、ひとりで頑張らなければならない。そのためにも、分限免職を取り消すように頑張りたい。引き続きのご支援 お願いします」とあいさつしました。
最後に全厚生闘争団 がうたごえを披露し、全厚生の山本委員長がお礼を述べた後、団結ガンバロウで報告集会を終えました。次回の控訴審は、9月15日11時から広島高裁202 号法廷で開かれます。
東京事案第11回弁論、裁判長「盛永さんの話も聞いてみたい」
6月2日に社保庁不当解雇撤回裁判東京事案の第11回口頭弁論が東京地裁で開かれ、約60人が 参加しました。
弁論では、社保庁職員に雇用調整本部の枠組みを活用することが法律的に不可能であったことや、 年金機構の正規職員の欠員募集が行われなかった理由について書証を提出するとともに、2人の証人を申請しました。
弁護団の加藤弁護士が「最低限、年金機構や厚労省における分限免職回避努力義務がどうだったの か、厚労省、社保庁、年金機構の三者の問題意識がどうだったのか解明できなければならない」とし、薄井康紀証人の出廷を強く要求しました。
これに対し裁判長は 陳述書をみて判断するとしましたが、一方、証人申請したもう一人の国公労連の盛永顧問については、「証言を聞きたい」と前向きでした。
弁論終了後に行われた報告集会で加藤弁護士は、「最大の攻防は薄井証人の採否だ。また、省庁間 配転が不可能とする国側の主張は裁判所もおかしいと思っており、その点で、裁判長も盛永さんの証言を聞いてみる気になったのだろう。これは大きな進展で、 全国の裁判にも影響する」と報告しました。
集会では、 JMITU・IBMロックアウト解雇裁判原告の橋本さん、東京争議団の小関さん、東京地評の菊池さん、愛媛労連の竹下事務局長、年金者組合の増子さん、全 厚生OBの鈴木さん、国公労連の盛永顧問からそれぞれ激励のあいさつがありました。
これを受けて、原告 の松本さんから傍聴支援のお礼と引き続く支援が訴えられ、最後に国公労連の岡部委員長のあいさつで報告集会を終えました。次回第12回弁論は、8月29日 11時から東京地裁で行われます。
以 上