東京高裁で第3回の控訴審口頭弁論

【とりくみ:公務員賃下げ違憲訴訟】2016-06-20
「公務員賃下げ違憲訴訟」闘争ニュース

岡部委員長が意見陳述で賃下げの不当性を訴える
~ 国公労連が求めた証人申請は退ける ~

 
高裁前行動 14 年11月13日に東京高等裁判所に控訴した「公務員賃下げ違憲訴訟」(川神裕裁判長)の第3回口頭弁論が、6月20日開かれました。口頭弁論では、国公労 連の岡部委員長が意見陳述するなか、東京高裁前要求行動と報告集会にとりくみました。
 裁判では、国公 労連が元総務大臣の片山善博氏をはじめとする承認申請がすべて却下され、次回の9月12日の口頭弁論をもって結審し、年度内にも判決がだされる公算が大き くなっています。
 こうしたもとで、裁判勝利にむけて、「公正な裁判を求める要請署名」をはじめとしたとりくみを 職場・地域から強めることが求められています。

(東京高裁前行動) 多くの労働組合・労働 者と連帯してたたかおう

 12 時15分からの東京高裁前要求行動には、全労連、自治労連、全教、特殊法人労連、航空連など支援の団体を含め約130人が参加しました。
  主催者を代表してあいさつに立った鎌田書記長は、10万人分を超える「公正な判決を求める要請署名」を集約してきたことを報告するとともに、国際労働機関 (ILO)理事会が6月11日に開かれ、全労連が提訴している公務員制度案件について10度目の勧告を採択したことを紹介し、これまでのたたかいの貴重な 到達点であるとのべました。

 弁護団を代表してあいさつに立った萩尾弁護士は、賃下げ違憲訴訟の意義に ついて、憲法を守ること、庶民の賃金を上げていくことであることをのべました。一審での平山証人の証言で、マスコミの報道や複数の有権者の声で東日本大震 災の前に賃下げを決めたと言っていることをあげ、公務員バッシングを利用した政治介入であることを批判しました。

猿橋委員長 激励のあいさつでは、自治労連の猿橋委員長(写真)は、国公労連とともに交渉団の一員として参加した総務省交渉を振り返り、「総務省側は、政府のホーム ページからもダウンロードできるような国の財務状況を見せるだけで、『納得してほしい』と繰り返すむちゃくちゃなものだった。これで賃下げが強行されれ ば、公務員は無権利状態そのものだ」とのべ、ともにたたかう決意表明がされました。
篠原幹事
 特殊法人労連の篠 原幹事(写真左)は、「人事院は、政府が給与臨時特例法案を国会に提出したことについて問題であると批判をしたが、翌年の勧告では何の言及もなかった。み ずからの勧告が無視されて黙っている人事院は無責任だ」と厳しく批判ました。


(口 頭弁論) 事実にもとづいて高裁は公正な判断をすべき

 14 時から開かれた第3回口頭弁論では、岡部国公労連委員長が意見陳述しました。岡部委員長は、「東京地裁判決は、政府側の主張に沿って判断したもので到底受 け入れることはできない。賃金減額措置による経済的な被害の賠償はもとより、公務・公共サービスを担う職務に対する誇りを傷つけ、士気に否定的な影響を及 ぼしたことに使用者として責任をとるべきだ。行政から独立した東京高裁の公正な判断を求める」とのべました。

  佐渡島弁護士は、「国は経済対策事業を実施する際、財政学の基本原則である量出制入原則に則り、税収や公債など国家の歳入増によりその財源を賄ってきた。 なぜ東日本大震災の復旧・復興財源の確保の場合にだけ、原則を放棄してまで国家公務員の給与削減をおこなう必要性があるのか、全く説明がなされていない」 と強く主張しました。

 萩尾弁護士は、「給与減額措置の意図、人事院勧告との関係については当時の総務 大臣の片山氏、担当者であった村木氏(当時の人事・恩給局長)、「公務員制度改革」関連法案の作成に関わった笹島氏(同公務員制度改革推進事務局審議官) の証人尋問が必要だ。また、人事院勧告制度の意義については、元人事院職組委員長である盛永氏から意見を求めたい」と裁判長に要望しました。

  これに対して川神裁判長は、「客観的な事実関係について、はすでに原審も含めて確認されている。個人において調べる必要はない」とし、いずれの証人につい ても申請を却下しました。
 加藤弁護士は、「裁判所が出されている書面だけを読んで判断し、高裁が結論を出すことには到底承服で きない。憲法判断が求められる裁判であり、できるだけ事実関係を解明しておくことが必要だ。証人の必要性はないという判断は、再考すべきだ」と裁判長に強 く迫りましたが、川神裁判長は態度を変えませんでした。


(報告集会) 参議 院選挙で安倍政権に審判を下そう

報告集会  裁判後に開かれた報告集会では、あいさつした岡部委員長(写真)は「6月11日には、ILOが労働基本権回復を求めて日本政府に10回目の勧告を出した。 目前に迫る参議院選挙では、私たち公務員の権利を守るためにも政治を変えることが重要になっている。全国各地の職場・地域から運動を強めよう」と呼びかけ ました。

 続いて弁護団から報告があり、加藤弁護士が「証人申請が却下されたことから、年度内の判決が 予想される。しかし、高裁はあくまでも事実にもとづいて判断すべきであり、憲法28条による労働基本権保障を求める裁判として、高裁がどう踏み込むかが問 われている。次回9月の口頭弁論にむけて、署名集約と原告の声を集めよう」と訴えました。

香月書記長 決意表明で 全医労の香月書記長(写真)は、「東日本大震災で被災しながら復興のために必死に働いた国家公務員に対して、賃下げを強行したことに強い怒りを感じる。国 立病院機構職員の労働基本権が回復し、団体交渉で使用者責任を追及するなか、みずからの労働条件がよく見えるようになった。裁判を通して公務員の労働基本 権を取り戻すため、国公労連に結集してたたかう」とのべました。

菊池書記長 全通信の菊池書記長(写真)は、「私 は4年前、総務省本省で働いていたが、賃下げされた当時のことは昨日のように覚えている。上司も『私は労働組合に入れないが、がんばってほしい』と激励し てくれた。小林節慶応大学名誉教授は『正義は、短期的には退けられるが、長期的には勝つ』と言っている。全通信は、正義のたたかいのために奮闘する」と力 強い決意をのべました。

 行動提起した鎌田書記長は、「裁判勝利にむけては世論の理解と支持が不可欠で あり、毎月1回の街頭宣伝行動に中央・地方でとりくみ、引き続き要請署名の追い上げをはかってもらいたい。憲法で保障された公務員労働者の権利回復を求め ていくと同時に、憲法そのものを改悪しようとする安倍暴走政治をやめさせるためにも、参議院選挙で審判を下すために仲間たちに投票を呼びかけていこう。こ のたたかいの道理は私たちにあることを確信して、裁判勝利にむけて全力をあげよう」と呼びかけました。
 最後に、岡部委員長の発 声で「団結ガンバロウ」を三唱し、報告集会を終えました。
 
以  上