解雇撤回の裁判闘争が各地で重要段階に

【とりくみ:社保庁 分限免職】2016-09-05
 
      解雇撤回を求める各地の裁判闘争が重要段階に

 3高裁4地裁でたたかわれている社保庁不当解雇撤回闘争が、判決前のヤマ場をむかえています。8月29日 に開かれた東京地裁の弁論で証人尋問が決まりました。また、秋田事案の弁論では、新たな展開が生まれてきています。

東京地裁で盛永国公労連顧問が証言へ

 東京事案は8月29日、東京地裁で第12回弁論が開かれ50人以上が参加しました。弁論に先立って東京地裁前で宣伝行動が行われました。主催者あいさつした国公労連の中本中央執行委員は、「一昨日まで開かれていた国公労連定期大会では、賃下げ違 憲訴訟とともに社保庁不当解雇撤回闘争が重要時期となりなか、両裁判ともに勝利に向けたたたかいを強化することが確認された。京都事案の大阪高裁判決が 11月16日に予定され、北海道事案、愛知事案でもそれぞれ年内に結審をむかえる。北海道や秋田事案では、裁判所が新たな証拠資料を国に開示するよう求め る状況をつくり出している。年末から年度末にかけて重要段階をむかえるため、引き続きのご支援ご協力をお願いしたい」とあいさつしました。

 連帯して全労働の秋山副委員長は、「労働法制の改悪が狙われているが、解雇自由な社会をつくら せないためにも社保庁闘争は重要。引き続き支援したい」とあいさつしました。これをうけ、東京原告の松本さんから傍聴参加へのお礼と裁判所へ「公正公平な 判決を」と訴えました。

 11時から開か れた弁論では、原告側から、「社保庁改革に伴う人員削減に対し行革法にある雇用調整本部の活用を、行革法で要請されていたこと」と「年金機構の欠員募集に 正規職員を募集しなかった不合理」を示した準備書面を提出しました。また、原告側が求めていた盛永国公労連顧問の証人採用が決まりました。

 弁論終了後の報告集会では、三澤弁護士が「国は、年金問題などで国民からの信頼回復の観点から 社保庁改革を議論したもので、政府全体の『行政改革』とは異なるものと主張するが、信頼回復を言うのであれば、まず、定員増で年金記録問題の解決にあたら なければならない。加えて、社保庁の定員削減は、政府の『行政改革』方針にもとづくことは明らかで、それならば、雇用調整本部を活用しなければならなかっ た」と、今回の弁論での主張点を明らかにしました。

 ともに解雇撤回 闘争をたたかうJAL闘争団の下村さん、秋田労連の越後屋さん、京都総評の吉岡さん、中央労働委員である厚生共闘の岸田さんから、それぞれ激励・連帯のあ いさつがありました。最後に国公労連の岡部委員長から「今回も法廷を満席にしていただいた。これから年度内に判決などがつづくが引き続きのご支援をお願い したい」とあいさつし報告集会を終えました。

 なお、次回第 13回弁論では証人尋問が予定され、12月1日(木)10時30分から15時30分まで開廷されます。

(秋田事案)裁判 長が新たな「論点整理」の作成を表明

  仙台地裁では8月10日、秋田事案の第12回弁論が開かれ、大法廷に60名を超える傍聴参加がありました。
 弁論では、最初 に加藤弁護士が「国側が提出した準備書面は、分限回避努力義務の責任は秋田事務局長のみと主張しており、厚労大臣の責任を認めている高松地裁や大阪地裁判 決を否定する不当なものだ」と主張しました。狩野弁護士は、社保庁職員を厚労省(地方厚生局)へ転任させる場合は、人事評価にもとづかなければならないこ とから、事実確認のために、東北厚生局への転任者の社保庁時代の人事評価と、原告らが該当する2~4級に該当する全国の職員の人事評価を開示するよう求め ました。

 これに対し、裁 判所側も国側に開示するように促し、9月中に回答することを国側が約束しました。また、裁判長が新たに論点整理を行っていくことを確認して閉廷しました。

 報告集会では国公東北ブロックの伊藤議長が、東北各県からの傍聴行動への参加にお礼を述べると ともに、引き続きの支援を要請しました。
 つづいて原告2人があいさつし、鈴木さんが「各地の裁判闘争の主張を仙台地裁も取り入れてい て、全国でたたかっていることが心強い。時間がかかるが裁判に勝つまで支援をお願いしたい」と訴えました。
 小畑さんは「全 国の判決を聞くと不安になり逃げ出したくもなるが、今日の弁論を聞いて力になった。引き続きがんばる」と力強く決意を述べました。

 狩野弁護士が「今日、傍聴された方はこれまでと違った雰囲気を感じたはずだ。裁判所も、わたし たちの主張に噛み合ってきて、国側に釈明を求めた」と今日の弁論のポイントをあげ、また、加藤弁護士は「裁判長が新たに『争点整理』をつくると言ったのは 前進だ。いままでの争点整理であれば、分限免職回避努力の責任は秋田事務局長のままだったが、3人の学者の意見書で政府全体の責任を明らかにしたことで、 展開が変わってきた。法廷で裁判長が、国側に在職中の評価を早く出せと求めたのも、こちら側の主張に耳を傾けだした証拠だ」と裁判の前進面を強調しまし た。
 次回13回弁論は10月31日15時から開かれます。

(北海道事案)人事評価の証拠資料の提出 を国側が拒否

 北海道事案の第23回弁論が、8月30日に札幌地裁で開かれました。

 前回の裁判では、この間厚労省への転任について、社保庁時代の人事評価を考慮するか、しないかを国側の証言が二転三転したため、原告側から釈明を求めていました。ま た、国側が提出した黒塗りの人事評価の資料では判断できないため、裁判所が再提出を求めていました。しかし、今回の裁判で国側は、証拠の再提出はしないと 回答しました。

 原告側は、高松地裁判決を踏まえ、厚労大臣が分限免職回避義務を全うすれば原告の分限免職が回避できたこと。髙嶋さんが北海道労働局へ配置転換される面接さえも受けられ なかったことは、公正・平等取り扱い原則に違反すること、そのほかにも様々な点で分限免職回避義務違反があり裁量権の逸脱濫用であることを改めて主張しま した。

 弁論終了後に報告集会が行われ、全厚生本部の杉浦書記長から傍聴等の支援のお礼と、全国でたたかわれている裁判の状況を報告しました。神保弁護士から、弁論のやりとりの報告と次回の期日で結審されることが報告され、最後に高嶋さんからお礼と引き続きの決意が述べられ報告集会を終えました。
 以  上