全国でたたかわれている社会保険庁不当回顧撤回闘争が山場をむかえています。
9月29日に名古屋地裁で愛知事案第14回弁論が開かれ、原告2人の本人尋問が行われました。弁論に先立ち、名古屋地裁あて署名提出(5,000筆、累計40,000筆)と名古屋地裁前行動が行なわれ多くの支援者が駆け付けました。
弁論の前に名古屋地裁前に駆け付けた支援するみなさんと中部闘争団のみなさん
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原告の悲痛な訴えが法廷に響く
13時10分から開かれた口頭弁論には大法廷いっぱいの83人が傍聴席を埋めました。
はじめに裁判長が追加書証の確認をした後、まずB子さんに対する当事者尋問が始まりました。B子さんは、「人の役に立ちたいという思いで社会保険庁に入った」、「職員意向調査票で日本年金機構を希望しなかったのは、そもそも調査票の要式が希望できるようになっていなかったから」、「閣議決定をニュースで知り、機構に戻れないのではないかという不安が大きくなった。当時妊娠していた第2子を中絶することも考えた」など、誇りを持って仕事をしていたことや社保庁解体に伴う不安の大きさなどを語り、これを聴いていた裁判官が何度もうなずく光景がみられました。
つづいてA子さんに対する当事者尋問では、「厚生労働省への転任面接は10分ほどで終わってしまい、私のこれまでの業務経験や勤務実績には興味がなさそうだった。国の政策で社保庁を解体したことに伴って行なわれた手続きとは到底思えないものだった」、「禁止規定が定められる前の目的外閲覧を理由に懲戒処分を受け、その後の基本計画で機構に残る門戸が閉ざされた。二重処分にあたり理不尽に思う」、「分限がなければ今年度末に正職員として定年を迎えている。分限処分を撤回してもらい、機構の職員として定年を迎えたい」など、理不尽な分限処分に対するA子さんの苦悩や悔しい思いが語られました。
署名をなんとしても50,000筆に
弁論終了後、桜華会館の会議室で報告集会が開かれました。まず、磯貝団長が「いよいよヤマ場。名古屋地裁宛ての署名をなんとか5万筆にしたい。引き続き頑張るのでご支援をよろしくお願いしたい」と主催者あいさつを行いました。
続いて弁護団から報告があり、B子さん担当の伊藤麻衣子弁護士が、「まずは尋問をがんばった原告のおふたりに大きな拍手を」と呼びかけると、会場いっぱいの拍手と声援が原告のふたりに送られました。同弁護士は「B子さんは、事実を単につらつらと伝えるだけでなく、本当に胸のうちから出てくる思いを話してくれた。裁判官にこの分限の理不尽さをわかってもらうために欠かせない尋問だった」と報告。また、A子さん担当の柴田幸正弁護士は「この尋問では、こんなに優秀で経験と能力もあるA子さんをなぜ不採用にしたのか、という点を強調したかった」と説明。さらに「被告側代理人の尋問のやり方は、理由を聴かずに結論のみを言わせようとするもので非常に悪質だった。でも、A子さんはそれに対し見事に切り返してくれた」と報告しました。さらに、その他の弁護士からも、「法廷は劇場にも似ている。今回の尋問にむけてリハーサルを4~5 回やってきたが、今日の尋問が一番よかった」と原告を労う発言や「原告のやるせなさ、分限の理不尽さが浮き彫りとなった尋問だった。あとはどうやって勝利判決に結びつけるか。弁護団もがんばっていきたい」など、心強い発言が続きました。
その後、中部ブロック国公の吉田副議長、全厚生OBの杉崎さんから原告のふたりへの激励のことばが掛けられ、全厚生本部の杉浦副委員長からは、全国の裁判闘争の状況報告にくわえ、勝訴判決をなんとしても勝ち取るために更なる奮闘を続ける決意が表明されました。
これらの激励のことばに対し、原告のB子さんは、「大変多くの方々に傍聴に来ていただき、尋問のときは背後からみなさんの熱い思いが伝わってきた。ありがとうございます。今夜はゆっくり眠れます」と笑顔でこたえました。また、A子さんも、「いつも傍聴に来ていただきありがとうございます。弁護士さんにもいろいろ工夫していただき感謝しています。引き続く支援をお願いします」と力強く発言しました。
最後は、愛知支援共闘会議の榑松議長(愛労連議長)が「今回の裁判で国のいいかげんさがよくわかった。結局は、年金未納問題を末端の職員に押しつけた解雇にしかすぎないことが明白になった。国民の年金を守る職場をきちんとしなければならない。絶対にこの裁判に勝利しよう」と閉会のあいさつを行い「団結ガンバロー!」で締めくくりました。
次回期日は、12月21日(水)10時から第15回弁論が開かれ、これで結審となります。
(※愛知原告2人は名前を公表していないため、「A子さん」、「B子さん」としています)
以上