不当な判断を覆す時まで全力でたたかいぬこう

【とりくみ:公務員賃下げ違憲訴訟】2016-12-06
「公務員賃下げ違憲訴訟」闘争ニュース
不当な判断を覆す時まで全力でたたかいぬこう

 2014年11月13日の控訴から約2年。「公務員賃下げ違憲訴訟」は12月5日に判決日を迎えました。判決言い渡しに先立ち、14時半から東京高裁前行動を実施しました。15時からの判決言い渡しでは東京地裁に引き続き、被告・国の暴挙を「合憲」と判示する不当判決でした。(国公労連速報№3286 2016年12月5日)
 続いて開催した報告集会では、弁護団より判決概要について報告がありましたが、一審での判決を踏襲しながら、違憲となる要件をさらに狭めていることが指摘されました。
無権利状態を容認、到底納得できない
~東京高裁前行動~
 14時30分からの東京高裁前行動には全労連や支援団体含め約200名が参加しました。主催者あいさつとして岡部国公労連委員長は、「2年余りにわたってたたかってきた。総務大臣をはじめ証人採用を求めてきたが認められず、審理を深めるには至りませんでした。また、われわれの要請を拒否して、主文のみ読み上げるということで判決は予断を許しません」と述べ、東京地裁判決について、「就業規則による労働条件の不利益変更法理について、公務員であるという理由でその適用、準用を一切否定しました」と指摘するとともに「憲法解釈と事実認定を誤り、国家公務員労働者を事実上、無権利状態におくことを容認するもので、到底納得できません」と改めて怒りを込めて訴えました。
 また最後に、「公務員は憲法に規定された『全体の奉仕者』として、その地位の特殊性はあっても一人の労働者であることには変わりありません。公務員労働者も、自らの労働条件決定に参加し得る制度の構築をはじめ、安心して職務に専念できる身分保障、そして市民的政治的な自由の確立など、職場から権利意識を高めあうとりくみ、権利闘争を改めてしっかり位置付け、勝利解決をめざして全力をあげたいと思います。」と述べました。
 引き続いて、法廷に向かう原告団と弁護団を、全労連をはじめとする支援団体のみなさんと参加者で送り出しました。

 
不当判決にあふれる怒り
 裁判所前で判決の一報を待っていた国公労連・各単組や支援に駆けつけた各団体の仲間は、法廷から走り出してきた郡司国公労連中執が掲げる「不当判決」の紙を見るや、怒りのシュプレヒコールをあげました。原告団と弁護団、傍聴者が法廷から退出後、弁護団を代表して、小部弁護士と尾林弁護士から、判決内容について報告がされました。小部弁護士は、「今日の不当判決に2つ問題があると考えています。労働基本権を剥奪された代償措置として人事院勧告制度が認められている。にもかかわらず、政府がそれを無視して一方的な賃下げを強行した。それを止めるのが裁判所の役割ではないのか。日本の国は三権分立の制度を取っている。それぞれが牽制し合うことによって、まともな政治が行われる前提である。政府が暴走し、国会が暴走するとき、誰がそれを止めるのか。まさしく裁判所が止めるものである。人事院勧告を無視した憲法違反の悪事をわたしたちは絶対に許せません。私たちは怒りを新たにして、出るところに出て、ちゃんと議論すべきではないかと思います」と引き続きたたかっていく決意が述べられました。次に、尾林弁護士は、「人事院勧告は国家公務員の労働基本権の代償措置として中心的かつ重要なもので、給与水準は客観的なものでなければならないから、給与決定は人事院勧告を重く受け、充分に尊重すべきことが求められていると書いている。であるならば、今回のような、正当な理由のない不当な賃金引き下げは、当然、憲法違反の判断を下すべきであったのではないでしょうか?今日の判決は極めて不当ではありますが、みなさんの労働基本権を制約する今の法律の矛盾を現下に、世界中に知らしめる恥ずべき判決です。
政府はこれまで労働基本権が制約されていたとしても人事院勧告制度によって適正に公務員の権利が保護されていると繰り返し、ILOに説明してきました。しかし、政府が与党のみの思惑によって人事院勧告制度を無視して、今回のような大幅な給与の引き下げが、裁判所によっても追認されることは、国際的規準であるILOは決して黙っていることはないでしょう。最高裁でのたたかいも残っています。これからも力を合わせて、国公労連が固く団結をして、この不当な法制、不当な判断を覆す時まで全力でご一緒にたたかいぬこうではありませんか。」と述べました。そして「不当判決、糾弾!」と参加者全員がシュプレヒコールをあげました。
 
幅広い労働者の権利をまもろう
~報告集会~
 主催者あいさつした秋山国公労連副委員長は、「控訴審の判決は、一審判決から何らの進展もない内容であり、原告のひとりとして大きな怒りを感じている。近年、労働者がストライキを行うと、悪いことをしたように報道がなされる。生活を守るために労働基本権を行使することがどういう意味を持つか、改めて考える必要がある。組織的には、これから上告するか否かを検討することとなるが、より良い社会に向けて、今後も労働者の権利を守るたたかいが必要である。」と述べました。
 続いて弁護団を代表して萩尾弁護士から判決の内容について解説が行われ、「一審判決の内容を基本的に踏襲するもので、憲法違反であるとの国公労連の主張をことごとく退け、不当な賃下げを合憲と判断している。必ず矛盾があるはずであることからも判決内容を精査し、今後のたたかいへつなげていくべきである。」と述べました。また、弁護団の山添弁護士(参議院議員)も駆けつけ、「労働基本権の確立を含め、憲法をまもり、各地で怒りを共有し、民主主義の世の中を目指し、連帯することが必要。」と訴えました。全労連・野村副議長からは、「不当な判決であり糾弾する。行政・司法・立法にも背を向けられた全労働者への攻撃である。当時、労働基本権を返すと言いながら、賃下げだけを行って、未だに労働基本権が付与されていない。全労連としても引き続き連帯して奮闘したい。」と連帯のあいさつを述べました。また、単組を代表して2名が決意表明を行いました。
国土交通労組・村上中執(写真左)は、「危険な業務などを行う必要があるが、要員が確保されず職員は不断の努力で業務をこなしている。一方的な使用者の都合により賃金が下げられ、労働条件が低下されることがあってはならない。」、全労働・森崎委員長(写真右)は、「賃下げは2年間の措置として延長させなかったこと、全大教、独法や民間との連帯・共闘がはかられたこと、組織強化がはかられたことなど、これまでの到達点を確認する必要がある。今後のとりくみでは、今の政治情勢を分析し、労働基本権をとりかえすなど、幅広いたたかいが必要」と訴えました。
 
鎌田国公労連書記長は、「はじめに、不当な判決となったが、これまでの全国での様々な運動に感謝する。ILOからの2度の勧告など、国際世論も高まり、官民共同のたたかいによって、各方面の賃下げを抑止する効果もあった。上告期限は2週間後の12月19日となっており、原告の意思確認などの状況を踏まえ、上告について判断する。これまでの到達点とこの訴訟の意義・目的を組合員に伝えて欲しい。上告することとなれば、広く国民の理解と支持が必要となるため、署名等の取り組みを提起することとなる。今、憲法自体が揺らいでいる。
憲法尊重義務のある国家公務員として、われわれだけでなく、非常勤職員を含め幅広い労働者の権利をまもる必要がある。」と訴えました。
 最後に、岡部国公労連委員長の音頭で団結ガンバロウを行い、集会を閉じました。
 
 


 
以上