「公務員賃下げ違憲訴訟」闘争ニュース
控訴審が結審、12月5日に判決
=控訴審第4回口頭弁論=
国公労連と組合員359人が2014年11月13日に東京高等裁判所に控訴した「公務員賃下げ違憲訴訟」の第4回口頭弁論が9月12日開かれました。口頭弁論では、郡司中執ら3名が東京高裁に公正な判断を求め意見陳述したほか、東京高裁前要求行動と報告集会を展開しました。判決は12月5日15時から東京高裁101号法廷で言い渡されます。裁判勝利に向けて、引き続き、毎月1回の街頭宣伝行動を中央・地方で実施するとともに、裁判闘争の意義と到達点を再確認し、「公正な裁判を求める要請署名」のとりくみの徹底が必要です。
確信を持って引き続き奮闘しよう
~東京高裁前要求行動~
12時15分からの東京高裁前要求行動には、自治労連、全教、全大教、特殊法人労連、民放労連など支援の団体を含め約130人が参加しました。主催者を代表してあいさつに立った秋山副委員長(写真左)は、全国各地で月1回の定例宣伝を実施していることに敬意を表するとともに、「地道なとりくみが使用者による一方的な不利益変更ができなくなってきている」と述べました。そして、労働契約法にふれ「第9条は、労労働者の合意無く一方的に不利益変更してはいけない。労働組合に結集している労働者は学ぶ機会があるが、
組織されていない労働者にこういう宣伝行動を通じて丁寧に宣伝しよう」と呼びかけました。そして、「このようなとりくみが憲法違反の賃下げを2年でやめさせ、その後の人勧で3年連続の引き上げ勧告につながっていることに確信を持って引き続き奮闘しよう」と主催者を代表してあいさつをしました。
弁護団を代表してあいさつに立った尾林弁護士(写真右)は、「賃下げ違憲訴訟は、乱暴な賃下げを許さないたたかいで、人事院勧告に基づかない賃下げは、憲法違反であることが明確になっている。一審の判決でも、乱暴な賃下げはいつでもできるものではないと判断している」として、裁判所にむけて「高裁は、賃下げを押しつけた政府の判断を断罪されたい」と訴えました。
続いて、おふたりから激励の連帯あいさつを受けました。全大教の長山書記長
(写真右)は、国家公務員にかけられた違法な賃下げの影響が国立大学関連にも及ぼされ、それに対する「未払い賃金請求訴訟」が全国11カ所でたたかわれており、残念ながら地裁、高裁で不当な判決がつづいていることを報告しました。高裁段階の判決で「国の要請があればそれに応えるのが当然」との内容で、「判決は司法の独立性を疑ってしまう」と訴えました。最後に賃下げ違憲訴訟のたたかいが勝利することにより、全大教の未払い賃金請求訴訟の闘いに勝利をするため、ともにたたかう決意を述べられました。
郵政産業ユニオンの日巻委員長
(写真左)は、全労連の公務労組連絡会の代表委員として、労働基本権の代償措置である人事院勧告を押しつけたことは憲法違反であって、憲法28条に保障されている団結権は公務員であっても保障されることが当然であること、郵政各社ではたらく仲間は、公社時代に公務員と同等に人事院勧告に従っていたが、民間となってストライキ権を活用してたたかっていることを紹介しました。そして、人事院勧告に準拠する750万人の労働者に影響するこの裁判闘争をともにたたかう決意が述べられました。
最後に、原告を代表して全法務の空直樹
(写真右)さんが、決意表明するにあたり地裁判決を読み直したことにふれて「むりやり違憲を合憲とした内容なので、全く意味がわからない」と一審判決を糾弾しました。また、高裁でも不当な判決が出されれば、国際的な問題にもなると訴えました。また、この攻撃をはね返すたたかいをするために勝利に向けたグッズをつくったことを報告しました。最後に、地元でもこのたたかいをがんばる決意を述べました。
次に、国土交通労組の松瀬光太郎
(写真左)さんは、沖縄、つくば、大阪、本庁など全国各地で勤務してきた経験にふれながら、国民の安心・安全を守るために気象の仲間が業務をしていることを報告しました。そして日々国民のために奮闘している公務員に対し、人事院勧告に基づかない一方的な賃下げ攻撃をかけてきたことは断じて許されず、このたたかいに勝利するまで奮闘する事を決意表明しました。
「高裁は公正な判断を」――3名が意見陳述
~第4回口頭弁論~
14時から開かれた第4回口頭弁論では、3名が意見陳述しました。
原告である郡司一徳中央執行委員は、「航空灯火・電気技術官として東京国際空港(羽田)で勤務していたが、東日本大震災で通年の業務プラスαで業務量が増大し、いつ過労死してもおかしくない状態だった。皆、航空機の安全な運航のために踏ん張ってきた。子ども3人と専業主婦である妻の5人家族で給食費など就学援助費を支給してもらえる程度の給与であったため、もともと贅沢な暮らしなどしたくてもできない上に、2年間で40万円もの給与が削減された。一審判決の後、判決書を何度も読み返したが、いくら読んでも賃下げの必要性について納得できる点は一つもない」と述べました。
東日本大震災で母親と家を失った全労働の松木長男さんは、「震災から5年6カ月が過ぎたが、福島はじめ現在も復興には程遠い。にもかかわらず、被災地で働く国家公務員を考慮することもなく、国が大幅な賃下げを強行したことは、多くの国家公務員の仕事に対する誇りをないがしろにするものだ。労働基本権を守る唯一の手段である人事院勧告すら無視しての大幅賃下げは絶対許すことはできない。高裁は、公務労働者の働くルールについて公正な判断をせよ」と迫りました。
岡村親宜弁護士は、「人事院勧告に基づかない特例法は、不利益を国家公務員に法的に受忍させることを許容するだけの『高度の必要性に基づいた合理的なもの』とは認められず、国会の立法裁量権の濫用であり、憲法に違反し違憲・無効というべき」と強く主張しました。
これに対して川神裁判長は、弁論の終結を宣言し、判決言渡期日を12月5日の午後3時とし口頭弁論を終えました。
労働者の権利を守るため、勝利判決めざして全力を
~ 報告集会 ~
冒頭、あいさつに立った国公労連の鎌田書記長(闘争本部事務局長)
(写真左)は、「本日の裁判で控訴審が結審し、12月5日に判決がでることになった。この裁判闘争は、公務員労働者の権利を守るたたかいであると同時に、すべての労働者の賃上げと権利を確立するたたかいだ。6月11日にILO結社の自由委員会が10度目の勧告を日本政府に行ったが、政府は、『人事院勧告制度を尊重する姿勢は明確であり、給与減額支給措置が終了した後は、勧告通り実施している』と答弁している。裏を返せば、私たちの裁判闘争が、不当な賃下げの継続や新たな賃下げを阻止していることの証左といえる。控訴審では、なんとしても逆転勝訴を勝ち取とろう」と呼びかけました。
続いて弁護団から口頭弁論について報告し、加藤弁護士
(写真右)が「本日の最終弁論で、原告の松木さんと郡司さんが東日本大震災の復興のため奮闘した国家公務員の実態を、事実をもって意見陳述し、賃下げによって一人ひとりの生活と家族に大きな傷跡を残したことを訴えた。岡村弁護士は、半世紀の歴史を分析しながら政府の不当性を鋭く指摘した。裁判闘争によって給与減額立法を2年で止めたことも確信にしたい。社保庁不当解雇闘争とともに賃下げ違憲訴訟は、労働組合として重要なたたかいだ。自民党改憲草案など公務員への権利侵害の攻撃がかけられようとしているなか、いまこそ抵抗しなければいけない。判決の日まで、最後までたたかおう」と訴え、
山添弁護士(日本共産党参議院議員)(写真左)は、「調査権がある国会議員として、弁護団と相談しながら運動をすすめたい。判決日は国会会期末の時期だが、みなさんとともに勝利の美酒を味わえることを祈念したい」と述べました。
「国公労連の原告として裁判に参加できてよかった」~2人が決意表明~
全経済の鈴木書記長
(写真左)は、「全経済には12名の原告がいるが半分は55歳。人員が少ないなか必死に業務をこなし苦労した世代に報いるためにも、全経済は奮闘する」と述べ、全司法東京地裁支部の青柳さん
(写真右)は、「不当な賃下げをうけ、一人でも提訴したかったくらい怒りをおぼえたが、国公労連の原告として裁判に参加できて本当によかった。本日の意見陳述を聞いて、決意を新たにした。12月5日の判決にむけ、がんばりたい」と決意を述べました。
原告の決意表明をうけて、国公労連の笠松書記次長は、判決日まで3カ月を切っていることを踏まえ、今後の行動として、
①各単組の定期大会や職場集会で、裁判闘争の意義と到達点を伝え、確信にしてほしい。
②「公正な裁判を求める要請署名」集約にむけ最後の追い上げをお願いしたい。
③毎月1回の街頭宣伝行動に取り組み、世論を大きく広げよう。
④ILO勧告をふまえ、全労連公務部会で追加情報のため議論をすすめている。国際世論で、政府と裁判所を包囲しよう。そのためには、組合員を拡大し、労働組合を強く大きくしよう。
以上4点を提起したうえで、「裁判勝利をめざして奮闘しよう」と呼びかけました。
最後に、鎌田書記長の音頭で「団結ガンバロウ」を唱和し、行動を終えました。
以上