秋田事案で被告国側が釈明を拒否

【とりくみ:社保庁 分限免職】2016-11-05
 10月31日、社保庁不当回顧撤回闘争秋田事案の第13回口頭弁論が仙台地裁で開かれました。傍聴行動には61名の支援者が集まり、弁論を見守りました。

被告国側、高松地裁判決の厚労大臣の分限免職回避義務についても否定
 弁論では、当事者双方から準備書面の陳述が行われ、原告側から狩野弁護士が補足説明を行いました。今回の弁論で原告側から提出された準備書面(14)は、前回の弁論で原告側が提出した準備書面(13)において指摘した点(厚生労働省への転任手続きには国公法58条1項等に反する重大な違法事由があること)に対する被告準備書面(9)による反論への再反論であり、被告の主張の矛盾点について傍聴者にも分かりやすい説明がなされました。(内容については、下記の報告集会参照)これにたいして、被告側からの説明は特になされず、弁論は20分ほどで終了しました。

被告国側の主張はデタラメばかり
 弁論のあと、仙台市戦災復興記念館の会議室にて報告集会が行なわれ、東北ブロック国公の伊藤議長が開会あいさつを行い、傍聴行動へのお礼を述べるとともに、「弁論には61名の傍聴参加があった。満席が79席なのでもうひと踏ん張りして次回は満席にしたい。みなさんのご協力をお願いします」と、さらなる結集を呼びかけました。
 続いて弁護団から裁判の報告がおこなわれ、狩野弁護士は「前回の弁論では、社会保険庁の人事評価でどれくらいの評価を受けた人が厚労省に転任されているのか、原告よりも良い評価の人ばかりだったのか、という点について被告に釈明を求めた。裁判所も釈明するよう被告に促していた。ところが、被告は釈明に応じないと回答してきた。その理由は、社会保険庁の人事評価制度は国公法上の人事評価ではないから、転任手続きは『その他の能力の実証』すなわち面接評価と書類審査をもとに行ったのであり、なんら問題はないというもの。到底受け入れられない」と被告側の対応を疑問視したうえで、「社保庁の人事評価制度は国公法上の人事評価制度とほぼ同じで、評価基準も細かく公開していた。『その他の能力の実証』はそのような客観的な評価に基づいてなされるべきだった。しかし、転任面接はその場の印象により判断されたもので客観的な基準がない。そんなもので『その他の能力の実証』になるはずがない」と指摘し、分限免職回避努力義務が不十分であることを明らかにしました。
 また、虻川弁護士からは「被告から提出された準備書面(10)では、高松地裁判決で認定された厚生労働大臣に分限回避努力義務があるとの点につき、詳しい理由もないまま間違っていると反論している。いっぽう、政府に責任があると明言している榊原教授などの意見書に対しては、この高松地裁判決を引用して反論している。自分の都合のいいように判決を利用しているだけであり、裁判長もこれを読めば矛盾するように感じると思う」と述べ、今後はこのような矛盾点を突いて追い詰めていくと報告しました。

みなさんに感謝!長いたたかいだが、がんばっていく

 原告からは、小畑さんが「いつもたくさんの方々の傍聴支援、本当にありがとうございます。これから証人尋問などもあり、みなさんの応援が必要です。引き続きよろしくお願いします」と支援者への感謝の気持ちを伝え、高橋さんも「いつもありがとうございます。まだ長くなりそうだが、みなさんのお力を借りてがんばっていきたい」と、今後も勝利判決に向けて頑張る決意が述べられました。
 その後、全厚生本部の大門中央執行委員から全国の状況報告がなされ、中部闘争団の磯貝団長からは「北海道以外のすべての事案に応援に行こうと思っている。なんとしても勝利判決に結びつけるため、労働組合や民主的団体のつながりをさらに強くして多くの支援者とともにたたかっていきたい」と、さらなる奮闘の決意が力強く述べられました。
 さらに、3名の支援者からの発言がありました。
 秋田県労連の星野議長からは、「国側の反論はまともな理屈になっておらず、原告側は少なくとも押していると感じた。原告のみなさんは大変な思いで頑張っていると思うが、もうひといき一緒にがんばっていきましょう」と原告への激励のことばが送られました。青森県国公の伊藤事務局長からは、「青森県国公では、この裁判の支援行動の一環として10月26日に青森市内で街頭宣伝を行った。県国公の機関紙でもこのたたかいについて必ず触れている。本件訴訟をこれからも継続的に支えていきたい。SNSにも載せているので拡散してもらいたい」と日常的な支援活動の報告がなされました。いわて労連の金野議長からは、「県労連としてこのたたかいを支援し、傍聴行動に参加している。みんなで団結して社会に訴えていくことが大切。引き続き一緒にたたかっていきたい」との決意が述べられました。
 最後に、東北ブロック国公の伊藤議長が「風は、向い風から追い風に変わってきている。全国でたたかう多くの仲間を応援しよう!」と閉会のあいさつがなされ、団結ガンバローで締めくくりました。
 次回期日は、来年1月16日(月)の14時から開かれます。(なお、進行協議期日が後日決定される予定)
以上