1月14日、人事院の「公務職場におけるパワー・ハラスメント防止対策検討会」(以下、検討会)は検討会報告(以下、報告)をとりまとめ、人事院に提出しました。
国公労連は、職場の深刻な実態をふまえ、パワハラの定義を広くとらえ、明確化すること、外部からの暴言・暴力・不当要求などに対する対策を講じることなどを報告に盛り込むよう働きかけてきました。
その結果、報告では「パワハラは人権に関わるもの」と位置づけ、「公務全体の方針としてパワハラを行ってはならないことを規定すべき」との基本的考え方を示すとともに、国公労連の主張を一定反映した概念や対策などを示しました。
不十分な行政利用者によるハラスメントの防止
「業務に関する優越的な関係」について、業務上の地位が上の職員による言動にとどまらず、同僚や部下によるものもパワハラにあたることや言動が行われる場所や時間は問わないとしました。しかし、業務に関係なく同僚や部下から罵倒されたり、一対一の関係で行われる行為については例示されていません。
また、「業務上必要かつ相当な範囲を超える言動」かどうかは総合的に判断されるべきとしていますが、誰が判断するのかによって大きく変わります。
なお、行政利用者による言動もハラスメントにあたるとしたことは、職場の声を反映したものと言えます。しかし、具体的な例として「業務の範囲や限度を明らかに超える要求をするもの」と限定的になっており、職場実態に照らせば不十分と言わざるを得ません。
実効ある対策を指針に
報告で注目すべきは、業務過多や人員不足がパワハラの温床となっているとの認識を示したこと、パワハラによって高い業績をあげた者が高く評価されてはならないとしたことです。報告では質の高い行政サービスを提供するためにも、パワハラを防止する必要があるとしていますが、国民本位の行財政・司法の確立、誰もが安心して働ける公務職場の実現のためにも、実効ある対策が指針に盛り込まれるよう追及する必要があります。
2020年版「税制改革の提言」不公平税制是正で財源16兆7千億円
国公労連は、2020年版「税制改革の提言〜応能負担の原則で国民本位の税財政及び行政の確立を」を発表しました(提言の全文は雑誌『KOKKO』第38号に掲載)。
昨年10月の消費税増税で主要な経済指標が軒並み大きなマイナスを記録し、庶民の暮らしが悪化する一方で、大企業の内部留保と富裕層の金融資産は史上最高額を更新しています。
中小企業と庶民には負担が重く、大企業と富裕層には負担が軽くなっている不公平税制を是正するだけで16兆6898億円の財源が生まれることを今回の「税制改革の提言」は明らかにしています。
2万3千円以上の賃上げで生活改善を
2020年国公労連統一要求を決定
国公労連は1月15日に中央闘争委員会を開催し、月額2万3千円(5.6%)以上の賃上げをはじめとする2020年春闘における統一要求を決定しました。
この統一要求を「第1波統一行動週間」(2月10日の週)を基本に、任命権者・所属長に対して提出し、生活改善できるすべての労働者の大幅賃上げ、均等・均衡待遇の実現、定年延長など雇用と年金の確実な接続、赴任旅費の改善など組合員の切実な要求の実現にむけて、すべての職場から交渉を積み上げていくこととしています。
それぞれの機関で所属長交渉の重要性を意識して職場からの上申闘争を強化し、3月6日までを基本に春闘統一要求に対する上申を勝ちとりましょう。
第201回通常国会開会
定年延長にむけた法案提出予定
第201回通常国会が1月20日から6月17日までの150日間の予定で開会しました。今国会には、私たちの労働条件にかかわる法案が提出されることが予定されています。それは定年延長にむけての「国家公務員法等の一部を改正する法律案」です。
この間、定年延長にむけては、政府で2018年に人事院から出された「意見の申出」をふまえた検討・具体化が行われてきました。報道等によれば、2022年から定年年齢を2年に1歳ずつ段階的に引き上げることとなっています。制度の中身は「意見の申出」が前提となっていることが想定され、多くの問題を抱えています。
一つは「役職定年制」の導入です。
組織の新陳代謝を確保し、その活力を維持することを目的として、管理監督職員(指定職および俸給の特別調整額適用官職等)を対象に「役職定年制」を導入するとしています。そもそも役職定年は、一定の年齢に達したことを理由として一方的に転任・降任(=不利益変更)させるもので、年齢差別を容認する制度といえます。
各府省で管理監督者の範囲や割合が各府省で大きく異なっていることにくわえて、恣意的な運用がされる可能性も排除できず、府省間での公平性が担保されるのか疑問がぬぐえません。
また、定員削減や新規採用抑制の影響で40・50歳台の職員が20・30歳台の職員の約2倍に達するほど人員構成に偏りが生じています。とくに直接国民と向き合って仕事をしている地方機関で顕著です。このようななかで、一律的に役職定年させれば、安定的な公務運営に支障をきたす可能性があります。基本的に「役職定年制」には反対ですが、どうしても必要な場合は労働組合との合意のもとで行うべきです。
次に60歳超職員の給与水準を7割以下に減額することです。
「意見の申出」では、「60歳を超える職員の給与水準(俸給月額)は、職務が同じ場合でも60歳前の7割とする。役職定年により『任用換』された職員は、俸給の特別調整額(いわゆる管理職手当)が支給されなくなること等により、任用換前の5〜6割程度の年間給与水準となる場合がある」とされています。
職務も変えずに年齢によって、給与を引き下げることは年齢差別であり、職務給の原則にも反し、「同一労働同一賃金」の観点からしても矛盾する措置です。
給与水準を60歳前の7割とする根拠として人事院は、第1に「賃金構造基本統計調査」で行(一)職員と類似する「管理・事務・技術労働者」(フルタイム・正社員)の60歳台前半層の従業員と50歳台後半層の従業員の年間給与を比較して、企業規模10人以上で68.8%、100人以上で70.1%になっていること、第2に「職種別民間給与実態調査」で、定年年齢を引き上げ(または廃止)ている事業所のうち、60歳時点で給与減額を行っている事業所の平均減額が7割台(課長級75.2%、非管理職は72.7%)だったことをあげています。
「賃金構造基本統計調査」は、人事院自らが「多くの民間企業は給与水準が下がる再雇用制度により対応している」と言及しており、適切な指標といえるかは疑問が残ります。
「職種別民間給与実態調査」結果は、定年が60歳を超える企業は13%、うち60歳を超える従業員の給与減額を行っている企業は約3〜4割できわめて少数となっています。これも到底「民間準拠」とはいえず、引き下げありきと指摘せざるを得ません。賃下げなしで制度設計をすべきです。
このほかにも、交代制勤務や航空管制業務など高度な専門性が求められ、高齢で働くことが困難な職種に対しての対応についての言及がないことや、定員についても具体的にどのような措置を考えているのかは明らかになっていません。これらは、公務・公共サービスを受ける国民にとっても大きな問題です。
この定年延長にかかる閣議決定は3月上旬が予定されています。上記をはじめ、定年延長にともなう職場での具体的な問題点の追及をこの春闘期での交渉で強めるなど、誰もが安心して働ける職場や制度の確立にむけて奮闘していきましょう。