国公労新聞2020年2月25日号(第1538号)

【データ・資料:国公労新聞】2020-02-25
2020春闘交渉スタート
大幅賃上げ、地域間格差の解消を
「ひとり一行動」で要求を実現しよう


 国公労連は2019年度第1回中央闘争委員会(1月15日開催)において確立した月額2万3千円の賃上げ要求をはじめ、非常勤職員の安定雇用と均等待遇の実現、定員削減計画廃止・撤回、定年延長の実現など誰もが安心して働ける高齢期雇用、民主的な公務員制度の確立などをめざして、「2020年春闘統一要求書」「非常勤職員制度の抜本改善にむけた重点要求書」「定員管理等に関する要求書」「国家公務員制度等に関する要求書」を政府・人事院(2月19日)に提出し、交渉をスタートさせました。これから春闘の集中回答日(3月12日)にむけて交渉を積み上げていきます。

春闘に結集し大幅賃上げを
 大企業は巨額の利益をあげるなか、内部留保を449兆円にまで積み増し、株主配当・役職報酬を増やす一方で労働分配率は低下し労働者の賃金は改善されていません。労働者の生活は、実質賃金が2012年から年収ベースで18万円低下するもとで、昨年消費税率が10%に引上げられたこともあって悪化の一途をたどっています。
 国公労働者の生活も例外ではありません。昨年秋にとりくんだ「要求組織アンケート」では「生活が苦しい」が6割、50歳以上は約7割にのぼっています。6年連続で賃金改善されているものの、改善は若年層中心で物価上昇にも満たないものです。そうしたこともあって、この間の高齢層職員の給与抑制分をわずかな改善ではカバー出来ていないことが率直にあらわれています。
 初任給水準の低さも問題になっています。高卒初任給は国公労連の試算(超過勤務の時給単価計算)によると8都府県で最低賃金を下回る計算になります。
 こうした実態を改善するためにも、春闘に結集し、労働組合が連帯して民間労働者・労働組合で大幅賃上げを勝ちとり、夏の人事院勧告へつなげていくことが重要です。
 制度の仕組み上、民間労働者・労働組合での労働条件改善がなければ、私たちの労働条件改善は難しいのが実態です。そうしたことから春闘で官民共同のとりくみをいっそうすすめるとともに「ひとり一行動」を全組合員で実践するなど、生活改善にむけて奮闘していきましょう。

職場段階からとりくみ進めよう
 職場段階からのとりくみとしては、要求の切実性・正当性、悪化する生活、きびしい職場実態などを率直に訴えるなど、各級機関での追及を強め、3月6日までに上申を勝ちとるなど交渉を強化していきましょう。また、3月12日を国公労連「第2波全国統一行動日」に設定しています。すべての職場で組合員が最大限結集する職場集会を実施し、統一要求の最終回答にむけて政府・人事院あての職場決議を採択・送付しましょう。
 現在、全労連・国民春闘共闘に結集する民間労働組合でも生活改善できる賃上げを求めて交渉をはじめとするとりくみが展開されています。民間労働者の賃金相場を引き上げるためにも、ビクトリーマップや税制改革の提言などを活用した「格差と貧困をなくそう〜過剰な蓄財は社会(賃金・雇用・社会保障)に還元を」キャンペーンの展開、公務・民間共同の3・5中央行動への参加はもちろんのこと、集中回答日の翌日である3月12日に、春闘最大の山場のとりくみとして実施される50万人規模の「統一行動」へ結集することが求められています。
 「統一行動」に1人でも多くの組合員が参加できる工夫を凝らして、民間労組のスト支援・連帯の行動や地方労連などがとりくむ集会・デモなどに最大限参加していきましょう。



非常勤職員の均等待遇実現、公共サービスの拡充を
 統一要求とあわせて、「非常勤職員制度の抜本改善にむけた重点要求書」を提出しました。非常勤職員はいまや安定した行政運営に欠くことのできない存在です。しかしその処遇は、私たちの運動もあって一定改善をさせてきましたが、まだまだ不十分です。パートタイム・有期雇用労働法によって、民間大企業においてこの4月(中小は翌年4月)から同一企業内における正規労働者と非正規労働者の不合理な格差が禁止されます。国家公務の職場においても民間に遅れることなく、同様の措置が講じられなければなりません。
 また、更新にかかる公募要件の問題は公務の専門性維持を困難にするとともに、非常勤職員のみならず、職員全体に深刻な精神的負担をもたらしています。この公募について公務員制度の成績主義や平等取扱いの原則などを理由に硬直的に運用されていますが、非常勤職員の権利を侵害し、職場に多大な混乱をまねく公募はただちにやめるべきです。
 生活関連手当の支給や病休の有給化、年次有給休暇を採用時から取得可能とするなど非常勤職員の均等待遇実現と、更新にかかる公募要件の撤廃など雇用の安定にむけた追及を強めていきます。

3月5日は一斉に国会議員へ要請
 また、職場のいちばんの要求である「職場の増員・体制強化」にむけて、定員削減計画の撤回・廃止、大幅増員で行政需要に見合った体制確保をめざします。「公務・公共サービス拡充を求める請願署名」を職場内外で展開し、国公職場の実態と役割への理解をひろげるため、地元国会議員事務所へ直接訪問し、要請・懇談を行っていくことが求められています。
 3月5日には地元での国会議員との要請・懇談を背景に、永田町で一斉議員要請行動を展開します。すべてのブロック・県国公からの参加で行動を成功させましょう
 また、すべての職場から提出した、定員管理の抜本的見直しを求める「定員管理等に関する要求書」にもとづいて、各級機関で必要な要員・体制の確保について当局追及・上申闘争を強めていきます。
 


誰もが安心して働ける高齢期雇用の実現を
 定年延長の全体像が1月31日に示されました。その内容は人事院の意見の申出に沿うものであって、不十分な内容(※問題点等は国公労新聞2月10日第1537号を参照してください)です。
 役職定年制や給与水準を7割に引き下げること、多くの問題を抱えている現行再任用制度をベースとした定年前再任用短時間制度・暫定再任用制度、加齢困難職種への対応、定員問題など、各級機関で職場実態を踏まえた追及を強化します。
 2020年春闘も課題が山積みですが、春闘要求の実現には、組合員一人ひとりの春闘行動への参加が不可欠であり、行動を通じてなかまを増やすことも大切です。2020年春闘で組合員のみなさんに「ひとり一行動」を呼びかけます。



【全法務】すべての支部で春闘要求書提出に奮闘
当局交渉にこだわった2020春闘に


 【全法務発】すべての組合員が健康で働き続けられる職場をつくるためには、良好な労働条件や職場環境が必要となりますが、それらを実現するためには、組織の「力」を大きくすることが重要となります。
 そのため全法務本部としては、①すべての支部が全法務統一要求の提出を完遂して当局交渉を実施する、②全法務新聞や国公労新聞を職場の組合員の手元にきちん届ける、③支部役員が職場に出向いて組合員の「声」を直接聴く、こうした日常的な活動を全国の支部が統一して取り組んでいくことを提起してきました。
 とりわけ当局交渉は、組合員の労働条件や職場環境の改善、職場の様々な要求の実現に向けて、職場・組合員の切実な「声」を直接当局に伝えることができる場であり、あらためて、2月に開催した全法務の中央委員会で、全国の支部が「統一」して要求書を提出し、当局交渉に取り組むことを意思統一したところです。
 2020春闘期の2月12日〜14日に設定した「全国一斉要求書提出週間」では、3年連続ですべての法務局支部が当局に対し「2020年春闘全法務統一要求書」の提出を完遂しました。そのことを単組の機関紙にもきちんと掲載して全国の職場・組合員で共有し、組織の強化・拡大に向けた一歩にしていきたいと思います。


 
地元国会議員に要請
国家公務員を増やす必要性訴える


 【秋田県国公発】2月18日、夫婦で国会議員の寺田学衆院議員(前年度の紹介議員、立憲民主党)、寺田静参院議員(無所属)に要請を行いました。
 前週まで暖冬だったのが嘘のような吹雪の中、事務所を訪問した際には国会会期中のため両議員は不在でしたが、担当秘書に暖かく迎えていただきました。「公務・公共サービス拡充を求める要請書」を提出し、学議員には前年度同様に「請願署名」の紹介議員になっていただきたいこと、今年度初当選した静議員にも学議員同様に紹介議員になっていただきたいことを要請しました。
 行政ニーズの高まりに反して国家公務員が削減されている現状、非常勤職員の不安定で劣悪な労働条件の問題、労働行政や法務局、裁判所、国交省などの職場実態などを説明しました。
 【和歌山県国公発】和歌山県国公は、自民党の石田真敏衆院議員、二階俊博衆院議員、鶴保庸介参院議員、門博文衆院議員、世耕弘成参院議員、国民民主党の岸本周平衆院議員の地元事務所を訪問し要請を行いました。岸本議員の秘書は「3月5日の中央行動での面談を調整したい」との回答でした。



春の国公青年セミナー開催
春闘、組織拡大をみんなで考えた


 国公青年フォーラムは2月15日に東京都内で「春の国公青年セミナー2020」を開催し全国から27名が参加しました。
 本セミナーは春闘期にともに活動する仲間を増やす組織拡大をテーマとするとともに、公務労働者の賃金が決まる仕組みや、民間労働者とともに闘う春闘について、学習を深める機会としました。
 冒頭、国公青年フォーラムの森運営委員長が本セミナーの目的について触れて挨拶したのち、国公労連の西口書記が公務労働者の賃金や人事院勧告制度、民間春闘と公務労働者の賃金の関係などを講義しました。その後の質疑では、公務に関するものだけではなく、最低賃金等についても活発に質問されました。
 続いて、国公労連の浅野副委員長が青年の生活実感も踏まえて生活防衛や可処分所得の増加という面からみた国公共済会の活用について講義し、参加者のアンケートからも「わかりやすかった」という感想だけではなく「加入したい」という感想も寄せられました。
 最後は4グループに分かれてグループワーク「なぜ?どうして?組織拡大について考えてみよう」を実施。模造紙に問題点(Whyツリー)やその解決方法(Howツリー)を1つのテーマから次々と書き出し、現場で抱える問題点や解決策について活発に議論しました。
 今回の春の国公青年セミナーも青年が主体的に考え、活発に討論し、懇親会も含めて思いを自分の言葉で語る有意義なセミナーとなりました。次に開催予定の「夏の国公青年セミナー」ではさらに参加者を増やして青年が自ら交渉していく機会をつくっていきます。



 
第50回国公女性交流集会に多くの仲間を
女性協春の全国代表委員会ひらく


 国公労連女性協は、2月15日、都内で2020年女性協春の全国代表委員会を開催しました。7単組、3ブロック11県国公からオブザーバーを含め27名が集まりました。
 午前中は、全医労前園書記長を講師に、母性保護の学習を行いました。参加者から「プライベートなことまで知られたくないという意識から生理休暇を取らない人が増えている」との意見が出され、講師からは「月経期の過ごし方によって、妊娠や更年期等に影響が出るかもしれない。体を休めてほしい」とのお話があり、母性保護の学習の重要性を改めて共有しました。
 午後からは方針提案、討論を行い、2020年の春闘方針を確認しました。最後に、6月6~7日開催の第50回国公女性交流集会に多くの仲間と参加し、交流しようと呼びかけ、委員会を閉じました。