国公労連は、「新自由主義・コロナ禍を乗り越え、組織強化・拡大で民主的公務員制度確立、国民の命とくらし守る行財政・司法を実現しよう」をスローガンに、第66回定期大会を8月28日から2日間、東京都内の会場参加とオンライン参加の併用で開催しました。代議員59人(うちオンライン11人)をはじめ総勢138人(うちオンライン63人)が参加しユーチューブ配信も行いました。
大会では、2020年度運動方針案、秋季年末闘争法案案について九後書記長が提案。討論では31人が発言し(2~3面に掲載)、それぞれの職場・地域の実態を踏まえたとりくみの経験や教訓を語り、議案が補強されました。
討論を受け、九後書記長による総括答弁(3面に掲載)の後、採決が行われ、すべての議案を満場一致で可決・承認しました。
大会では、全労連の小畑雅子議長から来賓のあいさつを受けました。
役員選挙では、岡部勘市委員長と川村好伸副委員長が退任し、新たに委員長に九後健治氏、副委員長に中本邦彦氏、書記長に浅野龍一氏、書記次長に千葉美明氏、中央執行委員に大黒正夫氏を選出しました。
岡部委員長のあいさつ(要旨)
公務・公共サービス再構築のチャンス
コロナ禍のもと今大会はオンラインの併用を余儀なくされ、不手際もあるかと思いますがご協力をお願いします。
今年も、記録的な豪雨による大きな被害が広範囲で発生しました。被災された方々に心よりお見舞いを申し上げるとともに、一日も早い復旧・復興と生活再建に向けて、全力を尽くすことをまず確認しあいたいと思います。
新型コロナによるパンデミックは、世界と日本の政治や社会の脆弱さを曝け出しました。市場原理を最優先し、自己責任を押しつける弱肉強食の新自由主義がもたらした結果であり、生産や労働のあり方、富の再配分などの仕組みを根本から見直す必要性が明白となったと言えます。
今年度の定員査定では、時限定員などを含め8府省で純増、地方整備局では初の増員となるなど、明らかな「潮目の変化」をつくり出しています。80年代の臨調・行革以降、強行されてきた「官から民へ」「小さな政府」路線を転換し、ズタズタに切り刻まれた行政体制、公務・公共サービスを再構築するチャンスです。
また、非常勤職員の夏季休暇、赴任旅費の実費支給、新型感染症に係る特別措置など、要求からすれば不十分ながら着実に成果をあげていますが、非常勤職員の雇用の安定と均等・均衡待遇実現は待ったなしの課題です。
一方、人勧をめぐっては民間給与実態調査が9月末までの実施となり、不透明な状況ですが、この間の自然災害やコロナ禍のもとで、国民の生命や暮らしを守るために現場第一線を支えている国公労働者の労苦に報いる勧告こそが求められています。
一昨年10月をピークに景気後退に転じ、昨年の消費税増税が追い打ちをかけ、新型感染症の拡大によってかつてない落ち込みとなっている日本経済に、さらなるマイナス影響を及ぼす勧告は、社会政策上も許されません。
ポストコロナ社会を見据え、ICTを上手に活用しつつ工夫を凝らし人と人とのつながりを基軸とした、組合員参加型の運動スタイルを探求することが求められています。
恣意的な法解釈を後付けする検察庁法案の廃案、一律10万円給付や家賃支援、雇用調整助成金の上限引き上げ、医療機関への財政支援などが世論と運動によって実現しました。国際的にも人種差別や人権抑圧に対する抗議行動、気候変動を抑制し持続可能な地球をめざす運動が各地で発展しています。
こうした社会的な運動とも連帯・共同し、憲法が指し示す社会を実現する過程は、「全体の奉仕者」としての公務員労働者の誇りと働きがいを輝かせると確信します。
成績主義強化の人事評価と人事権で公務員を管理統制し、行政の私物化が極まる現政権のもとで、国公労連の存在意義を改めて確認しあい、その役割をいまこそ発揮しましょう。
コロナ禍で不安を抱える職員
いまこそ労働組合の出番
組織強化・拡大のとりくみでは、「30歳代の組合員が少なく組合員減少に歯止めがかからない。結集状況の格差も広がるなか統一要求書の提出、当局交渉の実施、機関紙の配布、支部役員が職場に出向き組合員の声を聞くなど基礎的活動を全支部でとりくむことを提起し実践してきた。要求書提出は2018年からすべての支部で完遂したが当局交渉はできていない。9月の定期大会で意思統一する。引き続き新規採用者の拡大をめざす」(全法務)、「コロナ禍における裁判・勤務体制、事務の効率化、IT化など課題は多い。労働組合の必要性を共有し組織拡大につなげたい。コロナ禍で新規採用者の拡大が進んでいないが全員加入の支部もある。鳥取支部はオンライン交流会を実施し新規採用者全員が参加。新規採用者から同期とも話す機会がなかったが交流でき良かったとの声が寄せられた。コロナ禍でも工夫すれば新規採用者に響くとりくみができる」(全司法)との発言がありました。
国民本位の行財政・司法確立にむけたとりくみ
国民本位の行財政・司法確立にむけたとりくみでは、「社保庁不当解雇撤回のたたかいでの10年間の支援に感謝。2010年1月に人事院に不服審査を請求。昨年秋に裁判闘争はすべて終結し今年2月に総括会議を開催した。年金記録問題を現場職員の責任にしたが、職員の責任ではないことが裁判闘争で明らかになった。解雇回避努力義務が社保庁長官にとどまらず厚労大臣にもあることを認めさせたことは大きな成果。年金記録問題を職場で堂々と話せるようになった。年金機構に全厚生の陣地を守ったことは今後のたたかいの展望を開くもの。たたかいの重みを受け止め、仲間の厚み、運動の広がりにつなげる」(全厚生)、「増員署名の支援に感謝。秋の臨時国会に提出予定で地元選出議員要請など奮闘する。秋年闘争から来年度の増員署名にとりくむ。定員査定で法務局の増員を実現。30年以上にわたって署名行動などで職場実態を訴えてきた成果。しかし当局は新規増員には力を入れるが削減計画撤回は困難であるとの姿勢。定削計画を根本から変えさせたい」(全法務)、「裁判所の人的・物的充実を求める署名への協力に感謝。引き続き来年の通常国会にむけとりくむ。この間の議員要請では59人の紹介議員で通算24回目の請願が採択された。国公署名と単組の増員署名の両輪で奮闘する」(全司法)、「コロナ対応の最前線で医療現場の仲間は大変な思いをしている。コロナを受け入れた病院では、クラスターが発生し、他の病気で入院している患者さんに転院をお願いするなど本来の病院機能が停止。コロナを受け入れていない病院も受診抑制などで経営が悪化。民間病院ではコロナを受け入れられないとの声が多く上がるなか国が責任をもちコロナ受け入れを国立病院が担う必要があるが運営費交付金は出ておらず職員も減らされている。コロナや大規模災害に対応できる国立病院機能の充実強化をはかりたい」(全医労)、「気象庁のホームページのウェブ広告に反対する国土交通労組のとりくみがマスコミにも注目された。日経新聞は『災害発生時にアクセスが増える。災害で金儲けをするのか』と指摘。マスコミに取り上げられ労働組合の見える化となった。公務員バッシングをはねかえし予算と人員の拡充をめざす」(国土交通労組)、「少年法適用年齢を18歳に引き下げる法案が来年の国会で狙われている。少年事件は減少している。事実を広げ適用年齢引き下げをストップさせる」(全司法)、「社保庁不当解雇撤回裁判・秋田事案について最高裁は昨年10月に上告不受理の不当決定。支える会として宣伝や裁判傍聴などにとりくんできた県国公として胸が張り裂ける思いだ。1月には激励集会を開催し10年間の総括と4名の原告と全厚生を激励した。方針案では労使関係での解決をめざす全厚生のたたかいを支援としているが、具体的にどうするのか」(秋田)、「議員要請にとりくみ自民党の議員が紹介議員になった。毎月の駅頭宣伝行動も実施している。公的病院の再編統合で兵庫県内では15病院が対象になった。全医労の兵庫中央病院なども対象になっており、県国公として統廃合阻止のとりくみをすすめる」(兵庫)などの発言がありました。
労働条件改善、国民的課題のとりくみ
労働条件改善をめざすとりくみでは、「労働行政の職場はコロナ対応で休日出勤を強いられたり、窓口対応では感染者が発生するなどリスクも高い。緊急時に行政が果たしている役割をアピールすることが重要だ。人事院に対するとりくみでは、コロナ禍で新たな危険手当を要求。国公労連としても対応をお願いしたい。非常勤職員の雇用不安も解消されていない。公募要件の撤廃、病気休暇の有給化が必要。当局追及と世論への働きかけが重要だ。コロナ禍の本省職場でいきなり自宅待機になり職場のつながりがなく不安を抱えていた新規採用者が組合説明会に参加し加入した。コロナ禍で不安を抱える職員に労働組合が打って出るチャンスだ」(全労働)、「隠れ残業の根絶にむけ公益通報者保護法の活用を求めたい。組織減少の要因として組合費の負担がある」(技能実習機構労組)、「人事院が官民格差のみで勧告するなか地域間格差拡大を解消する必要があるが、アベノミクスで大企業と首都圏に富が集中。地方の中小企業の経営は圧迫され最賃の引き上げを阻害し労働者全体の賃金水準が上がらない負のスパイラルが起こっている。中小企業支援の具体策が必要。社会保険料の企業負担を企業規模によって差をつけることを求めたい」(京都)、「国家公務員の初任給が最賃を下回る地域もあるなど初任給が低すぎる。国家公務員の初任給、若年層の賃上げ、コロナ禍で頑張っている職員に報いる賃上げが必要だ」(愛知)、「和歌山の最賃は830円で、大阪とは130円もの格差。労働者は流出しシャッター通りが増え老舗も閉店。早期に地域間格差を解消すべきだ。議員要請は毎年とりくみ、今年はすべての議員事務所に要請した。県国公への結集が弱くなっている。単組本部から県国公への結集を働きかけてほしい」(和歌山)、「辺野古新基地建設反対の民意は、県民投票や各種選挙で示されているが、政府は結果を尊重せず、基地建設を強行している。安倍首相が辞意を固めたとのことだが政治そのものを変えなければならない」(沖縄)、「厚労省は公的病院の再編統合を狙っている。東北の公的病院は医療過疎地で役割を発揮している。更にコロナ禍で医療機関は深刻だ。再編統合でなく公的病院拡充を求めていく」(東北)、「豪雨災害への支援に感謝。全国各地で被害が発生しているが、熊本は鉄道も道路も寸断、コロナ禍でボランティアも限られ人手は足りていない。今後の台風被害も心配される。各単組の状況も聞いているが職員の自宅なども被害にあっている。また非常勤職員の自宅が浸水しており宿舎入居を認めてほしい」(熊本)、「国立感染症研究所の予算は年間20億円。ほとんどが必要経費に消え研究は競争的資金でまかなわれている。これでは感染症に対応できないため体制の拡充を求めている。設立から10年が経過した年金機構の半分は非常勤職員。機構当局は無期転換ルールを認めるとしたが2年先の実施としている。直ちに実施するよう求めていく」(全厚生)、「国立ハンセン病資料館で18年、もう一人は3年働いてきた組合員を、受託者変更を口実に笹川保健財団が採用試験で不採用にしたことは不当労働行為であり、救済を求めて5月に都労委に申し立てた。支援をお願いしたい」(国公一般)、「移転料実費支給の要求が前進したが、いろいろな問題が出ている。3社見積もりが必要で総務担当の支給計算の業務量が増え残業が増加。移転料対象者と総務担当者のアンケートを実施。その結果をもとに当局交渉など産別でのとりくみ強化を求める」(全労働)、「非常勤職員の夏季休暇が今年から実施されるなど要求が前進したが、無期雇用への転換、定員化や諸手当の改善などまだまだ課題は多い。世論を変えるためにSNSの活用を積極的にとりくむべきだ」(国公一般)、「コロナ禍で県国公運動が困難な状況にあるが横のつながりは重要だ。国公労連の大会に女性代議員が増えない。非常勤職員の処遇改善に力を入れる上でも非常勤職員の参加を増やすことが必要。当事者の生の声は響く」(全司法)、「国税庁のコロナ対策で確定申告は1カ月延長となったが振替納税の延長幅が短く延納や予定納税は延長されず職員にしわ寄せが生まれている。全国税として、申告の延長や相談体制の確立、増員などを要求。職員の命と健康を守るために奮闘する」(全国税)、「北海道の八雲病院の機能移転で患者の移送は終了し8月31日に病院を閉院する。移転反対のたたかいで、国会や道議会に働きかけ患者の命を犠牲にする問題をシンポなども開催し告発した。国公労連、北海道国公の力強い支援に感謝。八雲病院の120床は筋ジストロフィー。患者は新しい病院に移送されたが、長時間移送のもと途中トイレもなくオムツをあてるなど、人としての尊厳をふみにじった。八雲町から異動できない職員もいる。雇用責任と新しい病院での医療充実を求めていく」(全医労)などの発言がありました。
総括答弁
討論では31名(うちブロック・県国公は10名)の発言と4通の文書発言がありました。新型コロナウィルスの感染拡大に伴いオンライン大会になったことや、事前に各ブロック・県国公からの活動報告を提出いただいたこともあって、例年に比べて少ない発言数でしたが、活動報告で寄せられた意見も含めて受け止め、今後の運動にいかしていきます。
なお、女性の参加者は執行部を含めて17人であり、昨年より人数・率ともに減少しています。見方を変えれば「オンライン参加だから女性が参加しやすい」ということはなく、男女共同参画の実現にはもっと根本的な部分を改善する必要があるのではないかという問題意識を持ってとりくむ必要があると思います。
コロナ禍でも工夫し組織拡大を
組織強化・拡大の課題について、新型コロナ禍により活動が困難な中でも、工夫したとりくみや原則的な活動が展開され、貴重な経験や到達点を築いたことが報告されました。新規採用者に対してオンラインでの懇親会に参加を呼びかけ拡大をはかっていることや、本省職場で組合説明会を開催し、総合職の新規採用4人を迎え入れたことが発言されましたが、それができた背景には人と人とのつながりが求められており、その手段としての対話が重要だということがあるのではないでしょうか。
今後は、加入してもらった後も組合員とのつながりを大切にした活動が重要になっています。
全支部での要求書提出を意思統一し実践しているという報告もありましたが、職場の声で練り上げた要求を重く受け止めていることの表れでもありますし、組合活動の「見える化」が進み労働組合の重要性を発信することによって、組合員からの信頼を勝ちとることにつながっているのではないでしょうか。
ヨコのつながりいかす県国公の役割
この間の自然災害対応では県国公として各単組・職場の情報収集を行ったとの発言もありましたが、ヨコのつながりをいかした県国公ならではの役割発揮だと思います。
討論を通じて明らかになったのは職場や組合員数など組織の置かれている状況に違いはあれど、リアルな人間がつながりを大切にしながら頑張っていることをきちんと見せることが「重さ、広がり、厚み」をつくっていくのではないでしょうか。なお、SNS等の活用を図ることも必要ですが、その際には、①目的、②対象、③獲得目標をはっきりさせた上で進めることが必要です。
組合費の高さが労働組合への加入を妨げているのではないかという意見もありましたが、「活動できない(してない)から組合費を下げる」のではなく「これだけの組合費をもらっているのだからそれに見合った活動をしよう」という考え方が大切だということを強調したと思います。
職場と世論を変え国民本位の行財
国民本位の行財政・司法確立をめざすとりくみでは、全司法からコロナ禍の下でも議員要請を行い増員署名の国会請願採択を勝ちとったという報告があり、国土交通からは気象庁ホームページへの広告掲載問題で声明を発表しマスコミ各社が取り上げたこと、県国公段階でも地元国会議員要請にとりくまれたことなどが紹介されましたが、それらのとりくみが組合員に勇気と確信を与え、そうしたことの積み重ねが職場と世論を変えていくということにつながっていくことに確信を持ちたいと思います。
相次ぐ自然災害や新型コロナ禍、押しつけられる定員削減と新規業務、増えない予算という厳しい状況はありますが、多くの仲間が全体の奉仕者として職務にあたっています。しかし一方で、行政の私物化などにより自分たちの仕事に自信が持てない仲間、窓口でのクレーム対応などにより心も身体も傷つきながら仕事をしている仲間もたくさんいます。新聞では「早く辞めたい」と思っている公務員も多いことも報道されました。
国民本位の行財政・司法実現をめざすたたかいは私たち国公労働者の誇りと働きがいを勝ちとるたたかいだと位置づけ、お互い力を尽くすことを呼びかけます。
労苦に報いる賃金・労働条件の改善
賃金について、地域からの運動や県労連などと共同したとりくみの重要性が発言されました。地域間格差の解消や賃金の底上げは私たちの強い要求でもあり、それを実現することは疲弊した日本経済を立て直すためにも重要です。これまでもビクトリーマップを活用した宣伝行動などを展開してきましたが、引き続き春闘に結集することや地域の民間労働者と連携していくことが重要です。
秋に想定される人事院勧告に対するとりくでは初任給やベテラン層の賃金水準引き上げについても追及を強めます。コロナ禍を理由にした公務員賃金引き下げの議論もありますが、自分の危険を顧みず困難な中でも奮闘している公務員労働者の労苦に報いる労働条件は保障されて当たり前であり、科学的根拠に基づかない勧告を許さないことが重要です。
総定員法があることで非常勤職員が増加していますが、非常勤職員なくして業務が回らないのは政府や各省当局も認識しています。しかし、一方で予算上の制約を理由に処遇改善は不十分なままです。
期間業務職員の雇い止め問題では内閣人事局と人事院がお互いの責任をなすりつけ合い、財務省当局は知らんふりを決め込んでいるというのが実態です。
非常勤職員も国民から見れば一人の公務員であり、処遇改善や雇用の安定を含め誇りとやりがいを勝ちとることが必要です。そのためには非常勤職員を組合に迎え入れる、非常勤組合員みずからが足を踏み出すことも重要です。
社会保険庁の裁判闘争の結果は残念でしたが、私たちの主張が正しかったことが明らかになりました。今後このような無法を許さないため、あるいは分限免職された仲間の名誉を回復するために労働組合を強く大きくしていく必要があるし、全体で支えていく必要があります。
コロナ禍のピンチをチャンスに
国民的課題ではコロナ禍の下で医療体制を充実することについても発言がありましたし、国立八雲病院や六甲病院をめぐるたたかいの報告もありました。国の責任を果たさせるという点では、国民本位の行財政・司法確立のとりくみとあわせて進めていくことが求められています。
米軍基地問題について、基地があることによって生活や経済が脅かされていることは明らかです。沖縄支援行動の内容は今後議論していきますが、工夫もしながら具体化していくこととします。
新型コロナ禍などもあって、労働組合にとって順調に物事が進んでいくという状況ではないことからこそピンチをチャンスに変えることが求められます。「誰かがやらねばならないなら自分がやる」という立場で奮闘し、「二つの責任、一つの任務」を果たすための意思統一ができたことを確認し、総括答弁とします。
青年フォーラム活動報告
各地の青年運動の活性化を
国公青年フォーラムは、昨年10月に福島県いわき市で国公青年交流集会2019を開催しました。各組織から多くの参加者を送り出していただいたことに改めてお礼を申し上げます。約120名の青年が「自然災害と公務」をテーマに、学習、レク企画、交流会をとおし公務・公共サービスの重要性や拡充の必要性、労働組合に結集することの大切さを学び、そして全国で公務を支える青年が多くいることを実感できました。
昨年12月に国公青年フォーラム2019年度総会、2020年2月には春の国公青年セミナー2020をそれぞれ開催しました。春の国公青年セミナー2020では公務の賃金決定のプロセスを学ぶことで、官民が春闘に結集する必要性を理解する機会としました。
夏の国公青年セミナー2020は新型コロナの影響により中止となりましたが、運営委員を中心に、内閣人事局・人事院・財務省交渉を実施し、新型コロナウイルス感染症に関した要求も加えて、現場の切実な状況を訴え、改善するよう追及しました。
国公青年フォーラムでは、地方の青年活動活性化を大きな課題としてとらえています。国公青年交流集会2021の開催にあたっては、集会後のとりくみも視野に、しっかりと交流集会の意義を果たせるとりくみにしたいと考えています。コロナ禍の状況においても、新しい可能性を模索しつつ国公青年フォーラムもブロック国公・県国公とともに、各地の青年運動の活性化をめざしとりくみます。
女性協活動報告
自らの要求は自らの手で
女性協は今年6月に新潟県湯沢町で、第50回国公女性交流集会の開催をめざして、実行委員会を立ち上げ準備をしてきました。しかし、新型コロナウイルス感染防止の観点から、1年の延期を余儀なくされました。これまで、女性交流集会は東日本大震災を経験した年も開催し、被災地に思いを寄せ、仲間と絆を深めてきました。また、その時々の情勢を学び、仲間との交流を通じて、共通の問題点が見え、改善要求の勇気がわき、気持ちが軽くなった、元気になったなどの感想が寄せられています。仲間に出会える交流集会は非常に有意義な活動になっています。延期した50周年記念の女性交流集会に寄せて、記念グッズを企画しました。物販も再開しますので、皆さんのご協力をお願いします。また実行委員の選出もお願いします。
女性協は今年度、人事院(3回)と内閣人事局に要求書提出、交渉を行いました。特に不妊治療のための通院休暇と費用助成や子の看護休暇の対象年齢引き上げと拡充、インフルエンザなどの学級閉鎖のための休暇の新設などを訴えています。できれば要求を抱える人が自ら交渉に参加して、組合活動の大原則「自らの要求は自らの手で」を実践することで、健康でいきいきと働き続けられるための職場環境づくりや組合のさらなる発展もあるかと思います。
財政方針
運動の具体化支える財政確立
2019年度一般会計については、効率執行に努めてきました。その結果、一般会計と特別会計において予算の範囲内での執行となりました。また、コロナ禍の下で活動自粛や中止が相次ぎ想定を超える繰越金となったことを報告しました。
2020年度予算については納入人員の減少に歯止めがかかっておらず、厳しい財政状況には変わりありません。しかし、会費の値上げは行わず据え置くこととし、運動方針の具体化を財政面から支えるため、一層徹底した支出内容の精査や、さらなる効率的な執行に努めることを提案しました。
以上の報告・提案に基づく予算等小委員会の報告を受け、決算報告・会計監査報告は拍手で、2020年度財政方針案等は満場一致で可決されました。
国公共済会
共済会の加入拡大を
大会に提案された国公共済会2019年度事業・活動報告および2020年度事業活動・方針案、役員体制案はいずれも満場一致で承認されました。
この1年間、全国の仲間に支払われた共済金の総額は約5億3千万円となり、国公共済会の「助け合い・支え合い」の役割が大いに発揮されました。また、剰余金は約3億2千万円となり、個人還元金の還元率は制度平均29.43%(昨年度17.49%)となりました。
加入拡大のとりくみにあたっては、共済活動を労働組合運動の柱として位置付け、各級機関の執行委員会が中心となって組織的にとりくみをすすめることを確認しました。2020年度は特に、青年層の加入拡大について、組織戦略をもってとりくみを強化します。また、来年に、国公共済会講師団を対象にした学習会を都内で、「国公共済会加入拡大学習・交流集会」を北海道ブロックで開催します。
なお、自動車共済業務は、本年11月中を目途に業務委託を解消し、国公共済会本部で直轄して運営します(詳細は後日お知らせします)。
コロナ禍だからこそ仲間の要求を大切に
2021年要求組織アンケート
国公労連は今年も「2021年要求組織アンケート」(5・6面に掲載、基本集約日11月6日、最終集約日11月27日)にとりくみます(10月が集中期間)。組合員をはじめ、職場の労働者の要求と意識を一体的に把握し、21春闘の要求確立や今後の組合運動に活用することを目的に実施します。また、本アンケートを組織拡大・強化のツールとして、全組合員からの集約と未加入者などへの対話をつうじ組織拡大をめざします。
コロナ禍で悪化する国民のくらし
9月8日に内閣府が発表した国内総生産(2020年4~6月期、季節調整済み)改定値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比7.9%減、年率換算では28.1%減となっています。これは、リーマン・ショック後の09年1~3月期、年率17.8%減を超える戦後最悪の下落幅で、個人消費も7.9%減となっており、比較可能な1980年以降で最大の下落幅です。
また、新型コロナウイルスの影響を受けた倒産(法的整理または事業停止、負債1000万円未満・個人事業者含む)が全国で500件に達する(帝国データバンク)など、国民のくらしに新型コロナウイルスが及ぼす影響は深刻です。
感染症の収束が見通せない状況下では、Go To キャンペーンなどでなく、医療機関や医療従事者への支援や、国民が安心できる保障などを政府が率先して行うべきです。
人事院勧告の見通しもたたず
私たち国公労働者の労働条件を左右する人事院勧告も、いつ出されるのかの見通しもたっていません。
新型コロナウイルス感染症や相次ぐ自然災害への対応で昼夜をわかたず奮闘している国公労働者の労苦に報いる勧告と、国家公務員の労働条件が770万人に影響することからも生活改善できる賃上げを求めていく必要があります。
今回のアンケートは人事院勧告が出ていない状況でのスタートです。新型コロナウイルスに関連する設問も新たにくわえており、現状の生活実感などを率直にご記入ください。
要求を出発点に賃上げを勝ちとろう
現行の制度下では、春闘で大幅賃上げなど、民間労働者の労働条件改善がなければ、私たちの労働条件改善につながりません。そうした意味では、官民の労働組合が共同して、21年春闘での要求や運動の前進を勝ちとる必要があります。その出発点として本アンケートにとりくみます。
アンケートをつかって、コロナ禍における職場環境や生活実態など、共通する不満や要求を聞き取り、職場のみんなで話し合い、要求にまとめあげ、その要求にもとづいて運動をすすめることが重要です。また、未加入者にも参加を呼びかけ、組織強化・拡大につなげていくことも重要です。そのことが2020年度運動方針で掲げた「重さ、広がり、厚み」を持った要求と運動、組織づくりにつながっていきます。2021年要求アンケートを旺盛にとりくんでいきましょう。