〈人事院が報告 月例給の改定なし〉
賃下げのサイクルを許さず、すべての労働者の大幅賃上げ実現を
 ~人事院「職員の給与に関する報告」にあたっての声明

【私たちの主張:私たちの主張】2020-10-28
2020年10月28日
国公労連中央闘争委員会

 人事院は本日、国会と内閣に対して、「職員の給与に関する報告」を提出した。給与改定については、新型コロナウイルス感染症の影響により実施が遅れていた月例給の民間給与実態調査の結果、国家公務員給与が民間給与をわずかに上回っているが、官民較差が小さく(△164円、△0.04%)俸給表及び諸手当の適切な改定を行うことが困難であることから、俸給表の改定を見送った。
 
 国公労連は、①慢性的な人員不足にコロナ関連業務が負荷されいっそう厳しさを増す中で、感染の不安を覚えながらも、国民の生命やくらしを守るために現場第一線で働いている職員の労苦に報いる賃金改善が求められていること、②コロナ禍で落ち込んでいる日本経済を回復させるためには、経済の内需主導型への転換が求められており、最賃と同じく社会的影響力を持つ公務員賃金を引き下げることは社会政策上も許されないことなどの情勢に適応した政策判断を行うならば、公務員の賃金引上げは当然だと主張してきた。こうした私たちの要求からすれば、今回の報告は極めて不満である。その一方で、ごくわずかとはいえ公務が民間を上回っている較差分(△0.04%)を俸給表の改定に直接反映させなかったことは私たちのたたかいの成果である。

 今回の報告に先立ち人事院は10月7日、一時金の官民較差が0.04月となっていることから、特別給を改定最小単位の0.05月引き下げる勧告を行った。国公労連は、特別給を支給月数で民間と一致させるにしても、その前提として特別給の算定に用いられる基礎給与が官民で均衡していなければならず、特別給のみ先行して勧告することは問題であることを指摘してきた。これらの点も踏まえ人事院は、特別給について月例給と同時に改定見送りの判断ができなかったのか、情勢適応の原則に基づく給与改定の判断の合一性・整合性に対し疑問を抱かざるを得ない。

 今後のたたかいは、政府との交渉へと移る。国公労連は、特別給の引き下げ阻止、実効ある長時間労働規制、安心して働ける定年延長の実現などを求めたたかいを強化していく。また、手当や休暇など正社員と非正規社員の不合理な格差が断罪された郵政労働契約法20条裁判の最高裁判決を踏まえ、非常勤職員・再任用職員の均等・均衡待遇、格差是正の要求実現に力を入れていく。

 2020春闘は、コロナ禍であらゆる経済指標が下落し、未曾有の消費不況に陥っているなかで、春闘相場の落ち込みに歯止めをかけた。国民春闘共闘委員会・全労連に結集する民間労組をはじめ民間労働者の奮闘に敬意を表する。2021年春闘では、マイナス勧告の影響による賃下げのサイクルを断ち切り、「コロナ禍だからこそ賃金大幅引き上げ・底上げで、誰もが人間らしく暮らせる社会をつくる」ため、官民共同のたたかいに全力をあげる決意である。

 この間のたたかいに奮闘された全国の仲間のみなさんに心からの敬意を表するとともに、引き続くたたかいへの結集を呼びかける。