国公労新聞2020年12月25日号 第1556号

【データ・資料:国公労新聞】2020-12-25
コロナ禍だからこそ賃上げを
第155回拡大中央委員会


 国公労連は12月19日、第155回拡大中央委員会を東京都内にてオンライン併用で開催し、中央委員22人、特別中央委員45人が出席しました。拡大中央委員会では1、すべての労働者の賃金引き上げと雇用の確保、2、国民本位の行財政・司法の確立、3、憲法を守り、国民本位の政治への転換、4、職場で働くすべての仲間を視野に入れた組織拡大・強化の4つの柱を基本とする春闘方針案を議論し、「2021年春闘方針」と「2020年秋季年末闘争のとりくみの経過と到達点」を全員一致で決定しました。来賓として、全労連の小畑雅子議長から激励あいさつを受けました。
 冒頭、あいさつに立った九後委員長は、「新型コロナ感染拡大により、仕事や生活に関わるさまざまな場面で制約を受けている。年明けもこうした状況が続くことが想定されるが、だからといって『21春闘は何もできないけどしかたない』ではいかない。財界は春闘にむけた経労委報告(案)で『一律ベースアップ困難』を打ち出しているが、昨年の消費税増税とそれに追い打ちをかける新型コロナ禍により、貧困と格差の広がりがいっそう深刻になっている。いま、本当に必要なのは最低賃金の引き上げをはじめ『8時間働けばまともに暮らせる賃金』の実現やコロナ禍を口実にした首切りや雇い止めを許さない働くルールづくりと労働条件の切り下げをさせないこと。私たち国公労働者が広範な国民と手をつなぎ、労働者が大切にされる社会や国民本位の行財政・司法確立にむけて職場・地域から奮闘できる条件は広がっている」と述べました。
 また、九後委員長は、「21春闘を職場・地域からたたかう上で、運動を支える組織強化も重要。コロナ禍による困難な状況の中でも、組合員の要求実現にむけ奮闘し、成果を勝ちとってきた。コロナ禍に対応する各種措置の実現や、月例給引き下げをさせなかったなど、私たちの運動に確信を持って、とりくみや成果の『見える化』を進め、職場段階での対話で『ひとり一行動』を実践していくことが組織拡大につながる」と強調し21春闘を大いに奮闘しようと呼びかけました。続いて、浅野書記長が2021春闘方針を提案しました。
 討論では会場10人、オンライン4人からの発言がありました。

討 論
 「体制拡充の国会請願署名を臨時国会で取り組んだ。他の労働組合と共同して取り組み、前年の倍を集約した。他の労組と共に参議院国土交通委員会の委員長との懇談も実現。一定の成果を出すことができたが請願は審査未了となった」(国土交通労組)、「増員国会請願書名を臨時国会に提出し、12月4日に衆参で採択された。全法務は30年間増員署名を運動の柱に据えてきた。法務局ではここ数年一定の増員となっている。コロナ禍だからこそ、安心して働ける職場に。公務公共サービス拡充の署名を世論に大きく問い、衆参の委員会でも各委員から声を出させることが必要。新採全員加入にむけ拡大にも努力する」(全法務)、「雇調金の事務処理を『申請から2週間で支給』と言われ、職員の努力によりほぼ達成している。全労働の請願署名が16年ぶりに衆参で請願採択された。ハローワークや労基には人があふれ感染防止対策も重要。危険手当の要求をしたが、人勧には全く触れられなかった。産別からも声を上げ追及強化を」(全労働)、「静岡県は新幹線が東西に通っており、人事異動も新幹線が基本となっている。人事院との交渉でも通勤手当持ち出しを追求した」(静岡県国公)、「職場で再任用が第一線で活躍されている。現在の処遇は労苦に報いるものではない。民間では、高年法が来年施行になり希望者全員を65歳から70歳に引き上げる。安心して働くためには定年延長を含めた取り組みの強化が必要。非常勤の公募廃止についても求めていく」(全労働)、「職場はテレワークを強く求められており、労働組合の集会、会合が制限されている。密にならないように日を分けての開催、集会ができない支部は機関紙の発行を多くする、掲示板の活用などを行っている。要求書なども掲示し活動を明らかにしている。今年は支部の大会を総会制で行ない、委任状も可としたが委任状なしの総会ができたところが多い」(全通信)、「『ブラック霞が関』と言われているが、今年採用され青年に話をする機会があった。国会に提出する法案にかかわっているが、周りが帰る雰囲気がないので帰りづらい。新人でも150時間の残業自分はましと感じている。国公一般に入るように勧めている。ハンセン病資料館の解雇事件も取り組んでいる協力を」(国公一般)、「機構独自が採用した契約職員の処遇の改善などに取り組んでおり、無期転換も勝ち取った。職場では指導件数のみ追及する管理者もおり、体調が悪くても勤務しなければいけない状況。組合員の声を吸い上げ、組合加入につなげたい」(外国人技能実習機構労組)、「コロナで、国公労連が特別休暇を勝ち取ったことは大きい。一度出勤し帰らなければいけない時に特別休暇が認められないことや、介護施設でコロナにより施設利用ができない場合、自宅での介護が必要となる。こういった対応ができる制度にとの要望もある」(全司法)、「人勧が下がる中、最前線で働く職員の労苦に報いる賃金が必要と交渉続け、賃下げを撤回させた。また、特殊業務手当についても引き下げを撤回させた。コロナ禍の下で、クラスターなど発生し大変な状況になっている。職場の人員体制が縮小され労働強化が進んでいる。コロナ病棟では防護服などを着たまま数時間の勤務をしなければいけない。体制拡充に向け大運動として国立病院の機能強化を求める国会請願書名を取り組んでいる」(全医労)、「コロナの関係で大会を延期し集合形式から文書形式の大会で開催した。今後はビクトリーマップ運動などを展開し、春闘討論集会の開催も予定している。SNSの活用については、できるだけ多くの仲間が活用できるような取り組みをしたいと思う。SNSのコンクールなど検討してほしい」(青森県国公)、「地元議員事務所に訪問できなかったが、すべての地元国会議員に郵送で要請し、自民党の議員をはじめ2名の紹介議員を獲得した。河野大臣が霞が関の働き方でワークライフバランスが大事といっているが、定員削減政策を撤回しないのはおかしい」(山梨県国公)、「3月で東日本大震災が起こって10年。復興が進んでいるものの、まだまだ進んでいないこともある。宮城県国公では炊き出しで餅つきを行ない、コミュニティができるよう取り組んでいる」(宮城県国公)。




 
2021年春闘アピール(要旨)
2020年12月19日 国公労連第155回拡大中央委員会



 国公労連は本日、第155回拡大中央委員会を開催し、すべての労働者の賃金引き上げと雇用の確保、国民本位の行財政・司法の確立、憲法擁護と国民本位の政治への転換、職場で働くすべての仲間を視野に入れた組織拡大・強化を柱とする2021年春闘のたたかう方針を確立した。
 コロナ禍だからといって決して委縮することなく、組合員の創意工夫で「二つの責任と一つの任務」を果たすべく、「重さ、広がり、厚み」を持った要求と運動、組織づくりをめざして奮闘する決意を固めあった。
 コロナ禍は、ウイルスの猛威による災害ばかりでなく、新自由主義によって積み重なった社会の脆弱さが一挙にあふれ出た人災であるといえる。新型コロナウイルスの猛威のもとでたたかわれる2021年春闘は、新自由主義の転換をめざす国民的なたたかいの場でもある。
 労働者がおかれている状況も深刻である。この間、物価水準に賃金水準が追いつかず実質賃金は下がり、非正規雇用労働者は2000万人を超え、格差と貧困が拡大している。
 一方、大企業は経済の好不況にかかわらず内部留保を増やし続けている。コロナ禍だからこそ、労働者・国民の犠牲の上に利益を上げる大企業の社会的責任を果たさせることが重要である。
 国公労連は有額要求を高く掲げ、生活改善と景気回復をめざす国民春闘に職場・地域で結集し、全組合員参加で国公産別労働組合としての責務を果たすことを呼びかける。
 いま、行政体制拡充を求める職場の要求と地域住民の要求に一致点が見出されてきている。それら共通する要求を「見える化」するなかで、国民本位の行財政・司法の確立を春闘における官民共通の課題として追求し、各分野・各階層の人々と共鳴しあった運動をつうじて、要求実現のための「社会的条件」をつくり上げ、新自由主義を包囲し抑え込んでいくことを展望する。
 この間の悪政で日本社会は根底から壊れてきている。戦争する国づくりや労働者・国民を犠牲にした財界・大企業が栄える社会づくり、日本学術会議の任命拒否など人事権を振りかざした圧力、「モリカケ」問題をはじめとした行政や税金の私物化など、立憲主義・民主主義を破壊する政治がすすめられている。
 国公労働者にとって来年11月までに必ず実施される衆議院選挙の重要な意義と国公労連の重点要求課題を明らかにし、すべての組合員による学習と政治討議、権利行使を呼びかける。
 職場で働くすべての仲間の切実な要求を前進させるためには、労働組合の役割発揮と組織拡大・強化が重要である。職場内の組合員はもとより、すべての職場労働者との対話を推進し、組合員を拡大しよう。「一緒に学び・一緒にたたかおう」「ひとり一行動」を合言葉に全組合員の組合活動への参加を呼びかけ、職場における労働運動の「見える化」をすすめ、来る第67回定期大会を増勢でむかえよう。
 わたしたちのたたかいが、国民のいのち・くらしを守り、誰もが尊重される平和な社会の実現につながることを展望し、2021年春闘を意気高く大いに奮闘しよう。



 
独法労組 代表者会議ひらく
スト権確立等の意義を議論



 11月23日、国公労連・独立行政法人等対策委員会は、「独立行政法人等労働組合代表者会議」をオンラインで開催し、15労組21人が参加しました。会議では、要求実現にむけた方策として、スト権の確立や国準拠の賃金・労働条件等の脱却、各組織の労働条件や職場実態などについて意見交換し、今後のたたかいを前進させるため交流しました。
 冒頭、中本副委員長が開会あいさつを行い「だれもが8時間働けば人間らしく暮らせる社会の確立を呼びかけながら、21春闘を官民一体でとりくんでいく。非正規労働者の処遇改善について、均等待遇の点検を行うとともに要求化して勝ちとっていこう。そのとりくみを通じて労働組合の組織化をはかろう」と呼びかけました。
 つづいて、「スト権確立等の意義と均等待遇実現に向けたたたかい」と題して、郵政産業ユニオンの日巻委員長から講演を受けました。講演では「スト確立にあたり、組合員との対話を重視し、時間をかけながらすすめてきた。スト権の行使に当たり、業務を止めるだけがストではないなど様々な意見があり、組合員との対話が重要で信頼関係をつくることが大事である」と述べました。講演を受け「ストを行うのは、業務を後回しにし、後で苦しくなるので難しいところもある。それでも訴えたいことがあり、組合員との対話が重要になってくる」「郵政労契法20条裁判の結果が非正規職員の労働条件改善のチャンスになっている。組合員と対話しながら、要求実現にむけ運動を盛り上げていきたい」と感想がありました。
 その後、中岡独法対策委員が「情勢と基調報告」を行い、それぞれの職場実態など報告がありました。全医労からは、国立病院機構との交渉で賃金の引き下げ提案を阻止したことが報告されました。このほか、国土交通労組からは、オンライン会議を行い、中期計画の策定に関する当局に対する意思統一や独自に運営費交付金拡充の請願署名のとりくみを実施し、約57,000筆を集約したなど各組織から報告がありました。
 最後に笠松独法対策委員長がまとめのあいさつを行い、講演や各組織のとりくみを共有し、今後の運動に反映させるよう呼びかけ会議を終えました。