国公労連は月額2万円の賃上げ要求をはじめ、非常勤職員の安定雇用と均等待遇の実現、定員削減計画中止・撤回、定年延長実現・再任用制度の抜本改善、感染防止対策強化をはじめ誰もが安心して働ける職場環境整備、民主的な公務員制度の確立などをめざして、「21年春闘統一要求書」「非常勤職員制度の抜本改善にむけた重点要求書」「定員管理等に関する要求書」「国家公務員制度等に関する要求書」を政府・人事院(2月19日)に提出し、交渉をスタートさせました。
2021年春闘はコロナ禍でたたかわれます。新型コロナウイルス感染症の拡大が経済や労働者の雇用に深刻な影響を及ぼし、ベア要求を見送る労働組合も少なくないなか、労働者のくらしや雇用をまもり、改善させる労働組合の真価が問われています。
大企業が内部留保を460兆円まで積み上げ、株主への配当も高止まりしています(2019年)。また、コロナ禍にもかかわらず、日経平均株価が30年半ぶりに3万円を超え、富裕層(大株主)の金融資産はいっそう膨れ上がっています。一方、国民は、相次ぐ社会保障改悪や消費税増税などでの生活悪化にくわえ、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で雇用が失われる、または、大幅な収入減などで、大変厳しい状況におかれています。国公労働者も「生活が苦しい」とする組合員が約半数(昨秋、要求アンケート結果)となっています。これはこの間、賃上げを勝ちとってきているものの、生活改善に結びついていない、コロナ禍での奮闘に相反して、昨年の人勧で一時金が削減されたことが結果にあらわれています。
賃金をめぐっては、若年層、とりわけ初任給水準の低さと地域手当だけでも20%におよぶ地域間格差が問題になっています。国公初任給と民間初任給の格差は拡大しており、人材確保や良質で安定した公務・公共サービスを提供する点でも初任給の水準を抜本改善が必要です。他方、地域間格差の是正・解消は国公職場だけの問題でなく、地方自治体や民間でも大きな課題となっています。全労連が実施した生計費調査の結果を見ても早急な是正が必要であり、地域間格差を制度的に固定・拡大している公務員の給与制度と最低賃金制度の抜本改善を求めていく必要があります。
こうした実態を改善するためにも、21年春闘に結集し、労働組合が連帯して民間労働者・労働組合で大幅賃上げを勝ちとり、夏の人事院勧告へつなげていくことが重要です。
コロナ禍のなかですが、工夫を凝らしながら、官民共同のとりくみをいっそうすすめるとともに「ひとり一行動」を全組合員で実践するなど、生活改善にむけて奮闘していきましょう。
ひとり一行動を合言葉に職場・地域からの奮闘を
職場段階からのとりくみとしては、要求の切実性・正当性、悪化する生活、きびしい職場実態などを率直に訴えるとともに、3月5日までに上申を勝ちとるなど、各級機関での交渉を強化していきましょう。
3月5日には春闘節目の中央行動が配置されています。新型コロナウイルス感染症の影響で、全国各地からの結集は難しい状況にありますが、集会のオンライン配信も予定されています。職場・地域から集会の模様を視聴するなど、中央行動への参加を呼びかけます。
また、3月11日を国公労連の「第2波全国統一行動日」に設定しています。すべての職場で組合員が最大限結集する職場集会を実施し、統一要求の最終回答にむけて政府・人事院あての職場決議を採択・送付しましょう。その日は、全労連・国民春闘共闘の春闘最大のヤマ場の行動である「統一行動」も展開されます。1人でも多くの組合員が参加できる工夫を凝らして、民間労組のスト支援・連帯の行動や地方労連などがとりくむ集会・デモなどに最大限参加していきましょう。
非常勤職員の均等待遇実現をいますぐに
この4月からパートタイム・有期雇用労働法によって、すべての民間企業で同一企業内における正規労働者と非正規労働者の不合理な格差が禁止されます。国家公務の職場においても民間に遅れることなく、同様の措置が講じられなければなりません。とりわけ要求の強い、病休の有給化は早期に実現すること、この春闘で生活関連手当等の支給についても道筋をつけるべきです。
また、職場を苦しめている一番の制度は更新にかかる公募要件です。コロナ禍のなかで非常勤職員は良質で安定した公務・公共サービスを提供するにあたって大きな役割を果たしています。非常勤職員をコロナ禍に路頭に迷わす、培ってきた経験やノウハウを無駄にするような制度は即刻廃止すべきです。
職場の最大の要求である「増員・体制強化」にむけて、定員削減計画の中止・撤回、大幅増員で行政需要に見合った体制確保をめざします。これまでのとりくみで恒久的定員の増を42年ぶりに勝ちとりましたが、それぞれの職場までは行き届いていません。ひきつづき、「公務・公共サービス拡充を求める請願署名」を職場内外で展開し、国公職場の実態と役割への理解をひろげるため、地元国会議員事務所へ直接訪問し、要請・懇談を行っていくことが大変重要です。
3月5日は地元国会議員事務所への一斉要請・懇談を実施し、その行動を背景に、4月16日には、永田町で一斉議員要請行動を展開します。すべてのブロック・県国公からの参加で行動を成功させましょう。
また、すべての職場から提出した「定員管理等に関する要求書」にもとづいて、各級機関で必要な要員・体制の確保について当局追及・上申闘争を強めていきます。
21年春闘は様々な要求課題にくわえ、新型コロナウイルス感染症の状況もありますが、要求の実現には、組合員一人ひとりが春闘に参加することが不可欠であり、行動を通じてなかまを増やすことも大切です。21年春闘で「ひとり一行動」をすべての組合員が一緒になって実践していきましょう。
強力な権限持つデジタル庁
オンラインで問題点を告発
政府が今国会での成立を急ぐ「デジタル改革関連法案」について、「わたしの仕事8時間プロジェクト」(全労連などがつくる雇用共同アクションのSNSチーム)が2月13日、オンライン学習会を配信しました(左のQRコードから視聴ください)。講師の大住広太弁護士(自由法曹団事務局次長)は法案の要旨を次のように指摘しました。
9月1日に発足するとなっているデジタル庁法案は、首相をトップとする内閣直属組織で、他省庁への勧告権など強力な権限を持ちます。国が行う情報システムの整備・管理事業の統括監理、予算の一括計上を行い、地方共通のデジタル基盤の整備、マイナンバー、データ利活用などの業務も強力に推進するとしています。
発足時の人員約500人のうち100人以上を、企業からの在籍出向者を含めた民間出身者とし、事務方トップの「デジタル監」にも民間出身者が就任すると想定されています。利害関係を有すると疑われる民間企業の関係者が、他省庁を指揮・監督することが可能になってしまいます。
59本もの法改正案を詰め込んだデジタル社会形成関係整備法案にはデータを利活用しやすくするため個人情報保護制度を後退させる内容も含まれています。
いままで別々に管理されていた個人データが統合されることによって個人情報の漏えいや不正利用の危険性が増すだけではなく、例えば捜査機関がより容易に大量の情報を得ることが可能になります。共謀罪の新設などでこれまで着々と作り上げてきた国による監視社会の強化にもつながります。
現在進められている行政のデジタル化は、公務を担う人員体制の拡充など行政サービスの質の向上に不可欠な課題から目をそらすとともに、個人情報保護制度を後退させるものと言わざるを得ません。
春の国公青年セミナーひらく
オンラインの利点も生かし組織強化を
国公青年フォーラムは2月11日に春の国公青年セミナー2021を開催し、全国各地の青年ら合計48名が参加しました。今回のセミナーは首都圏などが緊急事態宣言の発令にのため完全オンラインでの開催となりました。結果としてオンライン開催の利点も生かしながら昨年の春の国公青年セミナーを超える人数の青年が参加しました。
冒頭、森運営委員長が全体講義の年金や定年延長について青年にも関係する課題であること、グループワークでは、コロナ禍の下で今後のとりくみについて考える機会としてほしいと挨拶しました。引き続いて全厚生労働組合の盛田潔中央執行委員長による「年金制度について」と国公労連の笠松鉄兵書記次長による「定年延長と私たちの賃金」の2つの講義が行われ、青年にとってはまだ先に感じる課題でも無関係ではないことや現在の制度の問題点について学びました。参加者からの感想でも「今後の年金制度の仕組みがどうあるべきか、国民の一人として関心を持っていこうと考える良い機会となった」「私たち労働組合員が意見や考えを要求にし、世論を作っていくことが大切なんだと感じた」といった前向きな感想が寄せられました。
引き続いて「組合活動のBCP(業務継続計画)をみんなで作ろう」をテーマに7つのグループに分かれてグループワークを行いました。それぞれのグループではコロナ禍における組合活動を振り返り、「同じような状況になっても組合活動を続けるためにはどうするか」「この春から何ができるか」を話し合いました。「オンラインという選択肢が増えたと前向きに捉え、組織強化につなげたい」との声も寄せられました。
国公青年フォーラムでは今回の学習を通じてできたつながりを大切にし、交渉をはじめ夏の国公青年セミナーや12月の青年交流集会につなげるよう提起しています。多くの青年の参加を呼びかけます。
女性協 春の全国代表委員会
職場カフェ、オンラインでつながる
国公労連女性協は、2月13日、都内で2021年春の全国代表委員会をオンラインで開催しました。8単組、2ブロック5県国公からオブザーバーを含め23名が参加しました。
執行部より女性協作成の「人生いろいろリーフ」や「母性保護学習リーフ」などを活用した学習や対話、6月5日開催する「第50回国公女性交流集会」をオンラインで開催する等の方針提案の、各組織のとりくみや職場実態などの討論を行い、2021年の春闘方針を確認しました。
討論では、多忙で母性保護制度が利用しにくくなっている。コロナ禍の下でも職場カフェを少人数だが月に2回開催し交流を行っている。女性協の「要求アンケート」をオンラインで実施したところ、年末年始で回答数が増えた。新入組合員にオンラインアンケートを行ない多くの回答があったなど、工夫したとりくみが報告されました。最後に、50回を迎える国公女性交流集会に多くのなかまの参加を呼びかけ終了しました。