賃金改善、超勤縮減、増員へ声あげよう
最賃下回る初任給
国家公務員の初任給は地域別最低賃金を下回るところがあるなど、地域手当によって生じている賃金の地域間格差は、国公労働者の生活や働きがいや、最低賃金とも相まって地域経済にも少なくない影響を与えています。公務員賃金は最低賃金をはじめすべての労働者の賃金水準の下支えができる存在でなければならず、賃金の地域間格差の解消が求められています。
非常勤職員の処遇改善
非常勤職員の処遇について、人事院「指針」や政府「申合せ」により、給与水準の引き上げ、通勤手当や一時金の支給などの改善は見られるものの、その運用上の問題や「予算の範囲内」という制約があり、十分な改善には至っていません。雇用の安定をめぐっても、職場実態を顧みない建前だけの回答に終始し、無期転換を含めた雇用の安定をはかる立場には立っていません。
パートタイム・有期雇用労働法により同一労働同一賃金の実現が社会的な要請となっています。また、最高裁は郵政労働契約法20条裁判で正社員と有期雇用社員との労働条件の不合理な格差を違法と断罪しています。民間では有期雇用労働者に無期転換権が保障されているなかで、公務員だけを対象外とする不誠実な国の姿勢は許されません。3年公募の廃止、無期転換制度の導入要求などとともに、病気休暇の有給化をはじめとする均等・均衡待遇、同一労働同一賃金の実現が待ったなしで求められています。
超過勤務の縮減
通常業務に加え、新型コロナウイルス対策をはじめとして政治主導で矢継ぎ早に打ち出される新規業務・新規施策などによって、職場体制は限界を超えています。2019年4月から超過勤務命令の上限規制等がスタートしていますが、超過勤務縮減に向けた具体的な方策が示されないなかで上限規制だけが先行しています。また、人事評価目標として数字ありきの超過勤務縮減が優先されていることなどによってサービス残業やかくれ残業が増加しており、抜本的な改善策が求められています。
定年延長
定年延長をめぐっては、国家公務員法「改正」法案が第203回臨時国会で廃案になったまま、国会に再提出の見通しが立っていません。定年延長に該当する職員は今後の生活設計が立てられず、職員の生活権を著しく侵害しています。広範な労働者と連帯して要求実現にむけたとりくみをすすめると同時に、再任用制度を含めた雇用と年金の確実な接続、処遇改善にむけたとりくみを強化する必要があります。
定員削減の中止
非常勤職員制度、行政需要への対応や長時間労働の是正、ハラスメント、定年引き上げと高齢期雇用、女性活躍とワーク・ライフ・バランスの推進、障がい者雇用などの問題の根底にあるのは定員問題に他なりません。政府は「既存業務の見直しに取り組みながら定員の再配置を推進する」「ワーク・ライフ・バランス定員などできる工夫を行っている」などとしていますが、現在の定員管理政策が破綻していることは明らかであり、総定員法の廃止や定員合理化計画の中止による定員確保が必要なことは明らかです。
公正で民主的な行政
今年も労働基本権の回復や人事評価制度の見直し、行政の公正・中立・透明性の確保などを求めて「国家公務員制度に関する要求書」を提出し、ILO勧告にもとづく交渉・協議の場を早急に設定するよう強く求めました。しかし政府は、再三再四にわたる要求に背をむけ、具体的な回答すらありません。森友・加計問題をはじめ、「桜を見る会」や総務省の接待問題など安倍・菅政権による行政と税金の私物化が極まるなか、真相の解明と公正で民主的な行政運営・公務員制度の確立こそが求められており、政府への追及を強めていく必要があります。
今年も労働基本権の回復や人事評価制度の見直し、行政の公正・中立・透明性の確保などを求めて「国家公務員制度に関する要求書」を提出し、ILO勧告にもとづく交渉・協議の場を早急に設定するよう強く求めました。しかし政府は、再三再四にわたる要求に背をむけ、具体的な回答すらありません。森友・加計問題をはじめ、「桜を見る会」や総務省の接待問題など安倍・菅政権による行政と税金の私物化が極まるなか、真相の解明と公正で民主的な行政運営・公務員制度の確立こそが求められており、政府への追及を強めていく必要があります。
春闘最終盤、人勧期へ奮闘を
春闘期での決着はかないませんでしたが、以上の状況等踏まえ国公労連は、ひきつづき公務・民間を問わず誰でも安心して働き続けられる社会の実現、憲法に保障された権利を守るための国民本位の行財政・司法の確立に必要な大幅増員、公務の公正・中立性を損なう「デジタル改革」反対、憲法9条「改正」をはじめとした「戦争する国づくり」を許さないためにたたかいをすすめていきます。
「ひとり一行動」のスローガンのもと、21春闘の諸行動に結集されてきた全国の仲間のみなさんに敬意を表するとともに、春闘最終盤までの奮闘と人事院勧告期へとつづくたたかいへの結集を呼びかけます。
4~6月は組織強化・拡大月間
1人残らず声をかけ仲間づくりを進めよう
4月は新規採用者をはじめ、人事異動などで多くの職員が新しい職場に着任します。国公労連は、3月を準備期間、4月から6月の3カ月間を組織強化・拡大月間として、仲間づくりをおおいにすすめようと呼びかけています。
現在、新型コロナウイルスの感染拡大が続いており、新規採用者の研修が昨年に続き従来の形では開催できないなど、イレギュラーな状況があります。この点は、昨年の教訓も踏まえて、対策をきちんと練り工夫したとりくみが必要です。コロナ禍の状況においても工夫したとりくみで一人残らず声をかけましょう。その際、国公労連が仲間づくりの資材として毎年作成している「Join us!」を声かけのツールとして活用しましょう。
そして、すべての新規採用者等の組合加入にむけて、各単組が準備しているさまざまな宣伝物(写真)を大いに活用し、仲間づくりにとりくみしょう。
また、4月には人事異動によって多くの仲間が新しい職場に転勤してきます。組合への継続加入を実現するためには、「送り出し職場の組合」と「迎え入れる職場の組合」の連携を取ることが大切です。「送り出し職場の組合」は、異動する仲間に転勤先での継続加入をきちんと働きかけましょう。「迎え入れる職場の組合」は、異動して来た仲間に「職場を良くするため、あなたの力が必要。引き続き組合へ」と一人残らず声をかけましょう。
労働行政におけるデジタル化の諸課題
全労働省労働組合
【全労働発】政府全体で行政のデジタル化が進められる中、厚労省も様々な分野でデジタル化(オンライン化)を進めています。以下、労働行政におけるいくつかの課題を取り上げながら、それぞれの課題とあるべき業務運営について述べたいと思います。
制度の趣旨ゆがめる電子申請の促進
電子申請を促進する動きは労働行政においても顕著です。厚労省の『行政手続コスト削減』のための基本計画では、①社会保険(労働保険)に関する手続き、②監督関係の届出・申請に関する手続きについて実施事項や目標などを定めています。
特に問題なのが、監督関係の届出・申請の電子申請化です。昨今、過重労働対策は監督行政において解決すべき重要な課題です。そのため、監督指導だけでなく、36協定届の適正化に係る窓口指導も重視しています。
一方、厚労省はこの36協定届について、電子申請化を進めようとしています。具体的に、「e―Gov(イーガブ)」(電子政府の総合窓口)からの申請を可能とし、21年4月から電子署名・電子証明書の添付を不要としています。さらに、電子申請に限って事業場ごとに労働者代表が異なっても、本社一括届出を可能(これまでは過半数組合を有する場合のみ可能)としました。
このように、行政施策を達成するために窓口指導を強化するとしながら、電子申請の利用率を上げることは矛盾そのものです。また、電子申請の利用率を上げるために本社一括届の要件を緩和することは、36協定制度の趣旨を歪めるものと言わざるを得ません。
画一的・形式的な押印原則の見直しは禍根残しかねない
行政手続のオンライン化に伴い、押印の見直しも進められています。政府の「規制改革実施計画」(20年7月閣議決定)では、法令又は慣行等によって国民や事業者に対して押印を求めている行政手続について、内閣府の規制改革推進会議が提示する基準に従って見直すことが決定されました。推進会議は押印の趣旨について、①本人確認(文書作成者の真正性担保)、②文書作成の真意確認、③文書内容の真正性担保(証拠としての担保価値)の3類型に分類した上で、いずれも代替手段が用意されているとして押印の見直しを求めました。その結果、押印の存続理由に本人確認や文書内容の真正性を持ち出すことが困難となり、各府省は押印見直しに向けた対応をとらざるを得なくなりました。
しかし、推進会議が提示した3類型とそれに対する分析は、専門家による十分な検討を行った経緯がなく、あまりに拙速です。本来であれば、書類や様式ごとに押印又は署名を求めている趣旨・目的・効果などを多角的に議論しなければならなかったはずであり、画一的・形式的な見直しは行政運営に大きな禍根を残しかねません。
オンライン職業紹介は対面業務の重要性損なう
政府は「デジタルガバメント実行計画」を策定(18年10月)し、厚労省も行政システム(ハローワークシステム)の更改を進めています。そこでは、オンラインによって求職登録や求人申込、そして職業紹介を行えるようにするとしています。
実際、公共職業安定所(ハローワーク)に行かずともこれらの手続きがオンライン上で可能になることは、一定の利便性の向上につながります。しかし、オンライン環境が整っていない求職者・求人者はこうした利便性を享受することができません。さらに、対面でこそ得られるものは非常に多く、ここではその点を明らかにします。
例えば、安定所では職業相談の中で職業経験や本人の長所等を把握し、求人者に対して求職者の能力に応じた労働条件の折衝などを行います。また、求職者に適合する求人が無ければ、求職者の能力に適合した求人開拓を行い、就職に結びつけることもあります。このように、安定所では求職者の申し出に基づいて求人を紹介するだけでなく、求職者に最も相応しい求人を紹介するよう努めており(=適格紹介の原則)、これは対面の職業相談を通じてのみ実現し得るものです。
以上述べてきたとおり、デジタル化(オンライン化)にはメリットとデメリットがあり、そのことを十分に踏まえた行政運営が求められます。とりわけ、オンライン環境が整っていない者が不便や不利益を被ってはなりません。あわせて、対面によって得られる情報や信頼性といったものも重視する必要があります。こうしたことから、労働行政におけるデジタル化の推進にあたっては、対面業務の必要性・重要性も十分に踏まえた施策の展開が必要と考えます。
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