国公労新聞2021年4月25日5月10日合併号(第1563号)

【データ・資料:国公労新聞】2021-04-25
一人ひとりの力を集めて人勧期要求の実現を
第156回拡大中央委員会

 国公労連は4月24日、第156回拡大中央委員会を東京都内にてオンライン併用で開催し、中央委員21人、特別中央委員46人が出席しました。拡大中央委員会では、国民本位の行財政・司法の確立、人事院勧告期・概算要求期闘争をはじめとする労働条件改善、組織強化・拡大のとりくみなどを柱とする夏季闘争方針案を議論し、「2021年夏季闘争方針」「概算要求期重点要求」「人勧期要求」「中間決算報告」などを全員一致で決定しました。来賓として、全労連の黒澤幸一事務局長から激励あいさつを受けました。
 冒頭、あいさつに立った九後委員長は、「4都府県で3回目の緊急事態宣言が出るなど新型コロナの感染拡大が猛威をふるっている。公務員を削減してきた結果、コロナ禍という緊急時に適切な対応がとれていないことに対する批判や、長時間過密労働が公務の職場にまん延している状況が問題視されるようになった。公務・公共サービスの拡充を求める国会請願署名の議員要請では4月16日の行動終了時点で17人が紹介議員を了承。さらに国公労連がとりくんでいる非常勤職員のオンライン署名をツイッターで見た立憲民主党副代表の原口一博衆院議員から懇談の申し入れがあり、民主党時代の公務員削減について反省の弁が述べられるなどの状況も生まれてきている。なお懇談はユーチューブで配信されている。これまで私たちは困難な状況の中でも創意工夫と努力を重ね一定の到達点を築いてきた。『やらなければ変わらない、やれば変えられる』――この思いは本日の拡大中央委員会に参加されているみなさんが持っている。しかしすべての組合員が実感できているわけではない。このこの夏季闘争、賃金や高齢期雇用、国民本位の行財政・司法確立、組織強化・拡大など数多くの課題があるが、一人ひとりの組合員が『やれば変えられる』と感じてもらえる運動を展開しよう」と呼びかけました。続いて、浅野書記長が2021夏季闘争方針を提案しました。
 討論では会場11人、オンライン10人から次の発言がありました。

討論〈要旨〉
 【全司法】
少年法改正法案が4月20日衆院可決、いま参院で審議中。原則検察官に送致する対象範囲の拡大(強盗、強制性交等も)、実名報道を解禁するなど少年の立ち直りを阻害するもので反対だ。凶悪犯罪は減ってきている。現行少年法は機能しており、改正を必要とする立法事実はない。院内集会や議員要請にとりくみ5年後の見直しという付則は付いた。仮に法案が成立しても家裁の役割を発信していきたい。
 4月の組織拡大では新規採用者が配属される部署についての質問に丁寧に答えるなどの対応を心がけ全員加入を実現した支部など成果があがっている。コロナ禍でも新人一人ひとりについてオンラインも活用して組合説明会を実施。組合が職場で果たしている役割や加入して良かったことなどを伝える動画も活用している。
 国公青年フォーラムは青年目線でのとりくみで重要な役割を果たしている。さらなる青年運動の活性化にむけて全司法も結集していく。

 【全厚生】年金のマクロ経済スライドによって賃金水準が下がれば物価が上がっても年金額が下げられている。コロナ禍に苦しむ国民を無視したもので、政府の冷酷さを象徴するもの。年金を頼りに生活している受給者の購買力を低下させ景気回復を遠のかせる。198兆円もの年金積立金は年金3年半分となっている。ため込んだり、株価操作に使うのではなく年金制度の拡充に使うべき。コロナ禍でも安心して生活できる社会保障拡充のため奮闘する。

 【全医労】コロナ禍で医療現場は大変な状況。入院できなくて亡くなられる方や一日半も救急車で過ごした方もいる。人員が増えていないのでコロナ病棟の応援にいくと今度は応援に出した病棟が大変になる。国立病院機構に対しても増員を要求していくが、国が責任をもって体制強化をはかるよう運動を強化している。国立病院の機能強化を求める署名で5月に国会議員要請を行う。署名への協力をお願いしたい。

 【福岡】コロナ禍で制約があるが宣伝行動は毎月実施している。3月15日に人事院交渉を実施。賃上げの重要性、休暇制度の拡充、通勤手当や赴任旅費、テレワークの問題点と運用改善などを要求。人事院から「公募をすればもっとスキルが高い人を得られる」という非常勤職員をまさに使い捨てにする発言があった。職場の怒りを全国で結集していくことが重要だ。デジタル庁創設は、国民監視を強め公務公共サービスをねじまげ、個人情報を危険にさらすもの。問題点を明らかにして、世論に訴えることが大切だ。

 【兵庫】地道に職場の中で機関紙を配布し、相談に乗り、対象者への声かけを行い、仲間が増えている。コロナ禍でも行動を起こせば変えられることを実感している。非常勤職員は雇い止めやハラスメントに苦しんでいる。非常勤職員の処遇改善のとりくみが重要だ。

 【山梨】公務公共サービス拡充署名で地元国会議員要請にとりくみ、野党共闘の立憲民主党議員が紹介議員となった。
 コロナ禍で困窮する大学生への食糧支援に県国公もとりくんでいる。このことが将来国家公務員になって行政を担う人を生むことにもつながっていくので奮闘したい。

 【全労働】職場でもコロナ感染が拡大。窓口の危険手当と併せて公務災害の認定を求めていく。移転料実費支給だが半年経過しても赴任旅費が支払われないという問題もあるなど財務省の対応が遅い。財務省交渉の配置が必要。非常勤職員の一時金を正規職員と同様に引き下げるという方針を厚労省が示したが、単年度任用の非常勤については不利益変更と言わざるを得ない。許さないとりくみを強めていきたい。
 4月の組織拡大にあたって、声かけ実演の動画を共有したり、オンラインで励ましあるなど粘り強くとりくんでいる。女性組合員の参画促進が課題。6月5日の国公女性交流集会に力を入れていきたい。

 【滋賀】公務公共サービス拡充の国会議員要請にとりくみ紹介議員が増え私たちの声が広がっていることを実感した。国公青年交流集会が滋賀県で行われることを踏まえ県国公としても成功させるために奮闘したい。

 【静岡】国会議員要請にとりくみ数人から紹介議員になるとの連絡。増員についても潮目が変わってきている。組織拡大では国公共済会のメリットを伝えて成果につながっている。

 【秋田】地域間格差の解消PT中間報告について議論した。県労連の生計費調査により、全国各地でさほど差はなく、おかしいという認識持つようになっている。全国一律最賃のとりくみとともに地域手当見直しを求めるなど地域間格差解消のために奮闘していく。

 【全法務】メンタル疾患などによる長期休職者が増加。現職死亡や自死も増えているため職員の健康安全のためのとりくみを強めている。21春闘でも健康安全対策委員会を開催しストレスチェック実施、ハラスメントの根絶、超勤の解消などに向けたとりくみをすすめている。
 組織拡大では青年層に総がかりのとりくみをすすめている。オンラインによるオルグも実施し全員参加型の活動スタイルを追求する。

 【国公一般】国立ハンセン病資料館のたたかい。2人に対する「不採用」は不当労働行為であるとして都労委に申立て、現在も調査が続いている。ご支援をお願いしたい。

 【国交労組】国交省の21年度定員は202人増と3年連続増。地方整備局では大きな増員を勝ち取った。しかし現場では増員されたとの実感がなく超勤が蔓延している。人が少ないことが超勤の主因だが予算執行のあり方も原因。公共事業予算は余すことなく使えとなるのを改めさせる必要がある。必要なところに必要な予算がつけられていないことが問題。行政の民主化のために奮闘する。

 【神奈川】神奈川も女性役員の参加がすくない。県国公・国公労連が何をやっているかを一般組合員に伝える工夫が必要だし、女性枠の参加割り当てをきちんとしていく必要がある。ぜひ国公労連の大会にはたくさんの女性代議員の参加組織を。

 【中部】高齢者雇用安定法の改正で民間では65歳までの雇用義務、70歳までの就業確保の努力義務がある。公務員についても同様の扱いが必要。再任用職員の処遇を改善し組織化にもつなげよう。

 【開建労】総理案件の事業にだけ予算が付き行政が歪められている。10年前に始まった沖縄振興一括交付金は毎年削減され国の言う事を聞く市町村には直接交付金を出すなど2年後の県知事選挙への政府のあからさまな締め付けが厳しくなっている。国民本位の政治に変えなければならない。



 
2021年 夏季闘争アピール


 国公労連は本日、第156回拡大中央委員会を開催し、2021年春闘の経過と到達点を確認するとともに、21年夏季闘争方針と重点要求を確立させ、たたかう決意を固めあった。
 21春闘は、コロナ禍により新自由主義の限界・破綻が明らかになる中で、その転換を目指すという大きな枠組みのなかでたたかわれた。コロナ禍が国民のいのちと暮らし、雇用を直撃する中で、労働組合が大きな防波堤の役割を発揮し、労働者の雇用と権利を守るために奮闘した。21春闘の回答状況は、総じて昨年よりも低水準にとどまっているが、ここ数年続いてきた賃上げの流れを維持していることは、社会的な賃金闘争の到達点といえる。コロナ禍の中で労働者の団結の力が、厳しい情勢を労働者・国民本位に動かしていることに確信を持ち、今夏のたたかいにつなげていこう。
 いよいよ人事院勧告期・概算要求期のたたかいがスタートする。最低賃金の引上げと初任給の改善、不合理な賃金の地域間格差の是正、通勤手当をはじめとした諸手当の改善、無期転換制度の導入など非常勤職員の均等・均衡待遇の実現、国公労連の要求を反映した定年延長制度の早期確立と再任用制度の改善、すべての職場での実効ある超過勤務削減とハラスメント撲滅、すべての課題の根本にある大幅な定員確保と定員管理政策の抜本的転換、個人情報の保護を前提とした行政サービス向上のためのデジタル改革、労働基本権の回復と公正で民主的な公務員制度の確立など、この時期に解決すべき国公労働者を取り巻く課題は多岐にわたる。これらの課題の解決は、公務員の全体の奉仕者としての役割発揮に寄与するとともに、国民に対する公務・公共サービスの向上につながるものである。過酷な労働環境を改善し、公務員として働く誇りと働きがいを取り戻そう。
 夏季闘争期の要求と運動は、1年間のたたかいの中で、職場・組合員に一番身近で目に見えるものである。切実な職場要求を実現するため、要求と、要求を実現するための運動と、運動の母体となる組織強化・拡大-この「要求・運動・組織」を三位一体でとりくみ、要求の前進を勝ちとろう。
 菅政権が発足してから半年が経過した。違憲・違法の日本学術会議への人事介入にあらわれた強権政治、コロナ対応の無為無策に象徴される政権担当能力への不信、総務省などの接待問題や河井夫妻の買収事件などにあらわれた底知れないモラル崩壊など、政治の劣化が止まらない。政治権力や商業主義の利権のために国民のいのちや暮らし、安全・安心が犠牲にされている。
 いま、新型コロナ対策の問題でも切実な現場や市民の声が政治を動かしている。市民の声が野党共闘を後押ししている。「政治は変えられる」―このことに確信を持ち、来る衆議院総選挙については、行政体制の拡充など国公労働者の諸要求前進のチャンスと位置づけ、第155回拡大中央委員会で決定した「2021年衆議院選挙闘争方針」にもとづき、各自の政党支持・思想信条の自由を尊重し、職場での積極的な議論を呼びかける。組合員の皆さん、一票の権利を必ず行使しよう。
 組織の強化・拡大は待ったなしの課題である。「全労連150万対話」の提起を積極的に受けとめ、すべての職場での対話を重視したとりくみを展開しよう。第67回定期大会を増勢で迎えるためにも、コロナ禍における労働組合の役割発揮が組織強化・拡大につながることに確信を持ち、全員参加型の活動を追求することやとりくみの成果が組合員に見えるようにすることなど、日常活動として組織強化・拡大をすすめよう。国公労連のスローガンである「二つの責任と一つの任務」を果たすにふさわしい「重さ、広がり、厚み」を持った要求と運動、組織づくりに挑戦していこう。
 今夏の要求実現と、国民のくらしと権利、平和と民主主義をまもり、誰もが安心して働き暮らせる社会の実現にむけ、21年夏季闘争を職場と地域から大いに奮闘しよう。

2021年4月24日
国公労連
第156回拡大中央委員会