国公労新聞2021年6月25日号 第1566号

【データ・資料:国公労新聞】2021-06-25
昨年を大きく上回った紹介議員
公務・公共サービス拡充への共感広がる


 国公労連は、公務の民営化・民間委託等をはじめ、新自由主義にもとづく「小さな政府」づくりからの政策転換を迫るとりくみとして、「いのち・くらしをまもる行政体制拡充運動」を提起し、その中心として単組の増員署名と両輪で「公務・公共サービスの拡充を求める請願署名」にとりくんできました。
 各県国公では、新型コロナウイルス感染の収束も見えないなかで、工夫を凝らしながら地元国会議員事務所への要請・懇談を精力的に行い、そうしたとりくみを背景にして4月16日にはブロック・県国公、単組の参加のもと、永田町の国会議員会館において「一斉要請行動」を実施し、107人の国会議員に要請を実施しました。また、「一斉要請行動」後にも単組本部の協力を得て、すべての国会議員に要請を行い、国家公務員が足りないなか頻発する自然災害や新型コロナウイルス感染症対策で、国民のいのちやくらし、権利をまもるために日々奮闘していることや、行政体制を補完し、増加する行政ニーズに対応する非常勤職員の雇用の安定実現などを訴えました。
 こうしたとりくみの結果、紹介議員は86人(昨年紹介議員74人、一昨年69人)にのぼり、昨年・一昨年を大きく上回る到達点となりました。署名は紹介議員をつうじ3万873筆を国会に提出しました。請願は衆参両院とも「審議未了」で不採択となりましたが、増員をはじめとする行政体制の拡充への理解は確実に広がっています。
 今回のとりくみの中で少なくない与党議員が「紹介議員にはなれないがみなさんの主張には賛同する」「公務員を増やすためにがんばっている」などの声を寄せてくれています。また、国会審議のなかでも与野党問わず、この間の人員削減や現行の定員管理政策の問題点を指摘し、定員管理政策の転換を求める発言を行うなど国会のなかの変化も見られます。
 こうした世論の広がりが、十分とは言えないものの、2017年から全体として定員数がプラスとなり、2021年度の定員は42年ぶりに恒久的な定員が増加に転じるなど、毎年の定員査定結果にもあらわれています。
 これらは運動の大きな成果・到達点であり、この背景には各ブロック・県国公が中心となってとりくんできた地元国会議員事務所への要請・懇談や単組による増員署名の旺盛な展開で、それぞれ理解を広げてきたことにあります。
 公務員の増員に対して追い風の世論が吹いているいま、政府に対して体制拡充・増員の障壁となっている総人件費抑制政策をあらためるとともに、総定員法廃止、定員合理化計画を中止・撤回するなど、定員管理政策の抜本的見直しに足を踏み出させるためにも、いっそうとりくみを強めていきましょう。



 
夏の国公青年セミナーひらく
学び・交流し・行動(交渉)


 国公青年フォーラムは6月20日~21日の2日間、夏の国公青年セミナー2021を開催し、オンライン学習会や人事院・財務省との交渉及び国会議員要請を実施。全国の青年ら34名が参加しました。
 1日目の20日は、オンラインでの学習会と分科会を開催。冒頭、国公青年フォーラムの森運営委員長は「このセミナーは青年が学び・交流し・行動(交渉)する機会であるとともに、現場の組合員の声を各交渉先に届ける貴重な機会です。できることから1歩ずつやっていきましょう」と挨拶しました。続いて国公労連の西口書記が、「わたしたちの労働条件の決まり方と今の情勢」と題して講義を行いました。講義では、人事院勧告の仕組みやそこでの労働組合の役割、定期昇給とベースアップの違いや、春闘で公務と民間の労働者がともに闘う意義を解説。あわせて、これまでの世界の賃金推移や最低賃金の問題、今年の春闘情勢、賃金以外の労働条件の重要性にも触れられました。参加者からの感想では「先進諸国の中で、実質賃金が上がっていない現状がとても問題だと思う」「知っているようで知らないことが多かった」との声が寄せられました。
 初日の後半は、人事院・内閣人事局・財務省・議員要請の各分科会に分かれて、交渉や要請で現場の実情を発言できるように意見交換をしました。分科会の中では、賃金課題・定員課題についての発言が多く出されたほか、今の青年層が新採抑制の影響を受けて2級で係長発令をされるなど、職責に見合わない処遇の問題について発言がありました。これらの分科会での発言は、翌日以降の各交渉や要請に持ち込みました。
 2日目の21日は、人事院・財務省との各交渉と議員要請を実施。人事院との交渉では、従前からの内容に終始した回答となりましたが、参加した青年からは、今の実情にふれながら初任給、各種手当などの処遇改善を強く求めました。また、労働条件改善を目指して立法府へのアプローチをするために議員要請も実施し、内閣委員会所属の国会議員を中心に訪問。公務の実情を伝えて意見交換をしました。内閣委員の塩川鉄也衆議院議員への要請では、青年から現場の実情や要求を伝えると、塩川議員は、公務・公共サービスの果たす役割の重要性が高まっているとしたうえで、「皆さんと一緒に働きやすい職場を実現していきたい」と応えました。
 国公青年フォーラムでは引き続き学習・交流・行動(交渉)の機会を作り、青年の要求実現と、これからの公務公共サービスを担う若手職員が安心して働き続けられる環境づくりを目指してとりくみを進めます。



 
コロナ禍で広がる貧困
最低賃金1500円の実現を
非正規ではたらくなかまの全国交流集会in愛知


 全労連非正規センターは6月5~6日に「非正規ではたらくなかまの全国交流集会in愛知」を開催しました。
 今年の集会は、新型コロナウイルスの感染防止のため2日間とも原則オンラインで開催され、全国から総勢約500人以上がリアルタイムで参加しました。
 1日目は、非正規センターの仲野事務局長がコロナ禍の非正規労働者の苦境と春闘や最低賃金引き上げ運動での到達点を報告したあと、各地を結んだリレートークで地方の最低賃金引き上げ運動や郵政20条裁判の報告、会計年度任用職員制度の課題、介護・保育の現場での運動や学習成果などの報告がありました。
 その後、地元・中京大学の大内裕和教授から「コロナ禍での非正規労働者の実態~労働者としての権利確立をめざして」と題した記念講演がありました。大内教授は、新型コロナの影響で仕送りが減ったりアルバイトで働けなくなったりした学生の貧困の現実、学ぶ権利の侵害、失業率にあらわれないコロナ禍の「実質的失業者」の問題などを提起され、そうした社会構造のもとで全国一律最低賃金1500円を実現する波及効果の大きさについて「非正規でも家を借りて自立生活できるようになる。ダブル・トリプルワークを減らして余暇・家事・育児時間に回せる。望まない仕事につかなくてよくなる。8兆7625億円もの消費需要が発生する」と強調しました。
 2日目はZoomやユーチューブを使った分科会やトークセッションが行われました。今年はオンライン開催に伴い、公務の非正規分科会は中止になりましたが、ユーチューブ配信されたスペシャル・トークセッションにおいて非正規公務員問題が取り上げられました。
 1日目の全体会とトークセッションの動画は視聴可能ですので、ぜひご視聴下さい。



 
いのちと暮らし守る県政へ 金田峰生氏を支援
兵庫県知事選挙


 国公労連は、兵庫県国公の支援要請をふまえ、6月8日の第38回中央執行委員会において、兵庫県知事選挙(7月1日告示、7月18日投票)に「憲法が輝く兵庫県政をつくる会」が擁立し、立候補を決意した金田峰生氏の支援を決定しました。
 金田峰生さんは、元兵庫県議で県政への造詣も深く、立候補するにあたり、県民のいのちと暮らしを守り、産業を支え、地域を支え、雇用を守ることなどの公約を掲げ、県民に寄り添う県政づくりを表明しています。