国公労新聞2021年8月25日号 第1570号

【データ・資料:国公労新聞】2021-08-25
21人事院勧告取扱いで政府と交渉
一時金改悪は許されない


 国公労連は8月10日に出された人事院勧告等の取扱いについて、同日に「人事院勧告の取扱い等に関する要求書」を政府・内閣人事局に提出し、交渉を実施しました。交渉では、国公労連の要求をふまえた交渉にもとづく合意のもとで勧告の内容等の取扱いを決定するよう求めました。政府・内閣人事局は堀江人事政策統括官らが対応しました。

許されない 2年連続の一時金削減
 交渉では、浅野書記長から俸給表を据え置く判断と、一時金を2年連続引き下げる勧告は新型コロナウイルス感染症や頻発する自然災害への対応など、国民のいのちやくらし、権利を守るために、昼夜を分かたず現場第一線で奮闘している職員の労苦に冷や水を浴びせるものであると批判しました。
 また、人事院勧告の影響下にある約180万人の民間病院等従事者や社会福祉関係従事者など、新型コロナウイルス感染症の対応等で奮闘している多くの労働者の労働条件引下げを誘発しかねない問題などを指摘しました。
 再任用・非常勤を含むすべての職員の「一時金引下げは断じて許されるものではない」と強調しました。

長時間労働の是正を
 長時間労働の是正、超過勤務手当の不払いについて、勤務時間管理のシステム化は、各職場実態をふまえると同時に、本人も含めて外部から手を加えることができない仕組みとすべきと主張しました。
 また、予算確保も含めて不払いを解消するように求めました。
 さらに、長時間労働の最大の原因となっている職場の人員不足について、公務員人事管理に関する報告では「定員削減の影響もあって、業務量に比して要員が十分でなく、恒常的に長時間の超過勤務を命じざるを得ない部局等もある」とし、「業務量に応じた要員が確保される必要があることを改めて指摘したい」とされていることから、公務員の増員は国民からの要求でもあり、これらに応えるために現行の定員管理政策を見直し、国民のいのち・くらし、権利を守る公務・公共サービスを拡充にむけて、必要な定員の確保・配置を求めました。

再任用・非常勤職員の処遇改善を
 再任用制度について、「高齢期の職員の知識、技術、経験等の発揮と活躍を促すため、暫定再任用職員に対する適正な処遇を講ずること。あわせて、現行制度における再任用職員に対しても適正な処遇を講ずること」とされている定年延長法の附帯決議を履行するため、制度の抜本改善を求めました。
 非常勤職員の処遇改善について、非常勤職員が新型コロナウイルス感染症や相次ぐ自然災害など、国の機関に対する国民のニーズに的確に対応するために不可欠な存在となっている現状をふまえて、定員化・常勤化すること、少なくとも公務職場でも民間同様に無期転換制度を早急に整備すべきと主張しました。
 一方、民間では、パートタイム・有期雇用労働法によって不合理な待遇差が禁止されているもと、私たちの強い要求であった病休の有給化や生活関連手当等の支給について今回の勧告等で触れられていない問題を指摘し、公務職場においても常勤職員との不合理な格差を解消することを求めました。

両立支援制度の拡充等
 「国家公務員の育児休業等に関する法律の改正についての意見の申出」をふまえた妊娠、出産、育児に関する両立支援制度の拡充について、制度を必要なときに気兼ねなく活用できるようにするためにも定員の確保を含む職場環境の整備を求めました。
 新型コロナウイルス感染症が猛威を振るうなかで、職員が安心して職務遂行できるよう万全の感染防止対策を講じるとともに、ワクチン休暇の拡充とワクチンハラスメントの防止措置を求めました。

職場から政府・各府省当局追及を
 これらに対し、政府・内閣人事局は「国家公務員の労働基本権制約の代償措置である人事院勧告制度を尊重するとの基本姿勢に立ち、国政全般の観点から、その取扱いの検討を進める」との回答にとどまりました。
 政府は10日に第1回給与関係閣僚会議(持ち回り)を開催し、人勧の取扱いの検討に着手しています。一方、加藤官房長官は後の記者会見で「人事院勧告制度を尊重するとの基本姿勢に立ち、適正な結論を得るよう、国の財政状況、経済・社会情勢など国政全般の観点から検討」と従来通りの立場を表明しています。
 この秋、私たちの労働条件決定の山場を迎えます。引き続き、一時金引下げを許さず、すべての職員の労働条件改善にむけて、政府・各府省当局に対する追及を強めていきましょう。



 
 
国公労働者平和のつどい開く
長崎県国公「被爆者の声、風化させないとりくみを」



 国公労連は「国公労働者平和のつどい」を昨年に引き続きオンラインで開催し、集団視聴会場も含め合計約40カ所から接続がありました。
 初めに情勢報告を兼ねた連帯の挨拶に原水爆禁止日本協議会から前川史郎全国担当常任理事をお迎えし、今年発効した核兵器禁止条約や世界の核兵器をとりまく状況、日本の核兵器禁止条約参加へ向けた草の根運動の成果を説明していただきました。参加者から「初めての参加でもわかりやすかった」等の感想が寄せられました。
 今年の被爆証言の学びは日本原水爆被害者団体協議会が作成した動画「被爆者が証す原爆の反人間性シリーズ」を視聴しました。広島で被爆した岩佐幹三さんは「原爆で亡くなった広島・長崎の人たちは、人間としてでなくモノとして殺された。原爆、核兵器は憎い。戦争も憎い」と平和を訴えました。また、越智晴子さんは「『戦争するな』『核兵器はいらない』の声をみんながあげれば、戦争も核兵器もなくなります。私のような被爆者にならないために、声をあげてください。無関心でいると、その償いは自分にかえってくるのです。戦争で本当の平和は生まれません」と呼びかけました。
 視聴後、参加者と運動交流を行いました。交流の最初に国交労組や東北B国公など4組織から寄せられた千羽鶴をつくる様子や平和行進の写真が寄せられ参加者で共有しました。
 続いて長崎県国公からは「コロナ禍と被爆者の高齢化により、生の声を聴けなくなってきている。風化させないようとりくみをしていくことが重要」「当初、原爆投下の候補地は17か所あったが、たまたま天候等の問題で広島と長崎になった。ぜひ、みんなの問題として、全国的な問題として考えてもらうようお願いしたい」と発言。沖縄県国公からは平和のとりくみとして沖縄戦の歴史や米軍基地問題の現状について、全司法愛知支部の参加者からは平和のとりくみへ一歩踏み出すキッカケが大事であることの発言がありました。
 最後に、国公労連の大門中執は「私たちは平和な時代に生きているからこそ、五感をフルに使って強い想像力を持って学ぶことが大切、平和のとりくみに一緒にとりくんでいこう」と締めくくりました。



 
 
DX(デジタル改革)・ダイバーシティ(多様性)・コロナパンデミックを考える国研集会ひらく

 第39回国立試験研究機関全国交流集会(国研集会)が8月18日と21日の2日間に渡ってオンラインで開催され、のべ111人が参加しました。主催は国公労連と学研労協で構成する実行委員会で、今回の国研集会は「DX(デジタル改革)・ダイバーシティ(多様性)・新型コロナパンデミックと国研」を集会テーマに掲げました。
 8月18日は2つの分科会を開催。第1分科会は「ダイバーシティ(多様性)の課題を考える」をテーマにして、マーシー・ワイルダーさん(国際農林水産業研究センター・プロジェクトリーダー)と、ティンティンウィンシュイさん(国立環境研究所・主幹研究員、ミャンマー出身)の2人の女性研究者から見た日本の研究環境について報告を受けました。
 報告の中では、外国籍の女性研究者が日本において直面する問題として、結婚・子育て・介護が女性に大きな負担となる社会構造により日本の大学・研究機関で仕事を続けるのが外国人にとって困難であることなどが指摘されました。
 第2分科会では、全厚生副委員長・感染研支部の小川基彦さんが「感染研の抱える問題について~新型コロナウイルスパンデミック前と後でどう変わったか?」と題して講演を受けたあと、人も予算も削られている各研究機関の実態などについて議論が行われました。
 8月21日には全体集会を開催。市川類一橋大学教授が「デジタルトランスフォーメーション(DX)と国研」、原山優子理化学研究所理事が「研究機関にとって『ダイバーシティ』とは?」と題して講演を行い、その後、研究機関におけるデジタル化の課題と多様性を高めていく課題について、参加者と活発な討論が行われました。
 国研集会の詳細はKOKKO45号に掲載します。



 
コロナ禍  いのち守る署名、「菅首相への手紙」にご協力を

 全労連、中央社会保障推進協議会、医療団体連絡会議は、総選挙で国民の命を守る政治に転換させようと、「医療、介護、保健所の削減やめて!いのちまもる緊急行動」を展開しています。
 菅政権は、コロナ禍で「医療崩壊」を引き起こしているのにもかかわらず、医師・看護師は増やさず、病床削減をするというありえない政策を続けています。
 これに対する、ネット署名「医療・介護・保健所の『本気の充実』を求めます」と、「菅首相への手紙」にぜひご協力をお願いします。
 「菅首相への手紙」は、医療・介護・保健所・福祉の職場で働く方に限らず、すべての労働者からコロナ禍において「訴えたいこと」「困ったこと」などを書いてもらうとりくみです。多くの組合員のみなさんの声をお寄せいただければと思います。