国公労新聞2021年11月10日号 第1574号

【データ・資料:国公労新聞】2021-11-10
給与取扱いめぐる国会12月上旬か
一時金引き下げ阻止へ職場からとりくみを



給与の取扱いは不透明
 国家公務員の給与をめぐっては、8月10日に人事院勧告が出され、同日に第1回給与関係閣僚会議(持ち回り)が開催され、現在、政府部内でその取扱いについて検討が行われています。9月21日に行った国公労連と政府の中間交渉では、「労働基本権制約の代償措置の根幹を成す人事院勧告制度を尊重するとの基本姿勢に立って、国政全般の観点から給与関係閣僚会議において検討を進め、早急に結論を出す必要がある旨、確認された(第1回給閣)ところである。適切な時期に改めて給与関係閣僚会議が開催されることとなっている」と回答していました。しかし、いつ給与関係閣僚会議が開催されるのか、また、給与の取扱いはどうなるのかは現時点においても明らかになっていません。
 国家公務員の給与の取扱いについては、方針決定後、給与法改正案が閣議決定されたのちに、国会に提出され、審議されるものであることから、国会の動向にも影響されます。11月10日から衆議院の解散・総選挙を受けて、総理大臣指名選挙などを行う特別国会が開会されています。会期が3日間とされていることから、この特別国会で給与法を改正することはきわめて困難です。

臨時国会招集は12月上旬か
 一方、「2021年度補正予算案を処理するための臨時国会を、数週間後に改めて開く方向で検討している(11月4日、時事ドットコムニュース)」「政府・与党は年内に臨時国会を改めて召集し、今月中旬に策定する新たな経済対策を盛り込んだ今年度の補正予算案を提出して成立を図りたいとしています(NHK、11月5日)」とあらためて臨時国会が召集されることが報道されています。国家公務員の給与の取扱いも、この臨時国会にむけて検討がすすめられると想定されます。ただ、前述の報道からすれば、臨時国会の招集は12月上旬か早くても11月下旬となります。人事院勧告どおり12月の一時金を0・15月マイナスしようとすれば、期末手当の基準日である12月1日までに改正給与法を成立させる必要がありますが、それも不透明な状況です。このような状況や、コロナ禍において国民のいのち・くらしを守るために奮闘している職場・職員の労苦を踏まえれば、一時金引下げは見送るべきです。

一時金引下げ阻止のとりくみの強化を
 国公労連は、秋季年末闘争において一時金の引下げ阻止、非常勤職員の均等・均衡待遇と安定雇用、誰もが安心して働ける高齢期雇用の実現、退職手当の改善などにむけて、各種とりくみをすすめています。11月1日の週の「全国統一行動週間」では、すべての職場で職場集会を開催し、秋季年末闘争における課題の到達点、情勢を確認するとともに、全労連公務部会・公務労組連絡会規模で、政府に対する職場要求決議運動を実施しました。
 給与の取扱いや給与法の改正時期が不透明な情勢にあることから、職場集会の開催や職場要求決議の確認・送付にとりくめていない組織は早急に具体化し、実施するようにしてください。また、各単組、各級機関においても前述の要求実現にむけて各省当局に対する追及を強化してください。職場からのとりくみを旺盛に展開し、秋季年末闘争期における要求実現・前進を勝ちとっていきましょう。

両立支援のための措置の検討すすむ
 8月10日には人事院勧告とあわせて、「国家公務員の育児休業等に関する法律の改正についての意見の申出」が出され、妊娠、出産、育児等と仕事と両立支援のための措置について、政府・人事院において検討がすすめられています。
 ひとつが、育児休業の取得回数制限の緩和で、「国家公務員の育児休業等に関する法律」を改正し、①育児休業の取得回数は現行、原則1回までとされているものを2回に拡大する、②①にくわえて子の出生後8週間以内に現行1回まで取得可とされているものを2回に拡大するものです。この法律改正は民間の育児・介護休業法改正の施行日(2022年10月1日)に遅れずに実施とされており、今秋の臨時国会もしくは来年の通常国会で審議されることが想定されています。
 不妊治療にかかる休暇も2022年1月1日からの実施にむけた人事院規則の改正の検討がすすめられています。この休暇は常勤・非常勤にかかわらず、有給の特別休暇で、休暇の期間は原則として5日、体外受精や顕微授精等の頻繁な通院が必要とされる治療を受ける場合は、さらに5日くわえた範囲内とし、休暇の単位は1日または1時間となっています。
 非常勤職員の休暇について、これまで無給休暇であった産前・産後休暇を有給休暇とすること、配偶者出産休暇(2日)と育児参加のための休暇(5日)を新設(有給)することも2022年1月1日からの実施にむけて検討がすすめられています。なお、「意見の申出」で打ち出されたその他の措置もそれぞれの実施時期にむけて検討がすすめられています。
 今回の措置は私たち運動の成果であり、貴重な到達点です。この成果を職場の隅々まで広げて、組織拡大につなげていきましょう。
 他方、職場からは、「繁忙な職場実態から制度を活用すれば、周りの職員へ負担がかかってしまうため休暇制度の使用をためらってしまう」、「休暇の取得期間を短縮した」などの声がよせられています。今後の課題として制度運用を実効あるものにしていく必要があります。職場の人手不足の解消をはじめ、誰もが気兼ねなく制度活用ができる体制や職場環境の整備が必要です。そのためにも、秋季年末闘争において、各職場から総定員法の廃止、「定員合理化計画」の撤廃、定員管理の抜本的見直し等を求める「定員管理等に関する要求書」を当局に提出し、必要な要員・体制の確保について当局追及・上申を強めることとしています。誰もが安心して働ける職場環境の実現めざして奮闘していきましょう。


 
 

国公青年フォーラム総会ひらく



 国公青年フォーラムは10月31日、「国公青年フォーラム総会」を開催しました。昨年に引き続きオンラインでの開催となりましたが、加盟単組から合計29名の青年が参加し、意見交換や交流を行いました。
 全体会では、各単組からコロナ禍での組合活動や仕事についての報告がありました。「新採に加入してもらってもレクや旅行など楽しい活動ができないのでもったいない」「説明会ができない分、オリジナルキャラクター入りの勧誘ビラを作成するなど広報に力を入れている」など困難な状況ながらも工夫して取り組みをしている報告や、「在宅勤務では、パソコンの持ち帰りができず家でできる仕事が少なかった」「給付関係の窓口業務が繁忙になっている」など仕事にも影響が出ている報告がされました。
 分科会は3班に分かれ議論をしました。1班の「組合の疑問をズバッと解決」では官民初任給の差や政治的活動についての疑問が出され、来賓で参加された全労連青年部や国公労連本部の役員から回答されました。政治的活動では、「政治家でも公務員の賃金や労働条件に詳しくない人もいる。機会があれるならぜひ直接会って生の声を伝え、それを国会に持ち帰ってもらおう。政治家とのかかわり方や目的をクリアにしながら青年に説明できるとよい」とアドバイスがありました。2班の「他省庁の仕事を学ぼう」では、初めの自己紹介で他省庁のイメージも伝え、その後にそのイメージを元に話を膨らませつつ交流することができました。国家公務員の事務職にも夜勤がある職場もあるなど、意外な業務に驚いた参加者も多くいました。3班は「これからの青年の組合活動を考えよう」というテーマで話し合いました。アクティブな活動が依然制限される中、勧誘の動画を作成しよう、教宣紙は写真を使い身近な役員を紹介するコーナーがあると読みやすくなるなど青年ならではの視点での提案が多く出されました。
 また、3年間運営委員長を務めた森慧佑さんがこの総会をもって退任となり、新運営委員長には岡野健太さん(全司法)が選出されました。



 
独法等労組代表者会議ひらく
非正規職員の均等・均衡待遇を



 11月3日、国公労連・独立行政法人等対策委員会は、オンラインで「独立行政法人等労働組合代表者会議」を開催し、14労組25人が参加しました。
 会議では、要求実現に向けた方策のひとつとしてのスト権の確立や国準拠の賃金・労働条件からの脱却、非正規職員の均等・均衡待遇の実現にむけて、意見交換をしました。また、各組織の労働条件や職場の実態などについても情報共有しながら意見交換し、今後のとりくみの前進にむけて交流しました。
 冒頭、笠松独法対策委員長は開会にあたって「この秋一時金の削減を許さず、賃金・労働条件の確定をはかるとともに、非正規職員の均等・均衡待遇など国を上回る要求前進をめざしていこう」とあいさつしました。
 続いて、中岡独法対策委員が「情勢と基調報告」を行い、独法等労組における情勢とこれからの秋の確定闘争にむけ、とりくみの提案を行いました。その後の意見交流ではそれぞれの職場の実態や職場の問題点などを報告し、相互に交流を行いました。各労組からは、コロナ禍での労働組合活動の難しさや、非正規職員の労働条件の改善、組織拡大・強化、活動の見える化の重要性などについて発言がありました。
国土交通労組では独自のシンポジウム開催の予定や組織拡大3か年計画、リフレッシュ休暇の取得による要求の前進などの報告もありました。また、全医労がとりくんだスト権確立のとりくみの中で組織拡大・強化につながった経験があたかどうかの質問があり、全医労からは、スト権確立に向けたとりくみで組織強化や拡大につながったかどうかは詳細に把握できていないが、スト権投票で組合員の意思を確認することを通じて、要求闘争の見える化や組合員同士の結束に繋がっていることは間違いないとの発言がありました。さらに、意見交流のなかで、テレワークがすすむ中で海外の研究者等のシンポジウムやオンライン会議に参加する場合、日本時間では深夜になり、柔軟な勤務時間を要求していることなどが報告されました。
 組織問題ではこの間の独法改革で、組織統合がすすめられ機構内に組合があり広域な人事異動の都度、組合の脱退・他の組合への加入をしなければならず、異動時に未加入となることがあるなど、労組独自の課題や問題点などが報告されました。こうした報告を受け、今後の独法等労組の組織拡大・強化の重要性を確認しました。
 最後に、中岡委員が意見交流におけるまとめを行い、「組織拡大・強化を前進させ、独法等対策委員会でも引き続き各組織のとりくみを共有し、要求実現にむけてがんばっていこう」と呼びかけて本会議を終了しました。
 今年の独法等労組代表者会議では、交流の時間を多く確保するために事前に「独立行政法人で働く非正規職員の均等・均衡待遇の実現に向けて」と題した学習会を開催しました。