安倍内閣と政府与党は6月30日未明、国家公務員法等「改正」案を、内閣委員会での採決を省略し、本会議で直接採決するという異例の強硬手段まで用いて成立させた。
今国会での「不正常な採決」が18回を数えたことにも象徴されるように、議会制民主主義を否定する暴挙につぐ暴挙に対し、強く抗議するとともに、来るべき参議院選挙で明確な審判を下すために全力をあげる決意を表明する。
首相が「戦後レジームからの脱却の中核」だとして、強引に会期を12日間延長してまで固執した国家公務員法等「改正」案は、この間も指摘してきたように改革の名に値しない党利党略、選挙向けの「偽装改革」である。
「再就職規制の見直し」として、現行の不十分な事前規制すら撤廃して行為規制を導入し、「官民人材交流センター」で再就職あっせんを行うことは、「天下り」の自由化、合法化に他ならず、安倍首相の言う「これで官製談合が無くなる」どころか、政・官・業の癒着をいっそう助長することになる。
また「センター」は、その名のとおり官民の人材交流を促進・拡大することが目指されており、民間の人材が行政の中枢に大量に送り込まれることは、「国民のための行政」から「大企業のための行政」に変質させられ、憲法にもとづく「全体の奉仕者」としての公務をゆがめることになる。
さらに、国会審議では議論が尽くされなかったが、「能力・実績主義の人事管理」として、新たな人事評価制度の構築がうたわれており、任用、給与、その他の人事管理の基となる評価制度の勤務条件制を明確にしていないことは、労働基本権に関わる重大な問題を残している。
「改正」国公法のもとで、政令等にゆだねられた「官民人材交流センター」の設立や、新たな人事評価制度の設計が進められることになるが、国公労連は直接の当事者として、財界・大企業に奉仕する行政への変質を許さず、国民のための民主的で公正・中立・効率的な公務員制度を確立するため、引き続きとりくみを強化する。
また、次期通常国会に向けて検討される「公務員制度改革基本法」に対し、前述の立場から広く国民的な議論を呼びかけるとともに、国民生活を支える行政サービスの拡充と公務員の「働くルール」確立、労働基本権の回復をかちとるため、奮闘する決意である。
2007年6月30日
日本国家公務員労働組合連合会
書記長 岡部勘市
以上
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