国家公務員制度改革基本法案が本日、参議院において可決、成立した。
法案は4月4日に提出されたものの、審議入りが遅れたうえに与野党の「修正」によって実質的かつ深めた議論とならず、国公労連が指摘してきた問題点の解明と、国民的な視点から求められる民主的改革の方向性についての審議が不十分に終わったことは、きわめて残念と言わざるを得ない。
公務員制度改革は、国の役割の重点化や歳出・歳入一体改革、構造改革の総仕上げとしての道州制導入・地方分権改革等と一体的に進められてきたことに明らかなように、「この国のかたち」改革の中心に据えられている。
その点で、政治任用の拡大や幹部人事の内閣統制・一元管理によって公務員の政治的中立性を損う懸念があること、官民人材交流の推進によって公務員が「全体の奉仕者」から「財界・一部企業の奉仕者」に変質させられる危険性が高まること、特権キャリアの人事運用が制度化されること、政官財癒着の温床である天下り根絶には手つかずであること、などの重大な問題を改めて指摘しておきたい。
成立した基本法は、5年以内に「改革」を行うために必要な法制上の措置を3年以内(内閣人事局に関わっては1年以内)に講ずることとされており、その具体的な検討への対応が求められることとなる。
とりわけ、労働基本権について「自律的労使関係制度を措置する」とした第12条の具体化にあたって担当大臣は、「3年以内の法案提出」と「労働組合の意見反映」を国会答弁で言明している。政府は、ILOの再三にわたる勧告に誠実に応え、関係労働組合の代表を含む協議の場を設定し、具体的な制度設計に向けた検討を速やかに開始すべきである。
国公労連は、1府7省の非現業国家公務員を組織する直接の当事者として、公務員労働者の権利・労働条件に関わる諸制度の検討に、積極的に参画する用意があることを表明する。
国公労連は、時の政権党に従属する「もの言わぬ公務員」でなく、国民の権利保障のために働く公務員労働者・労働組合として、公平・公正・効率的な行政の確立と民主的な公務員制度の実現に向け、引き続き運動を強める決意である。
同時に、1948年の旧国公法改悪によって労働基本権が剥奪されて60年、公務労働運動の新たな局面を迎えるにあたって、全国の各級機関と仲間の皆さんに呼びかける。
自らの権利確立、労働条件決定に参加する意義と責任を確認し合い、労働組合に結集しよう。
国民本位の行財政と司法の確立に向け、行政民主化のとりくみを改めて強化しよう。
職場のすべての労働者を視野に、圧倒的多数の組織化をめざし、拡大運動を進めよう。
日常活動を活性化し、組織の整備・強化を図るとともに、地域から連帯と共同を広げよう。
2008年6月6日
日本国家公務員労働組合連合会
書記長 岡部勘市
以上
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