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談話
震災からの復旧復興を支える行政体制拡充、労働条件改善を求める
〜2011年春闘期における政府・人事院回答を受けて(声明)〜
     
 

 

2011年4月22日
日本国家公務員労働組合連合会
中央闘争委員会

 本日、政府と人事院は、東日本大震災の影響で延期されていた国公労連の2011年統一要求に対する最終回答を行った。

 政府回答は、切実な労働条件改善の要求には背を向けて全く応えないばかりか、「給与の引き下げについては具体案がまとまった段階でよく説明し、理解が得られるよう話し合いたい」などと、現行制度に基づかない賃金引き下げを事実上通告する、極めて不誠実かつ不当な内容であった。

 人事院は、職種別民間給与実態調査の延期によって今年の勧告作業が遅れるとする一方、「官民較差に基づき適正な公務員給与の水準を確保」と従来姿勢を踏襲する矛盾した回答で、政府の賃下げ検討が進められていることに対して何ら対応せず、労働基本権制約の代償機関としての役割、存在意義を放棄した。

 もとより民主党の政権公約である「総人件費2割削減」には何の道理も根拠もない。まして震災復興に向けて、消費マインドを刺激して経済を活性化させるため、すべての労働者の賃上げや雇用の安定が求められている時に、それに逆行するばかりか、財源確保を口実に消費税増税を狙う露払いにしようというもので到底容認できない。

 加えて、自ら被災しながらも使命感を持って救援・復旧業務に携わる被災地の仲間をはじめ、全国からの応援派遣を含めて行政の責務を果たすために奮闘している公務労働者の士気にも関わる重大な挑戦と言わざるを得ない。

 未曾有の東日本大震災は、国民の生命と財産を守り、権利を保障するうえで果たすべき国と自治体の責任と役割を改めて明らかにした。「構造改革」路線のもとで進められてきた公務・公共サービスの縮小・解体と、市町村合併の強要など地方切り捨ての弊害が浮き彫りとなっている中で、緊急増員を含む行政体制の拡充こそ求められている。

 また、高齢期雇用問題について人事院は、2013年4月から段階的に65歳まで定年を延長する方針には変わりないとは言うものの、意見の申出に向けた作業が遅れていることは問題である。とくに、50歳代の給与のあり方について職務給に反する見直しを表明したこと、「給与構造改革」終了に伴う経過措置のあり方に言及し、現給保障の打ち切りを示唆したことなど、到底看過できない。今後、国公労連と十全な協議・交渉を行い合意の上で意見の申し出を行うことを強く求める。

 国公労連は、賃下げのスパイラルを断ち切り、すべての労働者の賃金引き上げと雇用の安定による内需拡大、地域経済の再生をめざす国民春闘の構築に向け、時給1,000円以上の実現をはじめ、初任給の抜本改善、全国一律最低賃金制など賃金の底上げを最重点に、非正規労働者の雇用の安定、「期限の定めのない雇用」への転換、均等待遇の実現に向けて公務民間一体の運動を展開してきた。

 また、東日本大震災に際しては直ちに対策本部を立ち上げ、被災者の救援と生活再建を最優先した復旧・復興に向け、政府に対する緊急要請や募金活動、ボランティア派遣などにとりくんできた。

 国公労連は、東日本大震災による痛苦を、90年代後半から続く「構造改革」路線の自己責任の時代から、人と人の絆が大切にされる連帯の時代への転機とするため、国の行政機関を中心に組織された労働組合としての責務を果たす決意を表明する。

 今春闘での到達点をふまえ、政府の不当な賃下げを許さず、行政体制の確立・拡充、民主的な公務員制度確立や高齢期雇用問題をはじめとする諸要求の実現に向け、広範な国民との対話と共同を進め、理解と共感を広げるために奮闘することを全国の仲間に呼びかける。

以上



 
 
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