2012年3月23日
日本国家公務員労働組合連合会
書記長 岡部 勘市
政府は3月6日に開いた行政改革実行本部会合で、2013年度の国家公務員の新規採用の大幅な抑制を確認し、今月末にも省庁別の採用数を決定するとしている。総務省は8日の国公労連との交渉において、「過去の抑制(2011年度の2009年度比4割減)を大幅に上回る抑制を行う」と述べ、22日の報道では「2009年度と比べて平均5割超の削減を各省庁に求める方針を決めた」とされている。
これまで(2010年:5月、2011年:6月)より早い新規採用抑制の打ち出しは、消費税増税法案の提出に先立って「行政改革」にとりくむ姿勢のアピールが狙いである。消費税増税法案の月内提出や社会保障削減などの悪政を国民に強いるための地ならしとして、マニフェストに掲げる「国家公務員総人件費2割削減」に向けて「削りやすいところから削る」ことは、大所・高所からの俯瞰的な国家運営を担う政府としていかにも愚策と言わなければならない。
また野田首相は22日、大学生等との懇談で出された「国家公務員の新規採用が抑制されるのは心配だ」という声に対し、「大震災の痛みを国民皆で分かち合おうという、全体の話の中で理解してもらいたい」と説明したと伝えられている。2月1日現在の大学生の就職内定率は80.5%と、昨年・一昨年の同時期に次ぐ過去3番目の低さで、「就職氷河期」と言われた2000年を下回っている。公的就労の拡大こそが求められるなかで政府自らが就労機会を狭め、現下の就職難の状況をいっそう深刻にすることは明らかである。
いま職場では、相次ぐ定員削減や東日本大震災からの復旧・復興に向けた応援派遣によって、どの行政機関でもサービス水準を維持することさえ限界にきている。また、3年度連続の新規採用の大幅な抑制は、国の行政機関の年齢構成や行政体制にゆがみを生じさせ、将来にわたり業務遂行に重大な支障をおよぼす。東日本大震災で改めて明らかになった、公務・公共サービスの重要性と「行政改革」の誤りも踏まえ、被災者・被災地本位の早期復興のためにも、全国の行政機関の増員こそが求められる。
政府は昨年11月に成立した復興財源確保法で所得税や住民税の増税を課したように、震災復興を口実に国民に対してさまざまな痛みを押しつけている。労働法制の改悪や社会保障費の削減、法人税減税や有価証券取引税などの減免、特区制度などでの規制緩和やTPP参加などとも合わせ、新自由主義的「構造改革」により国民主権の福祉国家を解体し、大企業と富裕層が最大限の利益追求を行える国家への改造を狙ったものだ。
国公労連は、生存権や幸福追求権など国民の基本的人権の後退を許さず、憲法を暮らしと行政に生かすため、広範な労働組合や国民のみなさんと共同して運動を強化する。
以上
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