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  国民のための行政・司法へ
談話
国民生活・地域経済を支える行政サービスの切り捨て!
「行革実行法案」の提出にあたって(談話)
     
 

 

 2012年4月16日
 日本国家公務員労働組合連合会
 書記長 岡部勘市


 民主党と国民新党は13日午前、「行政改革の総合的かつ集中的な実行に関する法律案」(以下「行革実行法案」という)を国会に提出した。この法案は、昨年12月に「行革なくして増税なし」として発足した民主党の行政改革調査会(以下「調査会」という)が3月13日にとりまとめ、政府の「行政改革実行本部」会合(第3回)を経て提出されたものだ。「調査会」会長が法案提出後の記者会見で、政府が3月30日に提出した「消費税増税関連法案」に先行して成立を目指すと述べたとおり、消費税増税・社会保障改悪への国民理解を得るために、「身を切る改革」にとりくむ姿勢の誇示を狙ったものだ。

 しかし、その内容は新規採用抑制などの人員削減や手当・年金の削減といった「公務員総人件費削減」にとどまらず、行政分野の縮小化と行政サービスの重点化などによる公務・公共サービスの削減、「新しい公共」やPFI事業の促進、「競り下げ方式」の拡大などによる調達コストの削減、「構造改革特区」や「総合特区」、「震災復興特区」での規制緩和の特例の全国適用の促進、などの新自由主義的「構造改革」を一気に推し進めるものだ。消費税増税・社会保障改悪との引き替えなどではなく、それらとともに国民生活や地域経済に何重もの負担を強い、どん底に突き落とすものだと指摘せねばならない。

 また、「公務員総人件費削減」は国公労働者の労働条件に直接影響する重大事案が含まれていることから、当事者である国公労連との交渉・協議が不可欠である。それを議員提出でかわすことは、民主、自民、公明の3党提出で2月29日に成立した「賃下げ特例法」と同様、労使関係を形骸化するものであり、使用者たる政府の責任逃れとともに、国公労働者への重大な権利侵害に他ならない。政府が昨年6月に国会提出した「公務員制度改革関連法案」でいう「自律的労使関係」の前提を自ら突き崩す暴挙を重ねることに、断固抗議するものである。

 法案では2014年度末までの「集中改革期間」において、地方公共団体でも同様の「行政改革」を実行するよう努力義務を課していることも問題だ。「官から民へ」のかけ声で進められた公務の「民間開放」は、国・地方を問わず低賃金・不安定雇用の「官製ワーキングプア」を大量につくりだし、とりわけ地方では、2006年7月のふじみ野市プール事故をはじめとする重大事故の相次ぐ原因ともなっている。東日本大震災で改めて明らかとなった、公務・公共サービスの充実こそが求められる。

 中小企業団体中央会は4月3日、民主党に対して「競り下げ方式」の法定化による受注機会や事業活動への悪影響を危惧し、最大限の配慮を要望した。「経済のグローバル化」や「国際競争力の確保」を命題とした規制緩和や大企業の中小・下請けイジメは、雇用の7割を支える中小企業の倒産や労働者の低賃金・不安定雇用化を増長してきた。国公労連は、広範な労働組合や国民のみなさんと共同し、2012年春闘で掲げる「雇用と仕事の確保、賃上げ、社会保障拡充で、内需中心の経済、震災復興を」の実現と、それに逆行する「行革実行法案」の廃案に向けて奮闘するものである。


以上


 
 
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