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国公労新聞2011年5月25日号(第1348号)
     
 

 

◆認められない、一方的賃下げ提案

 片山善博総務大臣は5月13日、国公労連にたいし国家公務員給与の「3年間、1割削減」の提案を行いました。組合は、違法性を指摘し、撤回を求めました。国公労連は同日、中央闘争委員会をひらき、「政府の一方的な賃金引下げ提案は認められない」との声明を発表しました。

◇国公労連中央闘争委員会が声明
 政府は5月13日、国公労連に対して、2014年3月までの間、国家公務員の俸給と一時金の1割カットを基本に引き下げることを正式に提案してきた。  仮に、この賃下げが強行されれば、国家公務員にとどまらず民間労働者を含む625万人の賃下げにつながるものであり、労働者の生活と地域経済に深刻な打撃を与えることとなる。政府の提案は国の財政事情を口実としているが、累積した財政赤字は公務員の賃金が原因ではなく、政府による賃下げは断じて認められない。同時に、以下の点から今回の提案は撤回するよう求める。

 そもそも政府の賃下げの理由である民主党の総人件費2割削減方針そのものに根拠や道理がないことが問題である。東日本大震災の復興財源の確保も口実としているが、米軍への思いやり予算や政党助成金などには手をつけず、真っ先に公務員賃金の削減を打ち出すことは、消費税の増税をはじめとした新たな国民負担増にむけた露払いであることは明白である。

 雇用情勢の悪化や国内消費の伸び悩み、節電対策による企業の生産活動縮小などによって、景気の低迷が懸念されている。そうした中で、政府自身も「給与引き下げが消費の冷え込みにつながることは理論的に否めない」との認識を示しており、公務員の賃下げがこれから復興をめざす日本と地域の経済にとって重大な足かせになることは明らかである。

 東日本大震災の復旧・復興に多くの公務員労働者が最前線で奮闘していることを踏まえれば、一方的な賃金引き下げが職員の士気を大幅に削ぐことは明らかである。公務員としての震災復興への貢献は、自らの賃金を差し出すことではなく、行政としての責任を果たすことによって被災者と地域の活力を引き出すことであり、臨時増員も含めた行政体制の拡充こそが不可欠である。

 今回の賃金削減の位置づけが「総人件費2割削減」か「震災復興の財源確保」かに関わらず、使用者である政府が国家公務員の賃金を直接引き下げる攻撃であり、人事院勧告にもとづかない給与の引き下げは、何の道理も根拠もない憲法違反の暴挙である。公務員も労働者であり、その基本的権利を無視した暴挙は断じて認めることはできない。

 国公労連は、今春闘において地域経済の再生をめざす公務民間一体の賃金闘争を展開するとともに、「21世紀国公大運動」のとりくみとして国民との対話・共同を進め、国民の安心と安全を確保する国の行政と出先機関の役割を幅広く訴えてきた。  国公労連は、未曾有の震災から被災者本位の復旧・復興を進めるとともに、国民の安心・安全が大切にされる社会を確立することを求める。そのため、国の責任と大企業の社会的責任を明らかにし、国民本位の行財政司法の実現とそれを担う公務労働者の権利を守るために引き続き奮闘するものである。


◆俸給と一時金の1割カット、3年間
 片山総務大臣が国公労連に提案

 賃下げ提案での政府との交渉には、国公労連の宮垣忠委員長を責任者に11名が参加し、交渉委員として自治労連の野村幸裕委員長、全教の北村佳久委員長も出席しました。

◇「極めて異例」
 片山善博総務大臣は、「人勧制度のもとで極めて異例であるが、自律的労使関係制度が措置される間においても、それを先取りする形で話し合い、給与引き下げ法案と自律的労働関係制度の関連法案を一体で提出したい」「国は厳しい財政事情があり、大震災への対処を考えれば歳出削減は不可欠」などとのべ、2014年3月までの3年間、国家公務員給与の俸給、ボーナスの1割カットを基本とした引き下げを提案しました。
 それを受けて、国公労連の宮垣委員長は、次のように主張しました。

  • 公務労働者の労働条件の大幅な切り下げであるとともに、重大な問題があり、認めがたい。
  • 震災復興財源確保の一環としての削減に言及したが、賃金カットで確保できる金額とは桁違いであり、賃下げで貢献せよという考え方にはくみしない。
  • 総人件費2割削減の政権公約は、道理がない。民主党マニフェストが破綻するもとで、なぜ総人件費削減にしがみつくのか。
  • 日本の公務員数は主要国で最も少なく、震災復興のためには公務員の数を増やすことが必要ではないのか。
  • 震災による日本経済の落ち込みが懸念される。公務員賃下げの悪影響をどう考えるのか。
  • 労働基本権制約のもとで人勧にもとづかない労働条件切り下げは、明確に憲法に違反する。

 これに対し、片山大臣は、「心苦しい気持ちに満ちながらの提案であり、厳しい意見・反論は重く受け止めたい」などと述べました。
 宮垣委員長は「引き続き検討し、合理的な説明や考え方を示すべきだ。労働組合との合意をめざすというのならば、今後、誠意ある交渉・協議を求めたい」と主張しました。
 (総務大臣との交渉の詳細


◆60人で賃下げ反対の緊急宣伝

 国公労連は5月17日夕方、東京・有楽町マリオン前で「公務員給与1割カット」反対の緊急宣伝を実施し、60人が(自治労連、全教も含む)参加しました。「政府は働くルールを守れ」「公務員賃下げは、消費税大増税の露払い」などと訴えました。


◆給与削減の「具体案」を提示
 内山総務大臣政務官と交渉

◇「納得できる説明ない」具体案には入れず
 国公労連は5月17日、と20日、公務員給与引き下げ問題をめぐり、総務大臣政務官交渉を実施しました。2回の交渉とも国公労連の岡部市書記長を責任者に総勢10名が参加(交渉委員として猿橋自治労連書記長、今谷全教書記長も出席)、政府側は内山晃政務官が対応、総務省側からは村木人事恩給局長らが出席しました。
 内山政務官は、最初の交渉で別紙の内容を説明しました。説明を受けた岡部書記長は「我々が前回指摘した疑問点に納得できる説明がないまま、具体的な話し合いに入るわけにはいかない」とし、 「こういう時期に給与引き下げを提案する政府の姿勢が問題」と強調し、政府側の再検討を求めました。
 20日の2回目の交渉でも政務官から1割カット等の根拠が示されず、岡部書記長は「財政再建に向けた資料・方針も示さず、賃下げだけはやらせてほしいでは納得できない。合意がないままの見切り発車は認められない」と強く申し入れました。
 (政務官交渉との詳細

 
 
 
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